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本日は真珠湾攻撃の日。「トラ・トラ・トラ」の意味は?

 
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魚雷攻撃を受けるアメリカ戦艦群(日本軍機から撮影)

 12月8日のこの日は、ついに日本が米英に宣戦布告と同時に真珠湾攻撃をした日です。日本時間では1941年12月8日未明。ハワイ時間では、12月7日のことでした。
 この日から日本とアメリカは4年にも渡る長い
戦争を繰り広げていくことになります。
 今年は、その73年目。奇しくも映画「トラ・トラ・トラ」なども調べて
T-6テキサンを零戦バージョンにしている最中ですので、これも何かの縁でしょう。

 この「
真珠湾攻撃」は、宣戦布告と同時にアメリカの前線基地であるハワイの太平洋艦隊を叩き、一挙に戦局を日本に優位に持って行こうとする山本五十六長官の発案で実行されました。留学や駐在でアメリカの工業力などをよく知っている山本からすれば、短期決戦でしか日本が勝つ見込みがないことを知っていたからです。

 真珠湾攻撃は、日本の虎の子である空母6隻、その他の艦船14隻、航空機350機という当時の主力の大半をつぎ込みます。日付変更線を越えハワイへ向かう途中の連合艦隊へ入ってきた有名な開戦の暗号電文 ”ニイタカヤマノボレ1208”は12月8日未明に攻撃を行うことを意味しています
Cap 746.jpg

 映画のタイトルになった”トラトラトラ”は、真珠湾攻撃が奇襲により開始されることを伝えた電信の暗号略号で、意味は「ワレ奇襲ニ成功セリ」
 攻撃隊長・淵田美津雄中佐の搭乗する九七式艦攻から第一航空艦隊司令部に宛てて発信されました。
 しかし、これは奇襲に成功したという意味で、攻撃そのものが成功したという意味ではありません。
 敵の状況に応じて奇襲、強襲と使い分けていたのですが(敵が防御態勢が充分でない場合、「奇襲」になり艦攻が優先して攻撃を行う。敵の防御がある場合は「強襲」になり艦爆が優先して攻撃を行う。)日本軍の攻撃が「奇襲」で行くという判断になったので、雷撃を意味する「トラ」になったとされます。これが強襲だと「トキ」であったとする諸説もあるようで。
 場合によっては「トキ・トキ・トキ」になった可能性も?

 また別の説では、聖徳太子が信貴山にて物部守屋討伐の戦勝祈願をした際に、寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天が聖徳太子の前に現れ、その加護によって物部氏に勝利したという伝説にちなみ、日本の勝利を願って電文を「トラトラトラ」としたというものや、 真珠湾攻撃を受けた側であるアメリカでは、「タイガー・タイガー・タイガー」と訳して「タイガーのように襲いかかる」と解釈されることもあったそうで。アメリカ人的にはイメージぴったりですね。

 ”寅”さんの渥美清が出ているのも偶然?
Cap 747.jpg
トラ・トラ・トラの寅さん・・・


 ちなみにこのシーン、アメリカ公開版ではカットされているそうです。

 この映画ですが、内容的にも日米の軍人や民間人が戦争を回避しようと奔走し、それでも悲劇的な太平洋戦争の幕を開けなければならなかったというお互いの立場を公平に扱ってくれています。
 また史実では、日本の外交官のトンでもないミスで、結果的に騙し討ちに近い状態になったのですが、実はルーズベルトたちは真珠湾攻撃の計画を知っていてあえて日本に攻撃させたという説も日米双方に根強くあり、映画でもそれを匂わせる描写があります。
→真珠湾攻撃陰謀説

 また、現場のキンメルを司令長官とする合衆国太平洋艦隊も日本軍の奇襲の予兆のいくつかをキャッチしつつも重要視することなく無防備で油断していることも描かれています。

Cap 748.jpg
 このようにお互いの立場を公平にあつかってくれているのですが、それは、しっかりとした原作が実はあって、メリーランド大学のゴードンブランゲ教授の著作なのですが、歴史学専攻の教授が戦後20年に渡り日米双方の関係者に数千回もインタビューを行いました。そのエッセンスがこの映画に凝縮されたといってもよいのでしょう。
 この原書はリーダーズ・ダイジェスト版から「トラ・トラ・トラ真珠湾奇襲秘話」として翻訳出版されています。
 そして映像技術的にも当時の日米が持てる映像技術のすべてをつぎ込んでいます。

 2001年にもこの真珠湾攻撃を題材にした「パールハーバー」という戦争映画(実際は恋愛映画)があるのですが、こちらは最新鋭のFSXも駆使しているにも関わらず、日本の考証がメチャクチャで、評判はすこぶる悪いです

 偏見的な描写はアメリカ国内でも注目され、アメリカの有名な映画評論家であるロジャー・エバート「この作品は真珠湾攻撃を知らないか、第二次世界大戦さえも知らない観客を対象に作ったのだろう」と批評されています。
 毎年の映画最低賞(ゴールデンラズベリー賞)にもノミネートされました。


 昔の映画の方がちゃんと考証もしっかりして、シナリオの出来がよいなんて情けない話ではありますね。考証に時間とお金をかけるよりも、受け狙いの商業主義のなせる業なのでしょうか。

 さて、この映画で使用されたT-6たちは、その後も生き残り、エアショーなどで活躍しています。真珠湾攻撃を題材にした空爆エアショーも行われており、こういう所がアメリカって感じですね。

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コメント 7

楽しく生きよう

ルーズベルト大統領が知っていた下りは忘れていました。
この映画何度か観たんですが。
by 楽しく生きよう (2014-12-08 17:20) 

ワンモア

★楽しく生きよう さま
アメリカ軍の高官が、「ルーズベルト大統領は日本からの最初の攻撃を望んでいる」のセリフがちらりとあったと思います。これが書籍に描かれている日本側の奇襲を待ち望んでいる(それでいて空母などの主力艦隊は逃がしておく)陰謀説へと繋がっているのだと思われます。
by ワンモア (2014-12-08 19:20) 

駅員3

当時のハワイ在住日系人を思うと、心痛みます。
by 駅員3 (2014-12-08 19:40) 

ロートレー

トラ・トラ・トラ は臨場感たっぷりの映画でしたね!
飛行場が空襲され外れたプロペラが回転しながら地面を駆け回る迫力画面が忘れられません。
by ロートレー (2014-12-08 20:06) 

ワンモア

★駅員3 さま
強制収容所に送り込まれた在住日系の方々の苦労ははかりしれないものがあると思いますが、それを跳ね返すべく従軍した日系部隊の第442連隊の活躍を見ると胸が熱くなります。

★ロートレーさま
確かP-40だったと思います。FSXでない実写ならではの迫力がありますよね。
by ワンモア (2014-12-08 21:10) 

タイド☆マン

今 こうしている間にも
戦艦アリゾナからは 重油が流れ出ているのでしょうか
by タイド☆マン (2014-12-08 22:37) 

ワンモア

★タイド☆マンさま
ウィキで見たら、2010年現在では、現在も船体から油が漏れだし水面に浮かんでいたそうです。
乗組員達は最後の生存者が死ぬまで油は漏れ続けるだろうと語っているそうで・・・・。
by ワンモア (2014-12-08 23:06) 

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