宮崎駿の映画「風立ちぬ」、管理人の心のなかでは落ち着きまして日常に戻りつつありますが、ここへきて例の喫煙シーンが問題になっております。
「子供がカッコイイとタバコをくわえる真似をした」とかいうコメントがありましたが、あの映画を観ただけでそんな真似をするものでしょうか?ソースの出処がはっきりしませんな。それよりも空に憧れて、航空業界や宇宙開発を志す少年たちが増えてくれることを望みます。日本はやっぱり技術国ですから。
確かに映画の中では喫煙シーンは多いと感じましたし、病人の菜穂子の横で喫煙するのも大丈夫かい?とは思いましたが、当時は誰でもスパスパ吸っていましたし、時代を正確に描写しているのだと大人がちゃんと教えれば良い話ではないかなと思います。昔の映画だとかっこ良く喫煙するシーンが多いし、規制し始めたら際限なくいきそうでちょっとこわいですね。
と、脱線しましたが、映画のなかでの「ユンカース」の事を忘れておりましたので、ちょこっとまとめておきました。
映画では、二郎と本庄は、ドイツのユンカース工場へ視察にいきます。二人はその工業技術の結晶のような金属製の飛行機に感動します。当時のドイツの工業技術は世界トップレベルですから、二人は日本のレベルを思い知らされます。
二郎の夢のなかで現れるカプローニは「設計で大切なのはセンスだ。センスは時代を先駆ける。技術は後からついてくる。我が国も貧乏だ」と二郎を励ましますが、たしかにそういうところはありますよね。
技術の進歩は、よく、先に「こうではないか」と仮説を立てて、それが正しいものであるか実験で検証をしていきますが、この最初の「仮説」を立てるところが技術者のセンスが問われるところであり、ある意味最も重要な部分でもあると思います。偉大な発明も、ひらめき、インスピレーションで先に結論があって、あとはそれを実現させる努力が延々と続くというかたちが多いです。
さて、このユンカースという会社ですが、ドイツの航空機とエンジンを製造するメーカーでメッサーシュミット、フォッケウルフ、ハインケルなどの航空機メーカーと並ぶ大手メーカーです。
有名な飛行機としては、急降下爆撃機で有名なJu87スツーカ、そして兵士たちからタンテ(おばさん)という愛称で親しまれた輸送・爆撃機のJu52 、そして爆撃機、夜間戦闘機としても活躍したJu88でしょうか。
ユンカース G.38大型旅客機はライセンス生産を買い取った日本では九二式重爆撃機として製造されています。旅客機のG38には主翼内部にも客室があった当時としては、超大型旅客機でした。
それ以外にもエンジンの製造でも有名で、 ユンカース・ユモ004は世界で初めて実戦投入されたターボジェットエンジンでメッサーシュミット Me262 と、アラド Ar234 等のエンジンとなり8000基以上も生産されています。
さて、創立者のフーゴー・ユンカース(1859〜1935)ですが、技術者・発明家・実業家であり、全金属製の飛行機や初期の高速ディーゼルエンジン開発の先駆者として知られています。また自社製の飛行機で運行する現在のルフトハンザ航空の基となる航空会社もつくります。
自由主義的な思想の持ち主であり、アドルフ・ヒトラー率いるナチ党を批判しましたが、これが後で祟り、1934年に自宅軟禁されてしまい、翌年に死去、ユンカース社は収奪されてしまいます。
映画ではこの話を基にして、二郎が思想犯として疑われ、特高(秘密警察)に狙われているエピソードを作り上げています。
世界でも最新の技術をいち早く実用化できる高い技術のあったドイツでしたが、敗戦のためにその技術と人材は、戦後の東西両陣営に流出することになり、冷戦時代のジェット戦闘機開発、ロケット開発、宇宙開発 へと受け継がれていくことになります。
(補足) →『風立ちぬ』で出てきたユンカース社の航空機について〜G.38など
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→マイカテゴリ★宮崎駿と堀越二郎(13)
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ユンカース52でよかったでしょうか。胴体が洗濯板のように波波にしている飛行機ありますよね。特徴ある飛行機でユンカースという名前子どもの頃早くに覚えました。
by 楽しく生きよう (2013-08-21 19:20)
楽しく生きようさま
こんばんは、そうです!良くご存知ですね。トタン板のような外板の飛行機で私はタンテおばさんという愛称が印象的でした。3発エンジンというのも斬新だと思います。
by onemore (2013-08-21 19:47)