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ムッソリーニ救出の立役者たち。Fi156シュトルヒとDFS230

Fi156_01.jpg
1/144タカラWTM3弾 フィーゼラーFi156シュトルヒ(砂漠迷彩塗装)


 1943年の9月12日はグラン・サッソ襲撃作戦(ムッソリーニ救出作戦)という、有名な作戦が行われた日です。 
 
 第二次大戦下の1943年7月25日。イタリア王国の首相であったムッソリーニは、大評議会が首相解任の動議を可決したことにより、首相の座を追われて逮捕されてしまいます。

Bundesarchiv_Bild_101I-567-1503A-05,_Gran_Sasso,_Hotel_Campo_Imperatore.jpg ムッソリーニが逮捕されてしまうとナチスドイツとしては同盟イタリアを失うことになりますので、ヒトラーは彼の救出を指示します。ムッソリーニの身柄を拘束したバドリオ政権は、反体制派による奪還を防ぐためにムッソリーニをイタリア各地を頻繁に移動させていましたが、ドイツ側は、最終的にムッソリーニがグラン・サッソ山のホテル「カンポ・インペラトーレ」に幽閉されていることを突き止めます。この山荘に行く交通手段はロープウェイのみという奪還困難な僻地です。(右図が当時のカンポ・インペラトーレ)

 しかし綿密な計画の上で作戦は決行されます。1943年9月12日空からのグライダーでコマンド部隊が降下、ホテルを急襲、身柄を確保した後、待機している別の機体でムッソリーニを脱出させることに成功します。

 この作戦は、困難な条件を克服して実施された要人救出の成功事例として名高いものであり、空から救出部隊を送り込む大胆不敵さと無用な死傷者を出さないスマートさは当時の世界の度肝を抜き、その劇的な経緯から戦後に小説、演劇、映画等の題材にもなりました。
 
 本作戦を基に作られたジャック・ヒギンズによる冒険小説は特に有名です。→「鷲は舞い降りた」

Bundesarchiv_Bild_101I-567-1503C-15,_Gran_Sasso,_Mussolini_vor_Hotel.jpg
ホテルから出てきたムッソリーニを囲んでの一枚

 

 イタリア王国はこの作戦の直前の9月8日に連合国に早くも降伏してしまっていたので、ナチスはこのムッソリーニを国家元首とした<イタリア社会共和国 をつくらせ、イタリアを二分させて戦争を継続させたことからもこの作戦は非常に重要な意味を持つものとなりました。

 ちなみにこの時にムッソリーニとともに Fi156で脱出した武装親衛隊のスコルツェニーですが、ドイツ宣伝省によって誇張して大々的に宣伝されたため、連合軍において、「神出鬼没のコマンド部隊指揮官」というイメージが定着します。後にパンツァーファウスト作戦並びにグライフ作戦等のコマンド部隊による作戦を指揮したこともあって「ヨーロッパで最も危険な男」と呼ばれるようになりました。

作戦に使用された機体
300px-Fa223_modell.png●フォッケ・ アハゲリスFa223

 この作戦において使用された航空機ですが、本来はフォッケ・ アハゲリスFa223を使用する予定でした。


 これは、ドイツが実用・量産化させた世界初のヘリコプターです。ですが、運搬途中の故障により使用を断念します。

 

 

Bundesarchiv_Bild_101I-567-1503C-04,_Gran_Sasso,_Fieseler_Fi_156_»Storch«.jpg●Fi156シュトルヒ

そこで、短距離離着陸性能に優れているFi156シュトルヒを代用することになります。このFi156は、離陸では向かい風で50m、20mもあれば直陸できるという優れもの。時速50km/hの超低速でも飛行ができます。

 この作戦時においても、重量オーバーながらも75m程度の滑走で無事に離陸し、グラン・サッソを脱出します。この時は加速をつけるため、残った兵士が Fi156を前に飛び出さないように押さえつけ、離陸させたといいます。

 
 この作戦の成功で、このシュトルヒの名も有名になります。また北アフリカ戦線でロンメル将軍の専用機も有名になりました。このシュトルヒの性能に対抗して日本でも、三式指揮連絡機が開発されました(正式名称は陸軍キ76)。

 Bundesarchiv_Bild_101I-567-1503A-02,_Gran_Sasso,_Lastensegler_DFS_230_C-1.jpg
●DFS230C-1グライダー

 コマンド部隊が使用した航空機は、DFS230というグライダーでした。12機のDFS230に分乗して一気に降下、4機が着陸に失敗して負傷するものの、残りのコマンド部隊が救出作戦に向かいました。このグライダーは作戦成功後、回収できないものはその場で処分することになります。

 この作戦では山頂の狭い場所に着陸するために胴体前部に3個の逆推力ロケットを装備した急襲型DFS 230 C-1 が使用されます。

  このDFS230より兵員輸送能力が倍以上で、車両も輸送できるゴータ Go242というグライダーや、動力をつけたGo244もあり、こちらも各地で活躍しています。

 

 模型ですが、「フォッケ・ アハゲリスFa223」はHUMA MODELLから1/72スケールで、スペシャルホビーから1/48スケールが出ていますが、現在はどちらも在庫切れのようです。店頭で見つけたらプレミアムものですね。

Cap 553.jpg→1/48はAmazonへリンクします。

 「Fi156シュトルヒ」 は、嬉しい事に1/144タカラWTM3弾で出ていました。10年以上前の発売ですが、人気のシリーズだけあって中古屋さんでも簡単に入手できます。値段も300円位でありますね。ヤフオクか鑑定団などの中古ショップで探すのが良いかと思います。

fi156_02.jpg

同スケールの零戦と較べてみました。けっこう大きいですね。翼面荷重を低くする必要があったのでしょう。

ダイキャストモデルの完成品では、まさに救出作戦時の塗装モデルが発売されています。

フィーゼラーFi156シュトルヒ ドイツ空軍 ムッソリーニ救出作戦参加 43年9月12日 SJ+L 1/72 2012年5月25日入荷 FalconModels/ファルコンモデル

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プラモデルでは、ハセガワから1/32スケールで何種類か発売されています。

1/32Fi156C シュトルヒ

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DFS230グライダー」は、スペシャルホビーから1/48スケールで出ていましたが現在は在庫切れ。

あとは、レジン製で1/144スケールがANiGRANDのMe321の付属品としてついてきています。

SC 1.jpg

 このキットの記事はこちらをご覧ください →1/144でもかなりデカイMe321

アニグランド 1/144 メッサーシュミット Me321 ギガント AA4077

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タグ:Fi156 DFS230 Fa223
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Falcon

こんばんは。
この飛行機のラジコンを買おうか迷っていた時がありましたね。
http://www.hobbyking.com/hobbyking/store/__25669__Durafly_Balsa_Series_Fieseler_Fi_156_Storch_1154mm_PNF_.html
飛ばし易すそうな機体です。
by Falcon (2013-09-14 00:32) 

onemore

Falconさま
おぉ!こんなラジコンもあるのですね!!
翼が大きくて飛ばしやすそうです。情報有難うございます!
by onemore (2013-09-14 01:00) 

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