飛行機というジャンルに入れるかは抵抗があるのですが、 1944年の9月8日のこの日は、第二次世界大戦下のドイツで、V2ロケットによる初の攻撃が行われた日でした。
このV2ロケットは、ドイツが開発した世界初の軍事用液体燃料ロケット(弾道ミサイル)で、ヨーゼフ・ゲッベルスが命名した報復兵器第2号 (Vergeltungswaffe 2) を指します。
V1は速度も遅いことから多くの機が撃墜されてしまいましたが、このV2は一度発射されたらその撃墜は極めて困難であり、連合国を恐怖に陥れました。超音速で前触れもなく飛来し、既存の兵器では迎撃不可能な V2 は、ドイツにとって有用な兵器でした。特に、ロンドン市民は連日の攻撃に多大な不安に晒され、市街地への被害も甚大でありました。
唯一の手段は、発射基地を事前に叩き潰すこと。連合国は、迎撃不可能ゆえに、発射基地を制圧する必要があり、かえって連合軍のドイツ侵攻を早める動機づけにもなりました。そのような意味ではドイツの敗北を早めた兵器とも言えると思います。
ちなみに、V1 は空軍所管だったのに対し、V2は陸軍が所管でした。これは、V1 が飛行爆弾で「無人の戦闘機」とみなされたのに対して、V2はロケットで「巨大で高性能な砲弾」と考えられたことによります。
当時のドイツはフランス沿岸やベルギーを占領していましたが、このV2の実験による射程は300kmにも達しました。そこからロンドンまで300kmも離れておらず、ロンドンはドイツ軍ミサイルの射程距離に入り、バトル・オブ・ブリテン以降、再びドイツの脅威に晒されることになったのです。
最初に運用段階に達したのは第444砲兵大隊と第485砲兵大隊で、9月8日両部隊の攻撃が成功します。この日以降、3,172発ものV2がベルギーとイギリスの目標に対して発射されました。
しかし、V2 の軍事的効果は限定的でした。ごく初歩的な誘導システムは特定目標を照準できず、コストは4発で概ね爆撃機1機に匹敵する高コストでした。大型で発射システムも大掛かりになることから、現場ではより小型で使い勝手の良い兵器の開発を望みましたが、大型兵器による戦局打破にこだわったヒトラーに押し切られ、製造が続けられたのです。
しかし、このヒトラーご執心のこの兵器も、焼け石に水程度で戦局を変えるには到底及ばず、むしろ、このV2の製造のために働かせた捕虜たちの死者数が実際の攻撃による死者数をはるかに凌いでいるという皮肉な結果を生み出しています。
V2は戦局を変えるには至りませんでしたが、その技術は第二次大戦後の米ソ両国のロケット開発、宇宙開発に大きく貢献します。
このV2ですが 1/144スケールでタカラ「世界の傑作機」vol.1で出ていましたが、これを「傑作機」に入れるのかどうかは大いに疑問ですし、そもそも飛行体ではありますが、飛行機ではないでしょう。人気もありませんでしたね。
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目的は何であれ人類最初の実用ロケットですよね。
by 楽しく生きよう (2013-09-09 21:55)
楽しく生きようさま
こんばんは、実用的な液体ロケットはV2になりますね。ドイツって戦争に勝つことよりも戦争に間に合わなくても、技術開発に力を入れるところがありました。
この技術者の取り合いで宇宙開発競争が始まりますから歴史は皮肉なものです。
by onemore (2013-09-09 23:45)