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坂井三郎と零戦


 本日9月22日は零戦のエースパイロット、坂井三郎氏の命日です(1916年8月26日 - 2000年9月22日)。享年84歳でした。零戦といったら坂井三郎という位、有名な方になりましたし、著書『大空のサムライ』は世界的ベストセラーとなりました。イラク空軍では、この著書のアラビア語翻訳版をパイロットの必携書として義務付けていたという逸話もあるくらいです。
 世界的なベストセラーになった影響で、戦後、戦った相手のパイロットたちとの対談や、撃墜されてもおかしくない状況で大型輸送機に搭乗していた元従軍看護婦のオランダ人女性との再会など、数々のエピソードが生まれました。
 
 坂井三郎氏も、生き残った日本軍パイロットに多かった飛行時間の非常に多い古参パイロットです。初期の頃は練度も高く、充分な訓練を積んでいたので、数多くの実戦の中で亡くなるパイロットも多い反面、それでも飛行訓練が充分でないパイロットたちに比べると生き残る率は格段に高いようでした。

 1938年には九六式艦戦に搭乗しており、1940年には最新鋭の零戦に搭乗、1942年に一旦戦線離脱するまで最前線で戦い続けました。
 
 最大の危機は1942年8月7日に訪れます。SBDドーントレスの編隊をF4Fの編隊と誤認してしまい、後方から近づいたところを後部の旋回機銃にやられてしまいます。
 一弾が坂井三郎の頭部に命中、致命傷は免れたが右側頭部を挫傷し、出血多量による意識喪失を繰り返しながらも、約4時間に渡り操縦を続けてラバウルまでたどり着き、奇跡的な生還を果たしました。この時の機体は「V-103」号機で模型でもメジャーですね。

Sakai_wounded.jpg
負傷した戦闘から帰還した直後に撮影した写真


 約2年間もの戦線離脱になりましたが、1944年6月には戦列に復帰し、2機撃墜を果たします。
 しかし、右目の視力を失いつつあった坂井機は母艦へ帰還するF6Fヘルキャット戦闘機編隊を味方零戦と誤認するという以前の坂井にはあり得なかったようなミスを犯し、敵戦闘機15機に包囲されてしまいます。
 結局、奇跡的な操縦で全ての銃弾をかわし帰還するのですが、戦後、「大空のサムライ」が出版されると、この時の相手の一人であったランシー・リッチ少尉というパイロットの評言も得られ、「大空のサムライ」の描写以上に、坂井機が激しく攻勢に出ていたことを示唆しています。

 また、坂井機には、僚機の被撃墜記録がありません。これは352機撃墜のドイツ空軍のエースパイロット、エーリヒ・ハルトマンと同じ記録であり(実際は、一回だけ、僚機撃墜されるものの搭乗員は無事生還)、並大抵の記録ではないとのことです。

 ちなみに日本ではドイツのように厳正な撃墜数を記録することはなく、自称何機撃墜というかたちになっていますが、それでいうと「岩本徹三」氏の200機撃墜が最高で(※80機説もあり)、二番手が「西沢広義」氏の87機。「福本繁夫」氏72機撃墜。「杉田庄一」氏70機撃墜に次いで「坂井三郎」氏60〜80機撃墜(※30機説もあり)。となります。(※エアワールド誌1994年3月号別冊による)


  それにしても撃墜機数に開きが有り過ぎますね。ヨーロッパと違い、戦場が海洋上で広く戦果の確認がしずらいというもの原因の一つにあるように思います。

 坂井三郎氏ですが、戦後は印刷会社を経営しながら、海軍時代の経験をふまえ、太平洋戦争や人生論に関した本を多数執筆しました。
 2000年9月22日、厚木基地で催されたアメリカ海軍西太平洋艦隊航空司令部50周年記念祝賀夕食会で、来賓として招かれ、帰途についた際、体調不良を訴えたため、大事をとっての検査入院中の同日夜に死去されました。享年84。検査中に主治医に配慮して、「もう眠っても良いか」と尋ねたのが最期の言葉となったそうです。

Cap 570.jpg

坂井三郎搭乗機

 

ハセガワ1/72スケールで発売されています。
■21型:台南航空隊 坂井 三郎一飛曹 乗機:
 「V-103」(ラバウル:1942年)、「V-138」(ラバウル:1942年)
■52型丙:横須賀海軍航空隊 坂井 三郎中尉 乗機:
 「ヨ-137」(横須賀基地:1945年)、「ヨ-138」(横須賀基地:1945年) 

Cap 571.jpg

人形まであります。

 

 坂井三郎氏はもう一人のエース、 岩本徹三氏とともに有名ですのでモデル機も多いようです。

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ドイツ軍のエース・パイロットたちはこちらの記事もご参照ください。

→ ドイツ空軍最強の部隊JG52について調べてみた

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タグ:零戦 坂井三郎
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コメント 2

ねじまき鳥

同僚機の被墜落がないのはすごいですね。

by ねじまき鳥 (2013-09-22 08:18) 

onemore

ねじまき鳥さま
コメントありがとうございます。僚機を落とさなかったというのは、
撃墜数よりも誇れることだとは、ドイツの撃墜王エーリッヒ・ハルトマンの言葉ですが、嬉しいセリフですよね。
by onemore (2013-09-25 03:49) 

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