宮崎駿の映画「風立ちぬ」のテレビCMも始まりましたね。カプローニ伯爵と少年堀越二郎が夢の中で伯爵の設計した飛行機とともに登場するCMでしたが、戦争や恋愛のシーンではなく、「紅の豚」のようなアプローチでした。飛行機好きな人にはこういう映画が話題になることで興味を持ってくれるのが嬉しいところです。
さて、今回は二郎の夢の中で語り合うカプローニ伯爵。映画でも現実でも二人の直接的出会いはないのですが、奇抜なというか、夢のあるデザインの飛行機を何機も製作したこのカプローニ伯爵と堀越二郎の二人を共演させることで少年二郎の飛行機への夢をふくらませる手法は流石、宮崎駿監督といったとことです。
ていうか、そもそもの「スタジオ・ジブリ」という名前もこの人の飛行機、Ca.309ギブリ(Ghibli)から取られたものだそうですから相当入れ込んでいるはずですよ、宮崎監督。
ギブリとは「サハラ砂漠に吹く風」のこと。アニメーション界に旋風を巻き起こそうという理由でジブリにしたそうですが、絶対この飛行機の名前も意識していますよね。
→「スタジオ・ジブリ」の名前の元ネタは飛行機 (NAVERまとめ)
Ca.309はイタリアが植民地向けに作った偵察、軽爆撃機でこれまた大変マイナーな機体。固定脚です。 管理人も知りませんでした。マイナー過ぎるよ・・・。
さて、そんなカプローニ伯爵ですが、 イタリアに実在した航空会社「カプロニ」の創業者です。
第一次世界大戦で、爆撃機や輸送機の生産で躍進し1930年頃には、自動車・船舶用エンジンの生産など事業の多角化に成功し、イタリア有数の企業に発展しましたが、その後はパッとせず、フィアットやマッキなどの航空会社との競争力に欠き、戦後には劇的に進歩した航空機業界の中で販路を失い1950年に消滅しました。映画のセリフでも思わせぶりなセリフがありましたね。
1886年生まれで堀越二郎氏とは、実際には17歳違いです。少年堀越二郎と出会うカプローニ伯爵はおっさんですが、もっと若い人だったようで。亡くなられたのは1957年で1945年の終戦時には60歳近い年齢でした。最後のセリフはなんとも泣けますね。
では、代表的な飛行機をご紹介
一度見たら忘れられないインパクト。世界初で最後の前後3列に3葉の主翼を持つ世界で唯一の機体です。
合計9枚の翼と8機のエンジンの巨大な水上飛行機。この時代で100人の乗客を乗せて大西洋を越えるという壮大で、夢があるというか、野心的過ぎるともいえる計画でしたが、実際の初飛行では、すぐに湖に墜落してしまいます。
その時の映像はこちら。 墜落のシーンがないのはカプローニ伯爵が撮らせなかったからだとか。映画でも撮るな〜と叫んでいますが実話です(笑)。
優れた飛行機の設計で名をはせたジャンニ・カプロニ伯爵は、このノビプラーノのあとは評判が落ちました。しかし、この設計自体は飛べないものではなく、ラジコンなどでこの模型を飛ばしている方もいますね。それにしてもこの機体、古代生物の三葉虫のようです。
カプロニ社によって製造された実験機なのですが、えぇ〜っ!これは笑っていいところでしょうか。
この機体ですが、カプローニ伯爵の設計ではないのですが、カプロニ社のものということでご紹介。
胴体部分が太い環状になっており、その中にプロペラとエンジンが配置されています。
胴体全体が一つのダクテッドファンというものになっていて、チューブ型の胴体が大きな推進力を出すとの構想だったのですが、実際には大きな空気抵抗と低騒音をもたらしただけで、他の性能は通常の機体よりも劣っていたそうです。
また機内のどこにも人や物を積み込むスペースがないことも致命的な欠陥となりました。しかし、この設計はジェットエンジンの開発への重要なステップともなりました。
実際に飛んでいるオドロキ映像はこちら!わざわざ複座にする必要もないと思うのですが。「俺にも乗せろ」的な発想なのでしょうか。実用化よりもこういう機体を作つことをイタリア人は楽しんでいるみたい。
なんか、見たことがあるなぁと思ったらコレだ!
巨大です。タイヤと人を比較すれば分かりますがとにかく大きいです。映画でも出てくる飛行機はコレですよね。この時代にこれだけの大きいサイズのものを作るとは・・・。
いやあ、見ているだけでも楽しくなる飛行機ばかりです。イタリアのデザインってフェラーリなどの車といい、デザインが秀逸ですね。
この他にも、モータジェットのカプロニ・カンピニ N.1とか、独創的なデザインの飛行機があるのですが、写真がほとんどありません・・・。また、模型もないようです。
カプロニ・スティパ 実験機は1/144スケールで「紙でコロコロ」さんが開発してくれましたが現在は在庫無しの状態。
この機会に航空機ブームになって、エフトイズさんやファインモールドさんで発売してくれると良いですね。
→カプロニ・スティパ 実験機を扱っているお店はこちら(その他の画像も見ることができます)
その他のカプロニの飛行機の模型はこちら
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「風立ちぬ」関連の記事が増えましたのでカテゴリにまとめました。よろしければお立ち寄りください。
ドイツのユンカースの飛行機に関する記事はこちら
→「風立ちぬ」堀越二郎とユンカース
他のイタリア機の記事はこちら
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カプロニ CA-90、エンジンだけでもかなり大きいですね!!
25年ほど前に、地元焼津市内にある「赤阪鉄工所」さんを訪れた時、一戸建ての家ほどある(船のエンジンの)シリンダーブロックとクランクシャフトが廻っているのを見て驚いたことがあります^^;)
by 風来鶏 (2013-07-29 18:58)
★風来鶏さま
ご訪問、ありがとうございます。船のエンジンにシリンダーだけでもそんなに大きいのですね!羽田の整備士をしている先輩が、自分の整備している旅客機を見て、「よくこんなデカイのが空を飛ぶよな、未だに信じられん」と言ってました。(おいっ、あんた整備士だろ)と心の中でツッコミましたが。
by onemore (2013-07-29 22:54)
おはようございます^^
ご訪問ありがとうございました♪
飛行機が蚊遣り器と似ているのが面白いですね^^
by mimimomo (2013-07-30 05:05)
mimimomoさま
面白いですよね。昔は飛べる事自体が嬉しかった時代なのでしょうね。楽しいデザインやワクワクする形の飛行機も多いです。
by onemore (2013-08-14 05:52)