模型の製作で一番面倒といいますか気が乗らない作業が、窓枠の塗装なのです^^;
マスキングするのも大変で、専用のマスキングシートが発売されている位です(笑)。みんな苦労しているんだなぁと思いつつ、それに励まされて1/144の細かいマスキングテープを貼りまくる私でした。
特に日本機は視界が悪くならないの?という位、窓枠が多いですね。この風防に使われている素材は、アクリルなのですが、別名「においガラス」とも呼ばれていたそうです。今回はこのアクリルガラスについて記事にしてみたいと思います。
においガラスと匂いの記憶
松本零士の戦場まんがシリーズ「ザ・コクピット」の「アクリルの棺」というタイトルの作品があるのですが、この中で主人公の息子が語っている「においガラス」という表現が気になっていました。
こすると甘い匂いがすることから、当時の子どもたちは拾っては嗅いでいたそうです。なんでも密柑やリンゴのような匂いだそうで。大戦機や複葉機などは直接触ったりいじる機会はあったのですが、こすってみたことはなかったので実際に確かめてみることはなかったです。
ただ、意外と傷だらけで、曇っている印象がありました。
「匂いガラス」という表現は文学やドラマにも取り上げられています。有名なところでは、タイトルもそのものズバリの『匂いガラス』(1986年NHK)や、中島みゆきさんの『匂いガラス~安寿子の靴』。
視覚や聴覚に比べて匂いというのは記憶を喚起する力がとても強いと言われています。匂いを嗅ぐことで昔の記憶や思い出がよみがえりやすいのですね。言われてみると確かにそうかも。
夏の草の匂いや、古い木造建築のカビの匂いを嗅ぐと、今は無き田舎の木造家屋や蔵などで遊んだ遠い記憶が蘇ってきます。
ちなみに脳は香りが何もないより、香りを嗅ぐことで記憶力が増す傾向にあるので、記憶力を高めたいと願う人におすすめなのが、勉強の際に部屋に何かの香りを漂わせる方法だそうで。学習する時に香りを嗅ぎ、夜、睡眠の間に同じ香りを嗅ぐと記憶力が高まることが証明されているそうです。香りの秘密って色々ありそうで面白いですよね。
日本機に窓枠が多いのは曲面加工が難しかったため。
さて、日本機で、窓枠が多いのは、曲面の加工が当時はまだ難しかったからと言われています。工業力のあるアメリカのP-51などの一体風防を見ると、なんか無性にうらやましいなと感じます^^;
同じ日本機でも陸軍機と海軍機とでは窓枠の数も違いますが、これは、風防の大きさと関係がありそうですね。広い洋上で長時間飛行する海軍機は、索敵のためにも、なるべくゆがみにくい大きな風防が必要でした。なので、風防を大きくしてカーブを少なくしたのではないかと思われます。
初期のころのアクリル風防は、精度も悪く視界もよくなかったようです。
アクリルの歴史
このアクリルの風防ですが、一般的に工業化されたのが1934年だそうです。結構、戦争間際でギリギリですね。
ガラスに比べ、傷には大変弱いものの、重いガラスに比べて飛行機の風防にはもってこいの素材でした。なので、急激に開発が進むことになります。
また、空気抵抗の軽減の意味からも曲面加工が必須でしたが、この点でもガラスに比べて粘度もあることから加工がしやすかったといえます。
ジェット化されてくると、マッハの世界では、表面温度が上がるため、通常のアクリルの風防では熱に弱く、変形してしまうこともありました。
そのため、更なる開発が続けられ、現代の風防は強化アクリルガラス製になっています。
現代の旅客機のコクピットの窓ですが、アクリルとガラスなどの5層構造だそうで。ガラスだけですと急激な温度変化や鳥などの衝突に弱いので、柔軟性のあるアクリルとの組み合わせになります。でも内部で剥離をすると交換に。その交換のお値段、1枚300万円ほど^^;
飛行機は、晒される外気の気温の差がかなり激しいので頑丈かつ柔軟性が必要なのでしょう。
ちなみに車の窓ガラスはガラス(安全ガラス)だそうです。アクリルはダメみたいですね。曲面では映像のひずみが出るのがその理由。あとワイパーも動かすので傷がつきやすいのかな。
暮らしには欠かせないアクリルですが、”匂いガラス”って現在でも手にはいらないかなぁなどと思っております。
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匂いガラス、聞いた事あるような無いような・・・(-_-;ウーン
今回も大変興味深く拝読させていただきました。
by johncomeback (2015-11-16 09:03)
★ johncomeback さま
こんにちは~、匂いガラス、ドラマで流行ったみたいです。
by ワンモア (2015-11-17 07:35)