買い物をする時に、カタログのスペックを見るのは消費者としては重要なのですが、それに囚われてしまうと思わぬ地雷を踏みかねません。
車の燃費だって、カタログでは最高の状態での数値が記載されてあって、誰しもこの通りの燃費で走れるわけがないというのは薄々知っています^^;
そこで、既に運転している人の口コミとかを参考にするのですが、書いてあることを鵜呑みにする、俗にいうスペック信仰に陥ると、メーカーの思惑に思わずハマってしまうことってありますよね。車以外にも、家電、PC等など製品全てに言えることですが。
でも、メーカー側も買ってもらいために、意図的であるにせよ、ないにせよ、数値をなるべく良く見せたいと思うのはしょうがないところ。
今回はそんな疑惑のスペックのある話を(笑)。
究極の戦闘機?フォッケウルフTa152H
最強のドイツ機といえば、ちょくちょく出てくるのが、このフォッケウルフTa152H。ぐーんと伸びた主翼が特徴的で、ひと目で高々度戦闘機であることが分かります。
エフトイズVSシリーズ2でも発売されるフォッケウルフTa152H。
「究極のレシプロ戦闘機」、「世界最高の戦闘機(『フォッケウルフ戦闘機』鈴木五郎著 集英社NF文庫)」と呼ばれ、ドイツ機ファンには人気の戦闘機です。私もその言葉に魅了された1人です。Ta152、神みたいな(笑)。
松本零士の「戦場まんがシリーズ〜ザ・コクピット」の「成層圏気流」に出てくるTa152H-1ラインダース機なんかは、必殺の秘密兵器として登場します。
◆外見を大きく変えたフォッケウルフFw190
Ta152HはフォッケウルフFw190シリーズの最終形です。1941年の夏にBf109の補助機的扱いからデビューしたFw190A型は、スピットファイアMKⅤを圧倒します。
1944年には不足していた高高度性能を改善するため、エンジンを液冷エンジンのJumo 213Aに換装したFw190D-9型が登場し、胴体が延長され、そして、本命のTa152Hでは主翼も延長されることになるのです。
通常は新型機が出ると旧型は生産ラインが止まるものですが、このFw190A型はD型がデビューしてもその後も生産が続けられたことから基本設計が優れていたことが窺い知れます。
ちなみにTa152Hですが、この機体から、フォッケウルフの”Fw”が設計者のフォルトタンク博士の今までの実績により、個人名のタンクの”Ta”が付けられるようになりました。ま、タンク博士が強く主張したらしいですが。それ以降の開発された機体もTa183など個人イニシャル名になります。
Fw190A→Fw190Dで胴体が伸びて
Fw190D→Ta152Hで主翼も伸びます。胴体も更に延長。
もはや別物?という感じがしないでもないです。
◆なぜこんなに外観が変わったのか
このようにメッサーシュミットBf109と比べ、外見が大きく変わったことには理由があります。それはエンジン。戦闘機用として優れたダイムラー・ベンツのエンジン(DB601系)を回してもらえなかったところにそのスタートがあります。
当時は「戦闘機はBf109一機種で充分だ、2機目の戦闘機など時間と金の無駄だ」と軽くあしらわれていました。しかし、これで、メラメラと闘争心に火をつけたフォルトタンク博士、Bf109の弱点をカバーして余り余る戦闘機を開発します。
これが、Fw190A型。回してもらえそうにない液冷のDB601には早めに見切りをつけて空冷エンジンのBMW139を採用します。戦闘機に空気抵抗の大きい空冷エンジンでしたが、小型の機体に大馬力のエンジン、胴体を絞り込んだ設計など斬新なデザインは、その後の日本の五式戦やアメリカのF8Fベアキャットの開発にも影響を与えることになります。下の図からもエンジンから尾部にむかって絞りに絞った胴体であることが分かります。
こうして、華奢で搭載能力の低いBf109の弱点に対して、頑丈で搭載能力の高いFw190Aは、使い勝手の良い”軍馬”として大活躍をしていきます。私的にはお互いの弱点を補完し合える良いライバルだと思うのです。
しかし、このBMW139の最大の弱点は高度6,000mあたりから急激に出力が落ちること。冷却システムを改良したBMW801も同様でした。
そこで、液冷のユモ213エンジンを搭載したD型がデビューすることになります。
戦場の主戦場の空域が、地上部隊支援の低空〜中高度から爆撃編隊迎撃の高々度空域へと移りつつあることも開発に拍車をかけることになります。
◆長い主翼は何のため?
Ta152Hの最大の特長は、見てすぐ分かるような長い長い主翼だと思います。翼面積23.50m2は零戦21型22.44m2よりも大きいです。さらにアスペクト比(主翼の翼幅と翼弦長の比)8.87も零戦21型の6.24、零戦52型の5.68に比べて高いですね。数値が高いほど浮力を増すので高々度戦闘機らしい数値になっていると思います。
空気の薄い高空では、主翼の仰角を大きくすることで揚力を確保します。少し機首上げ姿勢になったまま水平飛行するのですが、こうした状態では主翼の誘導抵抗が大きくなるため細長い主翼にすることで誘導抵抗の減少を図っているのが高々度用の翼の特徴です。
このデメリットですが、この長い翼は、空気の密度が高い低高度〜中高度では、当然、大きな空気抵抗になります。戦闘機を活躍させる空域によって形状もまた異なるという訳ですね。
さて、このようにFw190A→Fw190D→Ta152Hと大きくその外観を変えてきたTa152Hが、なぜ究極の戦闘機と呼ばれるようになったのか。そこら辺の事情を次回に記事にしたいと思います。
→続くです
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拙ブログへのコメントありがとうございます。
僕は震災の4日前に列車で久慈→大船渡を走りました。
三陸鉄道は復旧しましたが、地域の復興はまだまだです。
by johncomeback (2015-06-10 09:49)