ニュースなど見ているときに出る軍艦の名前を見ていると、ロナルド・レーガンやら安重根やら人の名前がついている艦船も多く、場合によっては「他国への嫌がらせか」というようなものもありますよね。
ま、どこの国でも艦船には州名や人名がつけられるのですが、日本に関してだけは、人名がつかないのが特徴となっています。
これは明治天皇の頃からで、臣下が「他国は偉人の名前がつけられることがありますが、我が国ではいかがしましょうか。」と奏上したところ、同意を得られなかったので、それ以降日本では艦名に人名を使用しないことになりました。
自分たちの国では「偉人」でも他国にしてみれば「侵略者」であったり「略奪者」であったり「テロリスト」、「犯罪者」であるケースもあるので、そういう意味では日本は、人名を用いずというのは余計な騒動を起こさない賢明な判断ではないのかなと思います。巡洋艦「伊藤博文」などがあったらお隣の国の猛反発は必須でしょう。面倒くさいことになりそうです。
日本でも、明治維新の会津や長州の遺恨などもありますしね。
さて、そんな「命名」の仕方ですが、日本海軍の航空機では戦争途中の1942年の途中から名前による形式に変わりました。月光とか、雷電などです。なので、1942年以前に開発された零戦や九七式艦攻、九九式艦爆は記号のみで物にちなんだ名がないのですね。
◆1942〜1945年の正式名称の付け方
その航空機の任務によって名称を変えています。
●戦闘機(甲戦)格闘戦、航続距離重視の陸軍でいうところの「軽戦」にあたる=「風」
(強風、烈風、陣風など)
●戦闘機(乙戦)重武装、上昇力重視。陸軍でいうところの「重戦」にあたる=「電、雷」
(雷電、紫電、震電、天雷など)
●戦闘機(丙戦)対爆撃機用。主に夜間戦闘機にあたる=「光」「月光」、「極光」など
軽戦闘機は「風」の如く、重戦闘機は「雷」の如く、夜間は「光」など、センスがありますね。
●偵察機=「雲」(彩雲、紫雲、瑞雲、景雲など)
●攻撃機=「山」(天山、連山、深山、南山、泰山など)※水平爆撃、雷撃のみ
●爆撃機=「星」(彗星、銀河、流星、明星など)※急降下爆撃可能
●哨戒機=「海、洋」(東海、大洋など)
●輸送機=「空」(蒼空、蒼空など)
●練習機=「草」(紅葉、白菊など)
●滑空機=「草」(秋草(秋水の滑空機)など)
●特攻機=「花」(桜花、藤花、梅花など)
雲を超えて遠くまで行く偵察機、攻撃機は「山」の如く巨体である機が多いからなど連想がし易いネーミングです。特攻機は散ることを前提とした名前を付けるなど、こんな時でも名前を上手くつけるものだと思います。
幻の大型爆撃機「富嶽」は富士山の別名で「山」に分類されるのでしょうが、日本海軍は独特の分類で、急降下爆撃を行える機体を爆撃機、水平爆撃および雷撃のみを行える機体を攻撃機(艦上攻撃機および陸上攻撃機)と分類していましたので、「富嶽」は攻撃機に分類されます。
そういう意味では、傑作機の「銀河」ですが、戦争末期の銀河は機体強度を増して急降下爆撃が可能だったので、爆撃機の「星」がつきます。
また「流星」は艦上攻撃機に分類されていますが、実際には急降下爆撃も可能なので「星」の名前がついています。
特殊攻撃機である「晴嵐」は例外的命名だそうです。任務自体が特殊だからでしょうか。
制式採用された場合の名称は「皇紀年号下2桁」+式+機種名となります。これは1929年(皇紀2589年)の「八九式」から1942年(皇紀2602年)の「二式」まで用いられました。
1940年は皇紀2600年であるためその年に制式採用された機体は「零式」と称しています。
ですので、この年に正式採用になった機体は「零式艦上戦闘機」「零式(三座)水上偵察機」「零式小型水上偵察機」「零式水上観測機」とすべてに「零式」がつくので、わかりづらい事態になっています。
真珠湾攻撃で有名な「九七式艦攻」は皇紀2597年、「九九式艦爆」は皇紀2599年に正式採用ということですね。
日本海軍では、この名称とは別の記号体系があります。零戦ですとA6M3(22型)とかですね。基本的に4桁で表され、最初の記号が機種記号、次の数字が機種毎の計画番号、そして次の記号が設計会社の記号で、最後の数字が何番目の改修型を表すようになっています。
零戦のA6M3ですとA=艦上戦闘機、6=艦上戦闘機の6番目、M=三菱重工 3=3番目の改修という意味になります。
小改造の場合は、A6M5c (52型丙)など、さらに小文字の英数字がつきます。
また、機種が変更となった場合はハイフン及び新たな機種を示す記号が末尾に付与されることになっています。例として水上戦闘機「強風」(N1K1)は局地戦闘機「紫電」となりましたが、この場合の紫電の記号は「N1K1-J」となりました。J=陸上戦闘機
機種記号は以下の通りです。
設計会社記号
一見、わかりづらいようですが、覚えてしまうと、整然としており、分かりやすくなっています。
記号だけでなく、山とか雲とかの名前でその飛行機の任務まで分かるので覚えやすいですね。
ちなみに海軍の軍艦の名前の付け方も決まりがありますので、興味のある方はこちらをどうぞ。
→日本艦船の命名慣例(Wikipedia)
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特攻機の『花』がなんとも・・・
やっぱり『花は散る』に揶揄暗喩ということなんでしょうかね・・・。
by ちょいのり (2014-03-26 01:00)
なるほど。
↑私も花を付けるのは時代だなと思いました。
by 楽しく生きよう (2014-03-26 19:34)
★ちょいのり さま
こんばんは〜。花の名前は短い命という意味合いもあるのでしょうか。
★楽しく生きよう
こんばんは〜。「同期の桜」とかもあるし、桜と軍国日本のイメージってつながりますよね。
お隣の国がよく騒がないものです(笑)
by onemore (2014-03-26 20:59)
なるほど、とても勉強になりました(^人^)感謝♪
by johncomeback (2014-03-26 21:41)