SSブログ

レオニダス飛行中隊「KG200航空団」について(その2)

 さて、前回の続きでKG200というドイツ空軍異色の航空団のお話を。
スパイを送り込んだり、鹵獲した敵機を使って要人輸送したり、長距離偵察をしたり、はたまた秘密の最新ジェット機を飛ばしてみたりと、その活動はまさにネタの宝庫。

 ですのでこんなコミックも出ていました。

sh 107.jpg
吉原昌宏氏の「特殊任務飛行隊KG200」

sh 106.jpg
sh 108.jpg

  鹵獲したB-17で要人輸送の任務を行う特殊任務飛行隊KG200を描いた作品です。これ以外にも日本のロケット戦闘機「秋水」などの話など幾つもの作品が収録。第二次大戦機が丁寧なタッチで書かれています。

 さて、今回はそんなKG200の中でも異色の部隊、 第5飛行中隊、通称レオニダス飛行中隊の話ですが、そもそもこの部隊は、計画されたテスト飛行を行っていた部隊でした。最新鋭の無茶ぶりなジェット機やロケット機などの試験飛行ですのでパイロットたちも命がけです。

 そんな折、ロンドンへの攻撃を行っていたV-1飛行爆弾を有人飛行機にして敵機に特攻突撃するという案が出ます。この自己犠牲攻撃を思案したのはなんと、女性パイロットでした。名はハンナ・ライチュ。ドイツの女性テストパイロット、女性初のヘリコプター、ロケット戦闘機、ジェット戦闘機搭乗者として超有名人です。ライチュはヒトラー総統お気に入りのパイロットであったばかりでなく、パイロットとしての腕も度胸も卓越したものであったようです。

→関連記事「4月15日はヘリコプターの日でした。」ライチュのインタビュー動画もあります。

fi100.jpg

 このライチュが中心となって、 1943年から1944年3月にかけて、フィーゼラー Fi103Rライヒェンベルクの試作が行われます。ライチュ自身もテストパイロットを行い、ついに大量戦産が始まります。
 そして同年4月、ヒトラー総統が”レオニダス飛行中隊”と提唱し、第200爆撃航空団第5飛行中隊が創設されました。ライチュ自身も、この“自己犠牲攻撃隊”に初期から志願したメンバーでした。

 しかし、パルスジェットの超高速で向かって行きながら目標直前で脱出するなんで至難の業。実質特攻以外の何物でもないこの兵器を使用することは、まともな人間から見れば狂気以外の何物でもありません。「なんてことを考えるんだ。総統お気に入りのこの女は!」と反発されるのも必須のこと。
 JG200の航空団指令官であったヴェルナー・バウムバッハ大佐が実現へのサボタージュを行い、ついにこの作戦を中止させることに成功します。まともな上司で良かったです。日本と違って合理的な軍人が多かったのですね。

  Fi103Rもドイツらしく沢山の派生型が計画されました。
  1:V-1 
  2:Fi-103R-I (単座訓練型
/無動力)
  3:Fi-103R-II (複座訓練型/無動力) 
  4:Fi-103R-III (単座訓練型 パルスジェット搭載)
  5:Fi-103R-IV (機首に炸薬を積んだ本命の実戦型)

http://greyfalcon.us/restored/The%20V.htmより

 さて、このような無茶な要求な任務をこなしてきたKG200ですが、こんな無茶な作戦も実行されるとことでした。

 爆発物が搭載されたドルニエDo24飛行艇を使用した橋の爆破を目的としたアクティオン24(Aktion 24)作戦です。熟練パイロットが川に着水、そのまま橋に突っ込んで爆破するというものでした。パイロットたちは脱出後、友軍の支配地へ歩いて帰還するという無茶な作戦でしたが実行される前に敵機の攻撃を受けて地上で破壊されてしまいます。

800px-Do_24_V-1-2.jpg

 ドルニエDo24

 作戦を立てる身としてはいいかもしれませんが、行う現場はたまったものではありません。

 KG200の使用した機体は以下のようにひとつの航空団にしては非常に多いものとなっています。
アラド Ar 196アラド Ar 232アラド Ar 240ブローム・ウント・フォス BV 222ドルニエ Do 18ドルニエ Do 335ハインケル He 111ハインケル He 115ユンカース Ju 188ユンカース Ju 290ユンカース Ju 390ジーベル Si 204

Ar232も変わった形をしています。なにこのタイヤの数。でも優秀な機体だったようです。

arado-232-s.jpg

鹵獲機
ボーイング B-17コンソリデーテッド B-24サヴォイア・マルケッティ SM.75リオレ・エ・オリビエ H-246

<関連記事>
→V1(Fi 103)飛行爆弾と桜花

特殊任務飛行隊 KG200

新品価格
¥1,040から
(2014/2/7 11:54時点)

こんな記事もどうぞ

来たよ(16)  コメント(0)  トラックバック(0)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 16

コメント 0

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 1/144ヒコーキ工房 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。