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川棚海軍工廠と航空用九一式魚雷

97式.jpg


 日本の九七式艦攻を作りたくなり、付属の魚雷を色々集めていました。
 魚雷・・・文字通り魚のように泳ぎ、艦船の水面下で爆発して穴をあけるので、沈没させる効果が絶大な兵器なのです。
 模型工作のためにどんな種類があるのか、調べていたのですが、真珠湾攻撃で使用された魚雷が、
佐世保海軍工廠の支部である川棚海軍工廠で製造されていることを知り、ちょいのりさんの記事で、その場所が紹介されていました。おぉぉ、シンクロした(笑)。

 まずは、ちょいのりさんのブログ「居酒屋けいば」第826話 片島魚雷発射試験場跡編」の写真と記事を楽しんでいただき、そのマニア向けの捕捉として読んでいただけましたら幸いです^^

Cap 686.jpg
わきゃーですぅ^^(勝手に画像拝借^^;)


九一式魚雷と川棚海軍工廠、そして片島魚雷発射試験場跡

91式魚雷.jpg
1/144スケールのエフトイズの2種類の九一式魚雷


 真珠湾攻撃で大戦果を収めた九七式艦攻が装備していた魚雷。それがこの「九一式魚雷」です。ちなみに「九一」は、開発時期の皇紀2591年(1931年)にちなんでいます。
 通常、魚雷は、艦船から発射するものなのですが、航空機の発達に伴い、飛行機から魚雷が投下できないかという研究が各国でされていました。
 でも、飛行機の早い速度で投下して、着水、その後真っ直ぐに魚雷が目標に進んで行くには、かなり高度な技術が必要なのです。
 実はこの魚雷開発では、日本は世界各国でも一歩も二歩も進んでいました。
ジェットエンジンなど教わることが多かったドイツに対しても、逆に日本からドイツへ技術提供をした数少ない兵器でもあるのです。
 
川棚海軍工廠は、長崎県の佐世保海軍工廠の支部で、この九一式魚雷の最大の生産能力を有した工場だったのです。ちょいのりさんが訪れた場所は、その魚雷の発射試験場だったのですね。


◆高速での投下が可能な航空用魚雷「九一式魚雷」
 
この九一式魚雷、実は航空機用の魚雷として特筆すべきアイデアを有した魚雷でした。空中で魚雷を投下すると、まず空気抵抗を受けてローリングしてしまいます。突入角度が浅いと飛び石のように跳ね、逆に深いと魚雷そのものが壊れてしまうという、パイロットの熟練技術が必要な兵器でした。一言でいえば扱いにくい。
 ですので、なるべく飛行機の速度を落として、そっと投下する感じで行っていたのですが、今度は速度が遅いと飛行機自体が敵艦からの標的にされやすいという危険も伴います。

 そこで色々と考え、着水するまでの間に魚雷を安定させる安定板を開発します。これ、水中では必要なくなるので、水中に突入する時にはぶつかって飛散するアイデアを入れたのです。

九一式.jpg
木製の框板(かまちいた)と呼ばれる安定版。
着水と同時に飛散する仕組み。外見は何種類かあります。


 1941年春には、更に安定させるために角加速度制御安定器(ジャイロスコープ)なるものを備えた「九一式魚雷改2」なるものを運用します。
 これによって、九七式艦攻の最大水平速度を超える速度でも投下可能で、なおかつ荒れた海でも発射できるようになりました。特に敵の銃弾を避ける機動を行いながらでも投下できるのは、パイロットたちにとってもありがたいものであったと思います。
 これは当時の連合国の魚雷の水準を超えたものでした。
 こうして、日本の攻撃機が使用する魚雷のほとんどがこの九一式魚雷となり、多くの戦線で活躍することになります。

91式魚雷詳細.jpg
九一式魚雷の詳細図。
画像でオレンジ色のついたロールラダーが可動します。


 ちなみにこの九一式魚雷。九七式艦攻がその1機7万円の当時、1本2万円もする高価な航空兵器なのです。今の価格でいうと、1本1億円・・・。おいそれと試射経験できないものでした。
 そんな貴重なものだったので、演習用の魚雷が行方不明になると金100円(今でいう約50万円)で捜索させたそうです^^;


<九一式魚雷改2諸元>
・炸薬204kg 速度42ノット 射程2,000m 全長5.47m 直径45cm 重量838kg
 終戦までに改7までの各タイプが存在

B7A-Ryusei_torpedo copy.jpg
1944年、流星艦攻、4式安定板付きの九一式魚雷が見えます。


九一式魚雷は現在でも三菱重工長崎造船所の資料館展示などに現物が展示してあるようです。http://www.mhi.co.jp/company/facilities/history/

 さて、
川棚海軍工廠と航空魚雷の九一式魚雷に関しては以上ですが、日本の突出した高性能魚雷「酸素魚雷」についてもまとめてみました。
 実は、
世界で唯一、実用化に成功したすごい魚雷ということで、こちらの方が有名な魚雷なのです。→続くです


<参考資料>
魚雷九一式魚雷航空魚雷(Wikipedia)
・モデルアート「真珠湾攻撃隊」等



<今日のおまけ>

 関東は大変でしたですね〜^^; 皆さんはお身体大丈夫でしたか?盛大にコケた人もいたようですのでお気をつけください。
 いつもは15分ぐらいで駅にいける距離を今日は90分かかりました・・・。
 しかも倒木で電車が止まっており、結局家に戻ったのが昼近く(笑)。5時間近く移動と待ち時間に費やしました(泣)

緊急車両.jpg
東京ガスの緊急車両。雪で緊急作業が発生?
雪雨で止まれないのか、よく分からないのか、
救急車に較べて止まらない車輌が目立ちました。

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コメント 9

ちょいのり

まさかこういうところで繋がるとはw
でもまあボクは戦跡マニアでもあるのでいつかどこかでワンモアさんの琴線に触れることもあるだろうとも心のどこかでありましたw

まさか当時最精鋭の魚雷開発や試験試行が川棚だったとは・・・
ボクは建物ばかりに目が行って、そこに本当に潜む歴史にはかじる程度しか紹介できなかったのですね^^;

もしいつか、川棚町が発射試験場を整備される時、
魚雷のオブジェでも片隅においていただけたらばと思います(勿論説明書き付きで^^)
あそこは風化に任せるだけではもったいない日本の歴史を伝える一つの場所だとも思います^^

by ちょいのり (2016-01-19 02:18) 

ワンモア

★ちょいのりさま
こんばんは〜、繋がってしまいましたね(笑)。
ちょいのりさんが、訪れていたので、おぉぉ〜と感激してしまいました。
一つの史蹟を色々な人がそれぞれの角度で語ることも大事なことだと思うのです。
ちょいのりさんの「煉瓦」というテーマでの視点はとても面白くためになります(^o^)
特に現場の写真は貴重な財産だと思います。
なんか上手く分類して欲しい〜(笑)


by ワンモア (2016-01-19 02:51) 

johncomeback

大変でしたね。
仙台の積雪は14cmでしたが、
大きな被害・混乱は無かったようです。
by johncomeback (2016-01-19 09:30) 

Hide

ちょいのりさんとワンモアさんの繋がりが
こんな所で・・・素晴しいですね!
事務所まで徒歩約12分位ですが昨日は25分?
とにかく疲れました、まず歩きませんので・・・
by Hide (2016-01-19 10:10) 

ワンモア

★ johncomebackさま
 明け方に一気に積もりましたね〜^^;
 疲れた一日でした・・・・

★ Hideさま
 ちょいのりさんとは記事の内容で、度々琴線に触れるのです(笑)自分の戦跡巡りに出かけたいのですが、なかなか。
by ワンモア (2016-01-19 12:57) 

caveruna

けっこうあちこちで倒木ありましね。
雨が降って重い雪になったせいでしょうか・・・
by caveruna (2016-01-19 17:27) 

ワンモア

★caveruna さま
>雨が降って重い雪になったせいでしょうか・・・
それに加えて、風もすごかったですよね^^;
by ワンモア (2016-01-19 17:43) 

タイド☆マン

岩槻に住んでる後輩
昼の12時に出社してきました
ひょっとして同じ路線でしょうか?
by タイド☆マン (2016-01-19 19:38) 

ワンモア

★タイド☆マンさま
 うーん下り線なので多分違うと思いますが、
 倒木はあちこちであったようですよ^^;
by ワンモア (2016-01-20 18:42) 

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