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重力と空への憧れ〜翼が教えてくれるもの「空の日」に寄せて

  明日の9月20日は「空の日」です。そして今日は息子の誕生日。
 なので、空の日にちなんで、若者たちに対し、ちょっと考えていることをまとめてみました。


空の日によせて

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◆重力の存在

 古来から人は空に憧れていました。鳥のように大空を羽ばたいてみたい。自由に色々な所へ飛んでいってみたい・・・。しかし、その夢は長い間、叶えられることはありませんでした。
 飛行機ができて空を飛べるようになって約100年。長い人類の歴史の中で空を飛ぶことができたのは、本当につい最近の出来事なのです。

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 人間は、長い間、重力という束縛から逃れられないでいました。この地球の表面には空気層という薄い膜が貼られています。その中で、まるで動物の体表に微生物が付着しているかのように生存しているのが私たちの現実の姿なのです。

 もし地球がサッカーボール大の大きさ(約20cm)とした時、その空気層の高さはコピー用紙1枚にしか過ぎません(約
0.13mm程度)。サッカーボールにコピー用紙を貼った程度の厚みの中にしか、私たちの生存する場所はないのです。
 しかし、この薄くではありますが、空気層の膜を重力でもって地表にしばりつけてくれているからこそ、私たちは呼吸ができ、生存することが可能となっています。

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 そう、実はこの重力こそが、生きる環境の全てを与えてくれているのです。雨も雲も重力が起こし、気象も空気への重力作用が気圧を作り、変動することによって、台風が起き、嵐にもなります。そして地震も重力が作用しています。
 私たちが生活する、この大地も、岩も、石もすべて重力の作用によって形成されているのです。

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 もし重力がなければ、私たちの生存に必要な空気が宇宙空間に逃げてしまい、生物は生きることができなくなります。いわば、生きる代償として、地上に束縛される。そんな運命を背負ってきたのが人類といえるでしょう。

 人間を創造した神が「人間よ、生きる環境をおまえたちに与える代わりにこの地上を這いつくばることになるのだ。それがお前たちの生きる代償なのだ」このように告げているかのごとく。

◆空への憧れ

 しかし、それでも人は大空への憧れを捨てることはありませんでした。この重力に抗い、空を飛びたいとする人間の欲求とは一体なんなのでしょうか。何故にこれほどまでに人の心をかき立てるのでしょうか。
「大地から離れ、鳥のように飛翔して自由に好きな所へ行きたい。」それは人間の本能にも似た情熱かもしれません。 
 また、高い所から地上を見渡すと地表では得られなかった視界が広がります。それは自分が大きくなったような錯覚を与えてくれます。

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 空への憧れは、このような思いをも込められているのではないかと思うのです。

 しかし、この重力に逆らって空をとぼうとしていた者達には、「墜落死」という過酷な運命が待ち受けていました。

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 イカロスの翼の伝説、気球のモンゴルフイエ兄弟、グライダーの発明者リリエンタール、数多くの人々が、果敢に大空への飛翔に挑戦しその生命を落としました。まるで神の懲罰のように。
 「空は神の領域なのか」「空を飛ぶことは人間にとっては許されない不遜な行為なのか」。人間は何度も挫折しかけます。
 
 しかし、私たちの祖先は諦めませんでした。
 空を、大気を、気象を観測し、鳥の滑空する姿を見つけ続けます。そして、人間を縛り付けている重力が空気にも作用していることを突き止めます。
 この「重力」という重みがかかった「空気」が何かの力を及ぼしていることを突き止めるのです。

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 まずは、気流の発見でした。熱を帯びた空気はより高い所へと舞い上がることをしています。この原理を応用したのが熱気球です。人類はまず、大地から離れることに成功しました。しかし、それでもまだ鳥のように好きなところへとはいけません。

 人間は相も変わらず鳥を観察し続けます。そして、ついに鳥の持つ力を発見するのです。それは、「揚力」の発見でした。

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 空気に重力がかかっているからこそ、揚力が発生し、空を飛ぶことができることを見つけるのです。重力が「地面への束縛」という呪いから、空を飛ぶことの「必要な存在」へと変わった瞬間です。
 
 それは、私たちを縛り付けているものが、実は自由への翼にもなることが、分かった瞬間でした。
 自然界は、大いなる呪いをかけていたのではなく、私たちに空を飛ぶヒントをずっと与え続けてくれていたのです。それは、大気の流れ、気象の変化、気流の対流現象、身近な存在の鳥達、私たちの日常の中、至る所にそのヒントはあったのです。

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◆最大の壁にこそヒントが隠されている

 この事を思うとき、私はいつもこのことを思うのです。


 
「空なんかけっして飛べる訳がない」と思っていた人たちは確かに飛ぶことができなかった。諦めずに「飛べる」と思って挑戦し続けてた人だけが飛べたということ。

 私たちはいつも多くのことを、なんとなくにせよ諦めています。教育格差、経済格差、自分の力ではどうにもならないと思われている様々な縛り。

 諦め、嘆き、神からの運命を享受せざる負えない妥協の中で生活する姿。その姿はかつての人類のようです。
 人のせいや環境のせいにしているうちは、この翼は決してその人の手に渡ることないだろうなと思うのです。

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 なので、空への憧れが、心のうちに少しでもある人は、決して、現在置かれている環境に負けてはいけないと思います。
 現状をバネにして、翼を手に入れたのが先人たちの冒険心だったのですから。

 束縛だと思っていた「重力」は実は空への翼をも与えるものだったように、今の束縛の環境の中にこそ、あなたを鍛え、逞しくし、自由に飛び立てるためのヒントが隠されていると思うのです。
 束縛を重圧として感じストレスに身をおくのも仕方ないことかもしれません。しかし、心の自由さえも失ってはならないと思うのです。
 真の自由とは、心の自由をいうのだと思います。肉体は束縛されていても心までは束縛されてはならないし、心の自由までは奪えません。どう思うかはあなたの完全100%の自由なのです。

 「考える力」、「夢想する精神」、「未来への希望」、「夢」など、人間の精神は重力の影響下にはなかったのです。

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◆自由の翼

 いまや、人類は、地球の重力からも開放され、宇宙へも飛び出さんとしています。これも重力という過酷な環境を乗り越える努力の成果があったからです。


 しかし、その半面、環境破壊や公害、自然への謙虚さを忘れた経済至上主義など、近代における人類の傲慢さともいうべき環境破壊も問題になっています。
 それは、長い目でみれば、子供が親に対する反抗期に相当するのかもしれません。そして
宇宙へ飛び出すことは、親離れにも似た思いかもしれません。
 
科学万能主義とは一時的な反抗期のようなもので、一切合切を親から与えられて育てられてきた子供が、大人になっていくための通過儀礼かもしれません。

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 私たちが成長し、様々な経験を積み、精神が円熟してきた時に、親に感謝する日がくるように、宇宙時代への幕開けで地球を離れていかんとする人類は、母なる星、地球に感謝する時がくる。私は、そう思います。
 そして、もし地球上から戦争が無くなるとすれば、このように人類が「大人」になる時かもしれません。

 それは、政治のせいや社会システムのせい、また政治家のせい、他人のせいにしているうちは叶わないことかもしれません。現状の不幸を他者のせいや社会構造のせいにしているうちは大人になりきれていないのかもしれません。一人ひとりが、環境を乗り越える精神力を与えられているのが大人と子どもとの違いなのですから。

 他者を蹴落としたり、非難中傷に明け暮れることよりも、やることがあるはずです。それは、不満さえも乗り越えてしまうほどの大いなる希望と未来へのロマンではないでしょうか。
 重力という名の環境に負けてはなりません。しかし、重力から逃げてもいけません。

 過去の先人たちのように、自分たちを縛り付けているものの中にこそ、自由の翼を手に入れるヒントが隠されていると思うのです。
 
 是非、一人でも多くの人が「環境」という重力に負けることなく、自由の翼を手に入れて欲しい、そう思います。

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 なんてことをこれから大人にならんとする息子の誕生日と、空の日に思いました。
 記事が長くなりましたが、お付き合いありがとうございました。

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【9月20日】空の日と山田猪三郎

→9月20日の「空の日」と「特異日」について

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コメント 11

(。・_・。)2k

息子さんお誕生日おめでとうございます(^^)
素晴らしい記事でした

by (。・_・。)2k (2016-09-19 20:15) 

caveruna

空の日なんですね。
「海の日」「山の日」は、祝日できたけど、
「空の日」も祝日になればいいのに!
「空」から生まれた素敵な記事ですね。
息子さん、お誕生日おめでとうございます♪
by caveruna (2016-09-19 20:22) 

johncomeback

ご子息のお誕生日おめでとうございます。
僕の息子は昨日結婚式でした(^^)
by johncomeback (2016-09-19 21:10) 

ちょいのり

空も飛べるはず。何かそういう歌もありました^^
挑戦したものこそ価値がある。
勿論そのおこぼれを享受して飛行機のっちゃったりしてはしますが、
やはり今ある『あたりまえ』は先人のチャレンジスピリットの賜物なのを私たちは忘れてはいけませんよね^^

束縛・重圧の中にこそ自分の翼を見つけましょうって素敵なお話だなあ^^
息子さん、お誕生日おめでとうございます!

by ちょいのり (2016-09-20 01:47) 

駅員3

息子さんのお誕生日おめでとうございます。
ライト兄弟が1903年に飛行してから、わずか113年・・・身近なものでこれほど急速に進歩したものは思いつきません。
これから飛行機はどういう方向を目指すのかな!?
考えただけでもワクワクしてきますね。
by 駅員3 (2016-09-21 07:07) 

ワンモア

★by (。・_・。)2k さま
 ありがとうございます(^^)

★caveruna さま
 「空の日」の祝日、そうですよね。休みになるといいなぁ。敬老の日と秋分の日も近いので連休もとれそう!

★johncomeback さま
 ご結婚、おめでとうございます\(^o^)/

★ちょいのり さま
 空も飛べるはず・・・スピッツです。個人的に好き!
 
★駅員3さま
 ありがとうございます。これからの飛行機、より安全で快適なものになって欲しいです(^^)
by ワンモア (2016-09-21 15:38) 

tsumi

空の日があったなんて、存在を知りませんでした!飛行機が飛ぶ原理について未だに説明がついていないとどこかで聞いたことがあるのですが、それは本当なのでしょうか…?
私は鳥が大好きです。空を飛ぶという事に特化したそのフォルムは美しく無駄がありません。昔の人が空や鳥に憧れる気持ちは分かる気がします^^

息子さん、お誕生日なんですね!おめでとうございます^^しかももしかして成人なさるんですか?!
ここまでお育てになるのに様々なことがあったんでしょうね…感慨深い日ですね;;
こんな素敵なお話、ぜひ息子さんに読んでいただきたいものです!
by tsumi (2016-09-21 16:24) 

ワンモア

★tsumiさま
 こんにちは〜(^^) 飛行機が飛ぶ原理は一応説明はついていますが、今でもエンジニアや整備士さんたちは、なんでこんな重いものが飛ぶんだろうねぇって語っています。
おいおい、作ったり整備する人間が何言ってんだとツッコミたくなります(笑)。
 子どもたちの一人はもう成人ですよ〜早いですよね。なんでも素直に聞いてくれるカワイイ子供だったのに(笑)。
by ワンモア (2016-09-21 16:36) 

Hide

ワンモアさん、大変遅くなりましたが
お子様のお誕生日おめでとうございます。
子供が大きくなるのは早いですからね〜
我が家にも男の子二人がいまして上が45歳
下が41歳かな?男の子の孫4人><
その二人の孫は、上が凛空(りく)下が蒼空
(そら)なんです。この二人のお父さんは
次男の海主(かいしゅう)41歳です。
ごめん余計な話になりました、とてもいい
お話でした、ありがとう。
by Hide (2016-09-21 17:21) 

ネオ・アッキー

ワンモアさんおはようございます。
遅ればせながら、ご子息様のお誕生日おめでとう御座います。
by ネオ・アッキー (2016-09-22 07:32) 

ワンモア

★ Hide さま
 お孫さんたち、空と海にちなんだお名前なのですね。オシャレ♪

★ネオ・アッキーさま
 ありがとうございます(^^)月日が経つのは本当に早いものです。
by ワンモア (2016-09-22 19:49) 

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