この冬に発売予定のハセガワ1/48スケール「撃墜王 蒼空の7人」に登場するエースについて機体と共に記事をアップしようと思います。
今回は4回目、フィンランドの撃墜王、エイノ・イルマリ・ユーティライネンを紹介します。
◆無傷の撃墜と称された英雄
エイノ・イルマリ・ユーティライネン(Eino Ilmari Juutilainen、1914年2月21日 - 1999年2月21日)は、フィンランドの空軍軍人で、94機+1/6の撃墜のトップエース・パイロットです。
出撃437回、94機撃墜の公認撃墜数は、100機以上のエースを輩出した第二次世界大戦中のドイツ空軍以外では世界最高位のものです。◆ソ連の2度の侵略から独立を守りぬいたフィンランド
第二次世界大戦の最中、フィンランドは自衛のための戦争を強いられます。そう、それはソ連の侵攻です。
1939年8月23日の独ソ不可侵条約により、野心を抱く両国はその牙を周辺諸国に剥き始めます。ドイツはポーランドを、ソ連はバルト三国の領土を狙います。
ソ連のフィンランドに対する侵攻は、1939年11月30日から。
明らかな侵略行為に対して国際社会から非難を浴びたソ連は、1939年12月14日に国際連盟から追放されますが、そんなことは、何らの実効性も持ちません。
スターリンは、フィンランド軍の3倍もの兵力を投入すれば、一ヶ月もかからずにフィンランド全土を制圧できると考えます。
しかし、ここで思わぬ反撃に遭います。フィンランド軍マンネルヘイム元帥(後に第6代大統領)率いるフィンランド軍の粘り強い抵抗の前に非常な苦戦を強いられたのです。
スターリンの当初の目論見は崩れ、フィンランドは1940年3月まで戦い抜きました。しかし、長引けば不利になっていくのは国力の差からも明らかです。日露戦争の日本と同じく、妥協点で講和条約を結びます。その結果は、最終的に国土の10%、工業生産の20%が集中する地域をソ連に譲り渡すという屈辱的な条件ではありました。
これが俗に言う「冬戦争」と呼ばれる期間で4ヶ月あまりの戦争でした。
もちろんスターリンはこの結果に満足できず国防相に怒り狂ったといわれています。
バルト三国がソ連領化されるとフィンランド国内では仇敵ソ連に対する脅威感が更に高まります。連合国があてにならず、北欧諸国も当てにならず、共産圏の脅威が忍び寄るフィンランドは枢軸国ドイツとの関係を深めざるおえませんでした。ソ連に対抗するにはドイツの物資に頼るしかなかったのです。
冬戦争の終結後の1年後あまりの、1941年6月22日。ドイツがソ連攻撃を開始すると、フィンランドは再び戦争に巻き込まれます。これが「継続戦争」といわれるもので期間は、1941年6月25日 から1944年9月19日の3年に及びました。
フィンランドのエースたちが戦ったのはこの2つの戦争の期間になります。
フィンランドは継続戦争で冬戦争以上の多大な犠牲を払いましたが、圧倒的な戦力差を誇っていたソ連軍はまたしてもフィンランドの3倍以上という大損害を受けました。
フィンランドは巨大な大国ソ連に対して勇猛果敢に抵抗し、独立を守りぬいたのです。
◆乗機Bf109G-2
ユーティライネンは、当初は偵察機のパイロットでしたが、戦闘訓練を受け、冬戦争にフォッカー D.21で立ち向かいます。フォッカーとはオランダの戦闘機、冬なのでソリ装備です。
冬戦争では、115回の出撃でしたが、撃墜数は2+1/6機だけに終わりました。彼がトップエースに踊り出るのは、一年後の継続戦争からでした。
1941年3月、ユーティライネンは准尉に昇進。搭乗機種は有名なブリュースター
バッファローに機種改変し、6月の継続戦争開始を迎えます。
1942年3月には通算撃墜数は20機を超え、マンネルヘイム十字章を受章しました。
その後、エースばかりを集めた第34戦闘機隊が編成されると、ユーティライネンもここに移り、最新鋭のBf109G-2に搭乗、そしてG-6とトップエースに相応しい機種に搭乗し続け、撃墜スコアを伸ばしていきます。
彼の撃墜数の6割にあたる58機はこのBf109によるものでした。
それにしても出撃回数473回で被弾したのがかすった1発だけという、不運な事故に会い続けるカタヤイネンとは偉い違いですね。
→ついてないカタヤイネン(その1)〜フィンランドのエースパイロット
フィンランドの戦争は、1944年の9月に終わります。その後、ソ連との休戦と同時に条件であった駐留ドイツ軍をフィンランドから排除するためにラップランド戦争を行いフィンランドの戦争は終結します。
戦後は、敗戦国としての扱いを受け、軍隊も大幅に縮小。1947年5月、ユーティライネンは恩給を受け空軍を退職し、軽飛行機(一説には中古のフィーゼラー シュトルヒ)を入手し、その後10年間、さまざまな航空ショーに出演し余生を楽しみました。
◆ユーティライネンの乗機について
彼の搭乗機は、B-239ブリュースターバッファロー(BW-364) 、メッサーシュミットBf109G-2(MT-212号機、MT-222号機)、Bf109G-6(MT-426号機、MT-457号機)が知られています。
これも有名な機体です。
関連記事
→WKCバッファロー/フィンランド空軍仕様
(F2Aバッファローのレビューと解説記事です)
→フィンランドバッファローとI-16のデカールが発売!
(1/144でバッファローのユーティライネン機が作れます)
→ウィングキットコレクションVol.11 Bf109フィンランド空軍!特典
(ホビコレ限定の1/144のBf109G-6のユーティライネン機です。)
→フィンランド空軍機の塗装について
(自分で塗装するなら、専用塗料がセットで販売)
◆ハセガワ1/48スケール「撃墜王 蒼空の7人」
このキットは、Bf109G-2です。デカールは1種類のようで、1943年2月のMT-222号機ですね(黄の2)。継続戦争が始まって約半年後の激戦期間の時の機体です。
G-2はGシリーズの初期型で13mm機銃で膨らんだコブがないスマートなタイプです。
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