SSブログ

奇想天外な飛行機、XF-85ゴブリン【ジェットの黎明期】

 今はコンピューターが発達して、かなりリアルなシュミレーションができるようになり、実機の失敗も少なくなってきましたが、昔はアイデア優先で、トンデモ飛行機も数多く製造されています。
 個人的にはとっても大好きなので、折を見ていくつかご紹介していきたいと思います。


◆空中航空母艦から発進!XF-85ゴブリン

McDonnell_XF-85_Goblin_USAF copy.jpg

なんか、樽のような丸っこくて可愛いデザインですね(*´ω`*) そのまんまハセガワの出している「たまごひこーき」みたいです。

tamagohikoki.jpg


XF-85.jpg
この「たまごひこーき」は出せないかも^^;

 このXP-85。なんで、空中発進させるアイデアが出たかというと、長距離護衛任務の一環のアイデアなのです。
 広大な長距離を飛ぶ爆撃機を護衛する戦闘機は燃料を積むスペースがありません。そこで、親機となる爆撃機(空中航空母艦)に運んでもらって必要に応じて発進、着艦できるようにしたらいいんじゃない?ということから生まれました。

 面白い発想だと思います。実はこのアイデアは前からあって実際に1930年代初頭にも飛行船に複葉機を積んだ実績もあるのです。
 アメリカの「アクロン号」と「メイコン号」。5機搭載可能の空中航空母艦の飛行船です。

 

USS_Macon_F9C copy.jpg
メイコン号とその周りを飛行するF9C複葉戦闘機
F9C-2_Sparrowhawk_fighter.jpg
メイコンから離発着するF9Cスパローホーク複葉機


 こういう実例があったため、爆撃機を空中航空母艦にできないかという発想が生まれた訳ですね。

McDonnell_XF-85_Goblin_and_EB-29_mothership copy.jpg
発進テストを行うXF-85

 1948年8月に初の自由飛行に成功したXF-85ですが、親機への帰還には失敗し、地上へ不時着しています。

 母機に収容する必要性から全長はわずか4.5m、全幅は6.4mしかありませんでした。

Mcdonnell_XF-85 copy.jpg
こちらは、母機として予定されていたB-36コンベア
Convair_B-36_Peacemaker copy.jpg

 

B-36aarrivalcarswell1948-1 copy.jpg
B-29との比較でもその巨大さが分かります。

 このB-36の航続距離は11,000km(フェリーフライトなら16,000 km) もありますので、当時の戦闘機では随伴できませんでした。爆撃機の編隊の中の数機をこのXF-85のような戦闘機を積んでいけば、護衛付き編隊が組めるという算段です。

 発進する戦闘機は、パラサイトファイターと呼ばれましたが、色々と実験試作した結果、パラサイトファイターとして小型化したりして戦闘機の性能が限定されるより、本来の戦闘機の性能をそのままに航続距離を伸ばす工夫をした方がいいんじゃない?ということで中止になりました。
 その原因ですが、
・子機の大きさや重量に制限があり、本来の任務である空戦性能が低下する。

・母機とドッキングするとき、子機のパイロットに高い技術が求められる。
・航空機自体の能力が上がり、航続距離が伸びたこと、などが上げられています。

 現在は、航続距離の問題は空中給油機による給油で対応できるようになりました。

 フィクションの世界では、空中航空母艦は響きもよく、場面としては見栄えもするのでよく登場するのですが、現実にはこんな感じですね^^;

10.png
ラピュタのゴリアテ

 ただ爆撃機の護衛という任務ではなく、有人宇宙船のスペースシップワンなどは運用専門の飛行機もありますので、これもパラサイト機といえばパラサイト機です。
 また、一式陸攻から発進した有人爆弾「桜花」もそうですし、世界で初めて水平飛行による音速を突破したベルX-1もB-29に吊り下げられて飛行したパラサイト機にあたります。

 今後は、無人飛行機などの偵察機などを母機から飛ばすというアイデアも採用されるかもしれませんね。
 

20130812215142_57_1.jpg
昔、考えられていた空中空母の飛行船、
なんか宮﨑駿の世界みたいですね^^

 
McDonnell XF-85 Goblin (YouTube)

【XF-85の模型情報】

 
特異な機体だけあって人気なのですが、MPMというメーカーで1/72スケールで出しているのが有名です。あとはスペシャルホビーで1/48スケール。これはハセガワからも出ていますが今は絶版。価格は3,000円ぐらいでした。ヤクオフでの落札相場は倍以上なので人気なのです。
 ちっちゃい機体ですから1/144は無理かなぁ^^;

Flying Aircraft Carriers of the USAF: McDonnell Xf-85 Goblin

新品価格
¥1,838から
(2016/5/10 13:18時点)


世界の仰天機―常識を打ち破る偉大なコンセプト (光人社NF文庫)

中古価格
¥300から
(2016/5/10 13:23時点)


異形機入門―究極の機体徹底研究 (光人社NF文庫)

中古価格
¥189から
(2016/5/10 13:23時点)


こんな記事もどうぞ

来たよ(42)  コメント(6)  トラックバック(0)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 42

コメント 6

アニ

たまごひこーき懐かしい〜^_^
by アニ (2016-05-10 18:55) 

ワンモア

★アニさま
こんばんは〜。たまごひこーき、いまも続いているんですよ。私びっくりしました^^
by ワンモア (2016-05-10 19:03) 

タイド☆マン

XF-85って そのまま弾丸(?) 砲弾みたいですね
全長4.5mのジェット機って 操縦しにくいのでは?

by タイド☆マン (2016-05-10 20:07) 

ワンモア

★タイド☆マンさま
 こんばんは〜。飛べたとしても護衛できるか疑問ですよね^^;
by ワンモア (2016-05-10 20:52) 

Hide

どうもマンボウを思い出してしまいます・・・魚のね!
by Hide (2016-05-11 00:26) 

意馬心猿

安定板がやたらあるのは安定性に苦労した結果なんでしょうね^^;
航続距離もなさそうだし、風防前のフックも視認性に問題ありそうですね。

1970代にもB747ベースの飛行空母計画をやって今もアイデアを公募してるって話です。

まだまだ諦めてない感じですね^^
by 意馬心猿 (2016-05-11 12:44) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 1/144ヒコーキ工房 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。