日本の次世代機「心神」の話題から、ステルス機についての記事を。
世界初の実用ステルス機のF-117の開発時期に較べて後から開発されたアメリカの戦略爆撃機B-2はコンピュータの解析性能もあがり、空力的にも洗練されたデザインになりました。
その形は水平尾翼と垂直尾翼がない全翼機と言う特徴的なデザインです。ステルス的には超理想形。但しお値段は1機あたり約2,000億円という超高価!。F-35の調達価格が140億円を超えそうで大騒ぎしているのにこのお値段。
あれ、このデザインは、以前どこかで見たような・・・。そう、これ、第二次大戦のドイツで開発されたホルテンHo.229にそっくりですね。
それもそのはず、B-2の設計の際にこの保管されていたHo229も参考にしたという話があります。
ただし、あくまでも参考ということで、元々開発担当のノースロップ・グラマン社は、全翼機の開発にかなりの研究を費やしており、戦後、YB-35やジェット推進のYB-49などを開発してB-2の実用化にこぎつけています。
ノースロップが心血注いだ YB-35(上画像)と、YB-49(下画像)
利点は多いものの、全翼機がなかなか実用化されなかったのでは、その操縦性の困難さが一因でした。
しかし、近年、操縦・飛行制御システムであるフライバイワイヤが開発されたのと、ステルス性が重視され始めたことから一気に開発が加速されました。
時代を先取りしたHo229ですが、 確かにステルス性は共にあるのですが、最初から狙ったものではなく、アメリカ本土爆撃も視野に入れた長距離と高速性を追求した結果のデザインであり、かたやB-2はレーダー反射を極力抑えたステルス性を重視したデザインからスタートしたということで、開発の行き着く先は共に全翼機になったということらしいです。
それでも、ホルテン兄弟は、全翼機に高いステルス性があることは見抜いていました。
実際に制作されたHo229の主翼は木製で、塗料や接着剤には電波を吸収する炭素粉が混ぜられるなどレーダー反射面積を減らすための様々な方策が施されていたそうです。
ま、モスキートのように全木製の機体はレーダーに映りづらいとか、大戦末期のドイツの資源不足などの関係もあって結果オーライなのですが。
ちなみにこのHo.229を実物大に復元して当時のイギリスのレーダーで調べたところ、レーダー反射率は、あの小型のBf109の4割であったというから驚きです。見つかってからもイギリス本土に十分に到達できたそうなので、迎撃するのはかなり困難であるとの結論でした。
【スミソニアン博物館に保管されているHo.229】
全翼機の開発は、創業者のジャック・ノースロップの夢でもあったそうで、そもそもノースロップ社そのものが彼の夢を実現するために設立されたものであるというから、正に「全翼機にとり憑かれた男」だったのですね。
Ho229を開発したホルテン兄弟もそうなのですが、全翼機には、なにか夢中にさせるものがあるようです。
優雅な姿を見ていると、なんか分かるような気がします・・・。
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敗色濃厚な大戦末期に、近未来的秘密兵器を次々開発したドイツは凄いと思います。
by ロートレー (2014-04-24 09:06)
ロートレーさま
こんにちは~。この頃のドイツの技術開発って実用化が2,3年後のものも平気で行っていたといいますから、不思議といえば不思議ですよね。
by ワンモア (2014-04-24 11:22)
niceありがとうございます。
やっと退院しました。
これから自宅療養です。
記事の作成できるまでになっていないので当面作成済みの記事掲載から再開です。
by 楽しく生きよう (2014-04-24 11:31)
楽しく生きようさま
退院、おめでとうございます。
ごゆっくりと静養なさってください。
by ワンモア (2014-04-25 01:48)
ドイツの技術はすごいですね。
ステルスの原型って、そんなに昔からあったんですね。
知りませんでした〜♪ (๑◔‿◔๑)
by desidesi (2015-07-11 13:20)