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【P-38】「ペロハチ」という蔑称から「双胴の悪魔」と恐れられた飛行機

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 最初はものすごい違和感を感じたデザインも見慣れてくると、むしろカッコいいじゃないと思うようになってくる時ってあります。
 今回紹介するこのP-38ライトニングもそんな飛行機です。初飛行は1939年1月27日の今日。ライバル零戦の初飛行に3ヶ月早い飛行でした。

 なんで、こんなへんてこなスタイルかというと(今ではまったくそう思わなくなりましたが)、アメリカで開発中のB-17などの高々度爆撃機をドイツや日本が開発してきたらそれを迎撃するための戦闘機が必要というコンセプトを与えられていたからです。

【本来の任務は高々度爆撃機への迎撃】

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 結果的にはそのような高々度爆撃機などを開発する余裕はドイツにも日本にもなく、杞憂に終わりましたが、「単座・高々度防空用の迎撃戦闘機の開発」というコンセプトに応えるには、双発エンジンでなおかつ高々度戦闘用に排気タービン過給機を備えたものを採用します。この長大なターボチャージャーを、空気力学的に最も効果的・実用的に配置するためにそのまま胴体を延長して双胴のスタイルになりました。
 図面を見ても細長い胴体をエンジン構造部分にかなり費やしているのがわかります。
 単発戦闘機に比べかなり、大型化はしましたが、その分、重武装、大容量の燃料タンクなども搭載できることになりました。

 開発時期や初飛行の時期などは零戦と大差ないのですが初期型で既に零戦との速度差が100km/h以上あり、航続距離も零戦より長い3500km以上の航続距離を有していました。双発エンジンのメリットを十二分に活かしていますね。
 反面、運動性は単発戦闘機に較べて大いに落ちますので、日本機とまともに格闘戦を行ったらやられてしまいます。ですので初期の頃は、熟練した日本のパイロットたちにより、低空での格闘戦に持ち込まれ絶好のカモとなってしまう場面も度々あり、日本側からは「メザシ」「容易に撃墜できる=ペロリと食えるP-38」から「ペロハチ」と呼ばれ、バカにされていた時もありました。
 しかし、実際には、急降下で戦場から離脱できる性能が特出していましたので、それを撃墜と誤認されていたといする説もあります。

【ペロハチから双胴の悪魔へ】

P-38.jpg なんにせよ「ペロハチ」と馬鹿にされていた時代はそんなに長く続きません。高速一撃離脱の戦法が徹底され始めますと日本機を圧倒し始めます。エンジン出力の向上などの各種改良の結果、日本にとってP-38は脅威の存在となってきます。
 実際、アメリカのエース1位と2位の乗機はP-38です。また遠距離を奇襲部隊によって山本五十六大将を襲い撃墜に成功したのは有名な話ですね。
 本来の迎撃という任務には就きませんでしたが、高速一撃離脱による爆撃機への強襲や対地攻撃機としては満足のいく性能を発揮、また偵察機としても大いに活躍することができました。
「双胴の悪魔」の異名は出所が謎らしいのですが、本来の得意分野である高々度での戦闘が多いドイツ上空ではその性能をいかんなく発揮し、太平洋戦線では広い洋上で双発エンジンという、信頼性と長距離任務にも十分な性能を発揮し日独にとって大いなる脅威になったのは確かに事実だとえいます。

関連記事→山本長官と一式陸攻、そしてP-38G

関連記事→ 「星の王子さま」とP-38(F-5E)

【双発戦闘機というコンセプト】

 このP-38に見られる双発戦闘機ですが、この当時は各国で開発が進んでいました。双発の長距離戦闘機というコンセプトは、大馬力エンジンが作れなかった時代に戦闘機としての空戦能力にはある程度目をつぶっても、とにかく早く、遠くまで飛べる機体を作ろうとした結果生まれたものが多かったのです。
 しかし、そのどれもが成功したとは言い難く、P-38はその中でも成功したといえる稀有な例であったと思います。
 双発戦闘機が再評価され始めるのは、爆撃機の迎撃などの任務や、重武装が必要な夜間戦闘などの戦いが出てきてからのことになります。

 当初の開発コンセプトから違った使われ方をするとその飛行機にとっては悲劇なことになるのですが、このP-38は恵まれた飛行機であったと思います。

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