また燃焼ガスは排気されるのですが、これもまた推進力に変える方法もあります。
飛行機のエンジンの場合は、空気抵抗も考慮して、この上の図の気筒をいくつ、どのように配置するかが鍵となってきます。
星形にグルっと回すように配置すると、空冷星形エンジンに、横に配置すると水平対向エンジンにという感じですね。
エンジンは非常に高温になるので、冷やすための方法として空冷式と液冷式とにも分かれます。
初期の航空機には、エンジンとプロペラとエンジン本体が一緒に回転するロータリーエンジンもありました。マツダのロータリーエンジンとかも知られています。
エンジン自体が回るなんて凄い発想ですよね。ソッピースキャメルという戦闘機はこれです。下はマツダのロータリーエンジンの構造。
ということで、第二次世界大戦あたりまでは、このようなレシプロエンジンしかありませんでしたので、プロペラ機といえばレシプロ機だったのです。
◆ジェットエンジンの登場
しかし、プロペラを使わないジェットエンジンが開発されてくるとちょっと事情が変わってきます。
これはガスタービンエンジンの一種で、その理論の歴史は結構古くて、レオナルド・ダ・ビンチの頃からアイデアは出ていました。
原理的にはピストンエンジンより優れて構造も簡単なのですが、耐熱合金の開発や色々な技術的な問題があって1930年までその開発は遅れに遅れています。
このガスタービンエンジンの排気をジェット運動にして推進力にしたのがジェットエンジンと呼ばれるものです。
ジェットエンジンもピストン・エンジンも、吸気→圧縮→燃焼→排気の4つの作業を行っています。これ大事で、吸気、圧縮、燃焼、排気は呪文のように1セットになっています^^;
ピストン・エンジンが、1つの部屋で4つの作業を順番に行うため、力を出す「燃焼」は4回に1回しかできませんが、ジェットエンジンでは、それぞれ専用の4つの部屋で同時に各々決められた作業を連続的に行うことができるため、力を出す「燃焼」も連続して行われ、小型でも高出力が得られるという利点があるのです。
メッサーシュミットMe262は、世界で初めての実用化されたジェット戦闘機ですが、これ以降、実に様々な種類のジェットエンジンが開発されてきます。
ターボジェット(初期のエンジン)を初めとして、ターボファン(現在の主流)、ターボプロップ(プロペラがある旅客機)、ターボシャフト(主にヘリコプター)、さらにはラムジェット、パルスジェット等など。
ちなみに空気を利用しないのがロケットエンジンです。これは空気に影響を受けないので、高々度から宇宙までも行けちゃいます。
その種類の違いはまたの機会にして、レシプロ機=プロペラ機が通用しなくなったのは、この中のターボプロップエンジンが出来てからなのです。
◆ターボプロップエンジンとプロペラ機
ターボプロップエンジンとは、これもガスタービンエンジンの一種で、そのエネルギーの大部分をプロペラを回すのに使われます。
排気を推進力とするジェットエンジンと違い、燃焼のエネルギーを全てタービンで回収して軸を回す力にするエンジンなのです。
なので、ジェットエンジンはガスタービンエンジンの一種なのですが、ジェットエンジン=ガスタービンエンジンではないのです^^; 段々ややこしくなってきました(笑)?
要はこういうことなのです。
ガスタービンエンジンは現在のヘリコプターのエンジンから、船舶、陸上車輌、発電用など様々な用途で使われています。
ターボジェットエンジンの構造はこんな感じ。
同じプロペラ機でも、エンジンの構造が全然違いますね、
航空機の世界では、プロペラを持つ飛行機は、このターボプロップエンジンに切り替わりつつあります。
ターボプロップエンジン搭載の飛行機で有名なのが、P-3オライオンやYS-11、US-2などがそれですね。
ですので、現在では、プロペラ機と呼ぶと、それが、レシプロエンジンのプロペラ機なのか、ターボプロップエンジンのプロペラ機なのかが分からなくなってしまい、今はあまり使われていない呼称なのです。
プロペラ機=レシプロ機ではなくなってしまったということなのですね。
では何故、排気がそのまま推進力となるジェットエンジンではなくて、わざわざプロペラを搭載した理由ですが、実はジェットエンジンは低速になるにつれ、燃費効率が悪くなるという欠点があります。
ですので、あまり速度を出す必要のない飛行機では、プロペラを使用するターボプロップのエンジンの方が燃費効率が良いという訳です。
さらにレシプロエンジンとの違いは、小型&軽量で高出力が発揮でき、空気の薄い上空でも出力が落ちにくいというメリットがあります。
セスナ機などは、そこまでの性能を求められていないので、未だにレシプロエンジンが主流という訳ですね。
ざっと大雑把な説明になりましたが、こんな感じで、航空機はその用途と目的によって実に様々なエンジンを使って大空を飛行しています。
今後もより安全でエコなエンジンを開発して欲しいですね。少しでも、ためになれば幸いです。
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もう専門域のお話ですね
勉強になります
(頑張ってついていきました(笑))
エンジンからの軸にプロペラが2枚 前後についていて
各々が逆に回転する というのを聞いたコトがありますが
アレって・・・
by タイド☆マン (2016-04-20 20:23)
わ!動く図解ですごく専門的かつ親切な解説でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2016-04-20 22:06)
今、ちょいとガソリンを入れ過ぎた様で満タン><
ピストンもロータリーも良く考えられたエンジンですが
これしか知りません・・・
by Hide (2016-04-20 22:28)
そういえば、M1エイブラムスもエンジンはガスタービンエンジンですね。
ガスタービンエンジンは小型軽量、高出力で信頼性、加速性能、登坂能力も高いそうです。
燃費は悪いようですが・・・。
by yo (2016-04-20 23:59)
え!?
この動く画像ってGIFですか?
動きがあるとやっぱすごく伝わってきますね!
by ちょいのり (2016-04-21 02:43)
★タイド☆マン さま
>エンジンからの軸にプロペラが2枚 前後についていて
?各々が逆に回転する というのを聞いたコトがありますが
はい、二重反転プロペラですよね。今度記事にしたいと思っています。カッコいいですよね^^
★ぼんぼちぼちぼちさま
GIF画像はウィキペディアから拝借しました(笑)
★Hideさま
Hide様のお腹もアルコール燃料満タン状態なのですね(笑)
エンジニアたちは本当に良く考えていると思うのです。
★yoさま
エイブラムスの燃費の悪さは有名ですよね。なんで、ガスタービンエンジンにあれほどまでにこだわるのか・・・うーん( ˘•ω•˘ )
★ちょいのり さま
GIF画像は、それぞれのウィキペディアの記事からの拝借です。自分でも作成したいんですが重くならないか不安で^^;
by ワンモア (2016-04-21 03:25)