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本日はリンドバークが大西洋単独無着陸飛行に成功した日です。

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 本日は、チャールズ・リンドバーグ大西洋単独無着陸飛行に成功した日で、「リンドバーグ翼の日」ともなっています。 「翼よ、あれがパリの灯だ」のセリフで有名ですね。
 1927年5月21日のこの日、前日にニューヨークを出発して約33時間の飛行を行い、パリに到着したことを記念してつけられました。

 当時の航空機の進歩は目まぐるしく、その可能性と技術向上のために世界各国では多くのレースや記録に賞金をかけて盛り上げていました。
 ニューヨークからパリ間の大西洋単独無着陸飛行も、成功した最初の飛行士に対して賞金25,000ドルがかけられ、多くの飛行士が挑戦し、そして失敗していきます。
 そんななかの1927年5月。アメリカの無名ともいえる若干25歳のリンドバークが無着陸横断飛行を達成します。このことによりリンドバークは世界中で一躍有名人になるのです。

 搭乗していた飛行機は、特別に改造した「スピリット・オブ・セントルイス」と名づけた単葉単発単座のプロペラ機。
 ベースは、当時生産されていた4座の単発郵便機ライアM-1という機体で、航続距離を伸ばすために燃料タンクを増大しため、正面が見えなくなり、主翼も大きく伸ばしています。
 正面に窓がないなんてちょっと怖いですが、リンドバークは、機体後部に操縦席を持つ旧式の郵便機の操縦士をしていたので、このような視界の成約の操縦には慣れていたとのこと。
 
 ちなみに
有名な言葉、「翼よ、あれがパリの灯だ!」ですが、この台詞は後世の脚色であり、実際にはしゃべっていないみたいですね。このセリフの出所は自伝 "The Spirit of St. Louis" の和訳タイトルでだそうです。
 
実際に発した最初の言葉としては、「誰か英語を話せる人はいませんか?(この後英語を話せる人に「ここはパリですか?」と尋ねる)」であるという説と、「トイレはどこですか?」であるという説の2つがあるそうで(笑)。
 個人的には「トイレはどこですか」を押したいです(笑)。33時間も操縦して我慢している方がなんか人間味があっていいですね^^;

 さて、一躍有名になったリンドバークですが、その知名度のために数年後、彼に悲劇が襲います。
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 1932年3月1日に1歳8ヶ月の彼らの息子のジュニアが自宅から誘拐され、10週間に及ぶ探索と誘拐犯人との身代金交渉の後に、ニュージャージー州ホープウェルで5月12日に死んでいるのが見つかったのです。(リンドバーグ愛児誘拐事件)。犯人が特定されたものの冤罪説もあり、非常に謎が多いことで知られています。
(→右画像は当時の報道の新聞)

 このような悲劇と、有名税ともいうべきマスコミの異常な報道過熱ぷりっに嫌気がさしたリンドバーク夫妻はアメリカを離れ、ロンドンに移住するのですが、第二次大戦が近づくにつれ、リンドバークの運命も暗転していくことになります。

 ナチス政権になって軍備増強を警戒してきたアメリカ軍は、リンドバーグにドイツ空軍の視察を依頼します。
 リンドバークはまだまだ有名人ですので、ナチス政権下のドイツでも彼は英雄扱いです。第一次世界大戦のエースだったヘルマン・ゲーリングなどとも面会し、何度かドイツ旅行へと行くのですが、リンドバークは、ナチスから勲章をもらったりして、親密になりすぎているのではと批判を受けることになります。
 特にユダヤ人が多いアメリカでは、ユダヤ人差別の政策やその強権にナチス批判が沸き起こっていたのです。しかしリンドバークはナチス・ドイツの肩を持った訳ではありませんが、逆にユダヤ人批判をしています。

「映画界のみならず、どこの世界でもユダヤ人が支配している」という発言はアメリカ中からものすごい非難を受けることになります。
 
また、戦争中は、自分自身の反戦主義から参戦派のルーズベルト大統領を批判し、彼から恨みも買われています。

 こうして、大きな賞賛の人生の後には、同じように多くの非難の人生を送ることになるのですが、それもまた彼が注目されてきた人物である証拠だと思います。
 しかし、彼はそういう賞賛や批判とはまったく別の所で情熱をかけていました。

 それは人工心臓の開発でした。まだ、彼の名声があった大戦前の頃、生理学者アレクシス・カレルを訪れ、人工心臓の開発にも携わっているのです。
 彼の姉は、心臓病弁膜症を患っており、心臓病の治療法を開発したいという思いからアレクシス・カレルと共に1935年、世界初の人工心臓である「
カレル・リンドバーグポンプ」の開発に成功します。これが今日の人工心臓の原型となっています。
 彼の工学知識とカレル博士の生理学知識の見事な融合の成果だと思います。

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アレクシス・カレル(Alexis Carrel, 1873〜1944)

 ちなみにアレクシス・カレル博士は日本で『人間この未知なるもの』のベストセラーでも有名で、ノーベル受賞者でもあります。

 さて、リンドバークの晩年は、そういう
自然環境の保全に力を注ぐようになり、世界各地を回り、環境保護活動に参加、多額の資金を寄付しています。1970年には来日し、大阪万博を訪れました。また、文明に頼らず自然な生活を好むようになったと言われています。
 
 それにしても、リンドバークという人物は、若い頃は工学を学び、最先端技術の航空機を操り、そして姉のために医学界に貢献し、晩年は文明を否定するかのような生活を送り、環境保護運動に力を入れる・・・。
 なかなかすごい人生だと思います。常に冒険心とチャレンジ精神を忘れない人だったのでしょうか。
 
LindberghStLouis.jpg
 

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コメント 2

楽しく生きよう

子供の頃何度も伝記を読み返したのを覚えています。
なのに忘れていました。

しかも、エッチングパーツで組むスピリットオブセントルイス号をゴールデンウィークに組んだばかりなのに。
by 楽しく生きよう (2015-05-21 17:01) 

ワンモア

★楽しく生きようさま
エッチングパーツのスピリット・オブ・セントルイス号見たいです^^
by ワンモア (2015-05-24 01:14) 

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