◆世界唯一の変形飛行艇
イギリスのブラックバーンB-20という飛行艇です。一見何の変哲もない飛行艇のように見えますが、着水する時にはこうなります。
水上機や飛行艇は、着水するときの衝撃や、波がエンジンやプロペラにかからないように設計する必要があります。
そこで、水上機の場合は、海面から胴体から引き離すかたちにして、プロペラに波がかからないようにします。
飛行艇の場合は、翼をガルウイングのように高くしたり、パラソル翼にすることで対処しますが、これはどちらも選択しなかったのでしょう、面白いアイデアではあったと思います。
ブラックバーンB-20は、1940年に初飛行。離水すると胴体下のフロートが胴体に密着し空気抵抗の削減を狙い、更には翼下の補助フロートが外側に折りたたむ構造で最大速度で490k/mが出せました。
これは、競争作だったラーウィック飛行艇よりも150km/h以上も高速だったのですが、悪名高いエンジンの不調と、補助翼の不備が原因で試験飛行中に墜落、大戦の激化に伴い、継続が中止、1機のみの試作で終わりました。
変形動作はOKだったのですが、補助翼の改修とちゃんとしたエンジンが得られれば、成功したのではないかと言われています。残念ですね。
でもフロートの上が平らな形状のままなので、離水の際に抵抗が大きくならないか心配な形状です。
このアイデアは飛行艇ではなくて、単発の水上機なら面白かったのではと思います。
二式戦とか強風など、専用の水上戦闘機にとってはフロートの空気抵抗は馬鹿にできませんしね。
◆いざとなったらフロートを投下できる「紫雲」
川西「紫雲」は敵の制空権下でも強行偵察が可能な水上偵察機です。1943年に制式採用され、1944年から索敵偵察や哨戒任務に使用されました。
この水上機は雷電や天山などにも搭載された、火星1,680馬力のエンジンを搭載、468km/hの高速を誇りました。
この機体のユニークな点は、緊急時に胴体下のフロートを落下させることができるのです。さらには翼端の補助フロートがキャンバス布地でできていて、収納の際には空気を抜いて内側に密着も可能。敵に発見されて逃げる時には効果を発揮できますね。
但し、フロートを実際に投下できるかどうかの実験は一度も行われることはありませんでした。これは、一度フロートを落とすと、胴体着水するしかなく、せっかくの試作機をたった一度の実験で失う危険があったためでした。
飛行場がない島々での飛行には最適な飛行艇や水上機ですが、離着水の困難さや腐食対策など陸上機に比べると意外と面倒でコストがかかるのです。
それでも、日本のような海に囲まれた国ではもっと活用されても良いかもしれませんね。
【模型情報】
ブラックバーンB-20ですが、プラモデルでは見当たりませんが、国内のレジンキットメーカー、赤とんぼワークスさんが、1/72スケールで発売しています。
詳細はこちらをどうぞ。他にも色々と面白い機体を製作しています。さすが、レジンキットメーカー、素晴らしい。
→http://homepage3.nifty.com/AKATOMBO/garage/B20.htm
入手方法はこちらからメールで。
→http://homepage3.nifty.com/AKATOMBO/garage/garage.htm
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いつも拙ブログへのコメントありがとうございます。
「銀山温泉」はホントに素敵です、是非行ってみて下さい。
by johncomeback (2016-06-22 19:48)
おはようございます!今朝も小雨の新宿です。
ブラックバーンB-20はかっこいいですね!US-2は残念ですがエンジン脱落では><・・・訓練中で良かった?
上野駅、行きたくとも、なかなか行けません!
by Hide (2016-06-23 07:33)
南シナ海に海洋進出している中国は、埋め立てで人口島と拡張する際に、水上機や飛行艇を使って計測などを行っているのでしょうかね。
by 隊長 (2016-06-23 17:14)
★johncomebackさま
素敵な画像と有益な情報をありがとうございます。
必ず行けるように今から念を発しておきます(笑)
いざ、銀山温泉!(^^)
★Hideさま
実は、離水や着水って、高い技術と練度が必要なんですよね。今回は訓練中の事故で、3発での離水に失敗してしまいました。犠牲者が出なくて幸いでしたし、航空技術はこうやって発展していくのも事実です。
★隊長さま
こんばんは〜。そうですね。計測は分かりませんが、高速鉄道に続いて、飛行艇でも蛟龍60(JL-600)で、US-2に対抗した売り込みを盛んにかけています。完全にUS-2の市場狙いです。
なんだかなあ~という感じです( ˘•ω•˘ )
by ワンモア (2016-06-23 21:16)