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SFの世界?空中航空母艦の夢

 前回の記事の続きになりますが、空中から飛行機を発進させるアイデア、「空中航空母艦」ともいうべき存在は、SFの空想世界では頻繁に登場します。

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image by  Ultima Wiki 

 映画『アベンジャーズ』でも登場する巨大空中母艦『ヘリキャリア』、カッコいいですねぇ。これで飛べるのかは疑問だらけなのですが、まあ、SFですので^^;
 反重力という設定??

 さて、現実では、このような空中母艦は実現化できるのでしょうか。今回はその空想SFのロマンと可能性の話を。

これ抜きでは空中母艦は語れない?「アクロン号」と「メイコン号」

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 まずは、これでしょう。空中航空母艦は、実際に1930年代初頭にアメリカですでに実現しているのです。
 アメリカの「アクロン号」と「メイコン号」。5機搭載可能の飛行船。
 長く飛べるけど速度が出ない飛行船と、長くは飛べないけど速度はある複葉機のいいとこ取りのアイデアです。

 

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 そのために開発された
カーチスF9C「スパローホーク」という戦闘機。アクロン号内部にも格納することが可能でした。

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 偵察任務が目的ですので、飛行船から複葉機を飛ばすことで、偵察範囲が広がります。

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 画期的なアイデアと実現力でしたが、「アクロン号」と「メイソン号」は2機とも事故で失われてしまうのです。アクロン号は天候を無視した過酷な訓練中の突風事故で73名もの死亡を、メイソン号は尾部の破損によるガスの流出で海上に着水、沈没してしまいます。
 どちらも竣航してわずか3年に満たない間の相次ぐ事故でした。
 この後、有名なヒンデンブルク号の事故により、飛行船は急速に廃れていくことになります。
 当時は更にこんなアイデアも^^ もし事故で失われていなければ、このようなスタイルも実用化されそうな感じですね。

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これ現代でも無人機とかで実用化できないかな。

 

◆第二次世界大戦の各国の事情

 飛行船は廃れてしまいましたが、大きな飛行機と小さい飛行機の組み合わせによる親子飛行機のアイデアはポツポツと出ています。ソ連では爆撃機の護衛のためにTB-1という飛行機の翼の上に2機のI-4戦闘機を搭載して実験もしています。

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これは無理がありそう・・・^^;
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こんなことも。サーカスか っ゚д゚)

 これは実験でしたが、実戦参加では、ツポレフTB-3に爆装した2機のI-16SPBを運んで軍事目標の橋を攻撃、これに成功しています。ソ連は色々とやっていたようです。

 ドイツでもミステル(ヤドリギ)という名前のプロジェクトで有人の小型機(Bf109やFw190など)が特殊な改造をして爆弾と化した無人の大型機(Ju88など)を目標近くまで運んで分離・突入することを行っています。

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航空母艦というイメージではないですね。




◆戦後のアメリカはチャレンジ精神にあふれていた。


 戦後はアメリカが、技術新興国として最前線を走る自負もあってか、色々な試行錯誤で数々の珍妙機をつくってくれました。前記事のXF-85ゴブリンなんかは正に空中母艦の構想ですね。
 大きな飛行機に小さな飛行機を格納して運ぶという構想は、空中給油という実用的なアイデアにより完全に立ち消えになってしまいましたが、最近、この手の話が持ち上がってきて再び現実化を帯びてきています。

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◆現実化してきた空中航空母艦機計画

 それは、米国防総省高等研究計画局(DARPA)という機関なのですが、無人飛行機が大型機からの発進・回収ができる方法を、大学などの研究機関に打診してアイデアを募集していることから話が盛り上がってきました。
 「アメリカが本気で『空中空母』を開発か?」と話題になっているのですが、大型機からの発射・回収なので、アベンジャーズのような空母の形ではないようですね^^;
 無人機の活動可能範囲を広げることで、経費削減と人的事故や被撃墜のリスクを減らすことが目的だそうで。


◆将来は、空中航空母艦による捜索・救難活動も可能に?

 無人機が搭乗してくると、人間不在の戦闘など、ちょっと怖い気もしますし、まさに「ターミネーター」の世界のようですが、無人飛行機やドローンの平和活用も今後は充分有り得る話だと思うのです。

 現在では、災害時にヘリでの救助活動や捜索活動が行われていますが、これからは、それに加えて捜索活動に無人機、ドローンを活用する可能性も高いと思うのです。
 これは実際に研究開発がされていて、被災地域の空中からの調査、噴火などの予断を許さない状況下などの調査に有効とされています。
 特に、有人ヘリコプターだと、巻き上げの風で被害が拡大したり、ヘリの騒音が地上の救助活動の妨げになることがあるので(日本の報道ヘリなど!)、無人機などの活用で騒音を軽減させることができます。 

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ドローンを応用した救助システム(by ワンモア)


 ドローンを応用した救助システムを勝手に色々と考えてみたのですが、母機は地上での救助活動の妨げにならないような場所か、捜索活動圏外で待機させ、そこから発進させた小型のドローンにはカメラ、拡声器、集音マイクなど捜索に必要な機器を装備させると良いんじゃないでしょうか。

 母機に搭乗している捜索員がモニターから操作、被災者への呼びかけも出来ますし、必要に応じて救難ヘリの要請・地上救助隊への通信を行うこともできそうです。
 いわばアメリカがかつて行った「アクロン号」「メイソン号」のような捜索エリア拡大スタイルです。
 ドローンの数だけ捜査員と操作機械を搭載する必要がありますから、母機は完全に空中母艦のようになります。

 もちろん地上から飛ばすのもありですが、被災地が広範囲の場合は、ドローンの航続距離や滞在時間の問題もありますから、母機が被災地の中心まで行って、そこから捜索ドローンを発進させた方が良いと思います。


 ただ、問題はヘリコプターが母機の場合だとローターからのダウン
ウォッシュがあるから発進・回収は難しいかなぁ^^; 一旦着陸してからドローンを発進させることになるかも。
 飛行船はこういう時こそ便利かもしれませんね。上空での滞在時間も気にしないですみますし、中継基地として活躍の場はありそうですよね。
 ドローンのバッテリーが切れかけたら回収して再発進させることも可能ですし。 

 また、被災者のスマホと連携させるアプリがあって、救助要請信号をドローンが拾えるようにすれば、被災状況もいち早く把握できるし、救助も早いかもしれませんね。スマホからの呼び出しに対応できる機能もあるといいな。

 どうでしょう?こういう使われ方なら、夢が広がると思いませんか?
それと同時に救助の際には本当に邪魔になる報道ヘリもこの際ドローン以外禁止にするとか(救助優先の報道禁止エリアを設けて欲しいです)。

 色々と考えるのも楽しいものです。

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コメント 5

タイド☆マン

>Aー2おぢさん 金髪にしてみました
        将来的には シャーマンに載せるつもりです
by タイド☆マン (2016-05-11 19:59) 

ちょいのり

確かに空中空母とかあったらなあ~ですよね^^
でも空の上のイージスシステム考えないと今の時代じゃきついですよね^^;

by ちょいのり (2016-05-12 02:02) 

tsumi

飛行船の上に離発着場なんて…めちゃくちゃかっこいいですね!実用化されたらすごい!

飛行船ってのがまたレトロな感じでいいですね!イメージ図だけでもわくわくします^^
by tsumi (2016-05-12 02:20) 

ロートレー

「アクロン号」と「メイコン号」の着艦装置が凄い!
どうやって着艦するのでしょう
着艦成功は飛行機パイロットの腕にかかっていますね!
by ロートレー (2016-05-12 09:23) 

ワンモア

★タイド☆マン さま
 楽しんでいますね^^

★ちょいのりさま
 確かに軍事利用だとイージスシステム大変ですよね。
 平和利用でつくってくれないかなぁ。

★tsumiさま
 当時は飛行船全盛期だったので、色々と考えられていたようです。現在は安全で最新鋭の技術により、
飛行船が見直されていますので、空中母艦案復活して欲しいと思っているのです^^

★ロートレーさま
 着艦は大変だったみたいです(笑)飛行船にぶつからないかヒヤヒヤします^^;

by ワンモア (2016-05-12 17:05) 

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