今度、発売されるエフトイズ「ウイングキットコレクションVol.15」の零式観測機の話を。
11月発売予定の二式水戦と零式観測機
零式観測機(零式水上観測機)は、太平洋戦争の一年前の昭和15年に正式採用されました。この年に採用された軍用機はすべて「零式」の名称がついています。これは昭和15年(1940年)が、皇紀2600年にあたる年だからですね。
零式艦上戦闘機(通称零戦)が最も有名ですが、この零式観測機の他にも、零式小型水上機、零式水上偵察機、零式水上初歩練習機、零式練習用戦闘機、零式輸送機など、多くの機体が正式採用された年でもありました。
小型水上機とか水上偵察機とか名称だけでは、ちょっとわかりづらいですよね^^;
さて、この零式観測機ですが、開発目的は、戦艦などの砲弾の着弾観測にありました。
当時は、大艦巨砲主義全盛の時代。海戦の主流は戦艦同士の砲撃戦になるものと考えられていたのです。
完成間近の戦艦大和 46cm砲の最大射程は42kmにも及ぶ。
射撃性能も向上して、40kmもの先との敵との撃ち合いは水平線の向こう側への射撃となります。
この味方の射撃の着弾の位置を精密に観測して、次の斉射のための修正指示を出すための観測が目的の航空機、それがこの零式観測機だったのです。
水上機コレクションパンフより
零式観測機の任務は非常に過酷なものになると想定されていました。敵味方両方の艦隊を視野に入れるためにはマイナス30度近い高度7000mまで上昇、砲弾が飛び交う中で着弾の状況を母艦に打診し続けねばなりません。
更には敵と遭遇したら空中戦で自らの身を守らなくてはなりません。求められていた性能は、戦闘機とも互角に戦える性能でした。
また、狭い戦艦の甲板での取り回しも考慮した結果、零式観測機は、日本海軍最後の複葉機として設計されることになりました。 しかしながら、複葉機でありながら胴体は全金属製のセミモノコック構造という最新のものに仕上がっています。
収納時には、プロペラの幅ぴったりのサイズに収めることができました。
カタパルトで発進、回収はクレーンというまさに水上機ならではの運用方法。
さて、こうして期待通りの性能を発揮し、無事採用となった零式観測機ですが、実際の観測機としての活躍はほぼ皆無に終わってしまいした。
それは、戦艦同士の砲撃戦がすでに時代遅れになっていたからです。この大艦巨砲主義を過去のものにしてしまったのがほかならぬ日本海軍そのものであったことも皮肉なものですね。
真珠湾攻撃から始まった航空機の運用が海戦の勝敗を決めることを証明してしまったのです。
最初で最後の着弾観測の任務が訪れたのは昭和19年10月のサマール沖海戦。戦艦大和が米艦隊に向けて最初で最後の砲撃戦を挑みました。2機の零式観測機が任務に飛び立ちましたが、発進直後から米戦闘機の追撃を受け、本来の任務を早々に放棄しなければなりませんでした。
観測機としての任務が果たせなかった零式観測機でしたが、その一方で、その格闘性能を買われ、水上偵察機、または掩護にも意外な活躍を見せます。二式水戦と肩を並べ、様々な任務で幅広く活躍することになるのでした。
生産機数は約700〜1,000機。水上機としては多くの生産機数を誇る傑作機となりました。
工場のラインでの零式観測機です。構造が良く分かる貴重な映像です。
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<参考記事>
→零式水上観測機→フロートを履いた零戦。二式水戦
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2015-09-27 19:37
来たよ(38)
コメント(4)
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共通テーマ:趣味・カルチャー
こんばんは〜色々と勉強になります!
またコメント下さいね、3Q〜です。
by Hide (2015-09-27 21:25)
観測機は艦これでも大活躍です^^
by アニ (2015-09-27 21:41)
複葉機、大好きです〜♪(๑◔‿◔๑)
観測機っていうのは最近まで知りませんでした。
こんな動画よく残っていますね〜♪(((o(*゚▽゚*)o)))
by desidesi (2015-09-28 00:31)
拙ブログへのコメントありがとうございます。
へぇ~、零式の飛行機ってそんなに種類が
あったのですか、いつも勉強になります(^^)ニコ
by johncomeback (2015-09-28 05:46)