液冷エンジンの三式戦「飛燕」と空冷エンジンを搭載した「五式戦」
さて、国産初の実用液冷エンジン搭載の戦闘機、三式戦「飛燕」ですが、技術の成熟していない液冷エンジンを採用したため、その生産不備や故障、整備の困難性もあり、大歓迎した部隊は一つも無いとまでされています。前線では多少性能が劣っても確実に飛ばせる一式戦闘機「隼」や二式戦闘機「鍾馗」を装備したいとの声もありました。
さらには、パワーアップを狙ったハ140の生産も遅延し、エンジン未装着の飛燕が工場前には多数放置される事態になります。このことを重く見た陸軍は、エンジンを空冷に換装できないかを提案し、1500馬力級の金星62型(ハ112-Ⅱ)を搭載することを決断します。
一方、海軍の彗星も同様の問題に悩まされ、空冷エンジンに載せ替えることになりました。こちらも飛燕と同じく金星62型を搭載することになります。
彗星の方は元々胴体直径が大きいので、エンジンの換装には特に問題は特にありませんでしたが、軽量小型化の戦闘機である飛燕は、ちょっと問題が生じます。
胴体を絞った飛燕の胴体では、段差が20cmほど生じることになります。この段差は気流の乱れとなり渦流が発生し、大きな空気抵抗を生み出します。
対策としては、まずその段差を滑らかに外板で囲います。しかし、これは意外と大きな設計の変更と重量の増加を招くことになります。
そこで出てきた対策はこの段差の部分に排気管を集合排気管形式にして、渦流を排気で吹き飛ばしちゃおうというアイデアです。これはFw190Aをヒントにしました。
ドイツのFW190は日本とは逆で、空冷エンジンから液冷エンジンに換装することになります。
当初搭載した空冷エンジンはBMW139(離昇出力1,550馬力)を使って開発されました。
これは液冷のDB601系エンジン(離昇出力1,075馬力)がBf109その他の機体に採用され、工場側の生産と供給の能力が手一杯であることから、別のエンジンを使用するよう空軍当局が指示したともされてますし、設計者のタンク技師自身が選定したという話もあります。
このカウリングの直径をぎりぎりまで絞った上にオイルクーラーやオイルタンクをエンジンの前面に搭載、単排気管の推力で速度を稼ぐと言う斬新なアイデアが取り込まれています。
日本にもFW190A-6が輸入されていましたので、このFw190A-5のエンジン装備と空力処理の方式が、五式戦闘機の開発時に参考とされることになります。
五式戦の正面から見るとそのエンジンと胴体の大きさの段差が良く判りますね。
さて、液冷エンジンをきっぱりと諦めて空冷エンジンを「飛燕」と「彗星」ですが、得意の空冷エンジンですので、部隊の評判もよくなります。
飛燕に関しては、直し次いでに今まで評判がよくなかった後方視界のために水滴型風防にしてしまいました。元々はファストバック方式といって空力的にもこの方がよいのですが、パイロットの意見はやはり強いですね。
やはり得意の空冷エンジンですね。陸軍戦闘機最優秀とする意見もあるほどの高性能を示しました。
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