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グレムリンと英米空軍パイロット

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 グレムリン・・・。スピルバーグの映画『グレムリン』で、日本でも有名になった妖精(設定では宇宙から飛来した宇宙人)の名前ですが、この映画には元ネタがあったのはご存知ですか。それも第二次世界大戦中の米英兵士たちの間で広がったというから、比較的最近の妖精なのです。

「飛行機などの故障はグレムリンという妖精のせいである」という噂が広まったのは第二次世界大戦のイギリスでのこと。
 整備したはずなのにネジが緩んでいたとか,計器類が急におかしくなったとか,そういったトラブルはグレムリンが悪さをしているという訳ですね。こうした機械的な問題や不具合のことを、グレムリン効果と呼ぶことも。
 自分たちの整備ミスを妖精のせいにしているのでは?^^; という強い疑念もありますが、それでもなかにはフライト中の飛行機の翼の上にグレムリンがいたとか、グレムリンが燃料を飲んでいたなどという目撃例もあるのです。本当でしょうか???

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 グレムリンは本来は優しい妖精で、器用さを活かして人々の発明や作業に手を貸していたのですが、いつのころからか人々は、グレムリンへの感謝を忘れ、自分達の力だけですべてを成し遂げたのだと勘違いするようになり、これに対しグレムリン達は怒り、やがて人々に悪さをするようになったといます。
 また、元々高い山の頂に暮らしていたグレムリンが、人類が飛行をするようになり、その飛行機械に興味を持ち、飛行機に飛び乗って、孔を開けたり、いじくって故障させてしまっているとも。

グレムリン.jpg

 さて、この「グレムリン」という名前の由来なのですが、「カッセル英語俗信・迷信事典」では、とある基地のビールはフレムリン醸造所の銘柄しかなく、これに童話でお馴染みのグレム兄弟の名前を合成したのが由来だとか。
 こうしたルーツを持つことから、グレムリンはビールの空き瓶を見つけると姿を現さない、あるいは中に入ってしまい、おとなしくなるので、グレムリン避けになるとか。
 ほかにも、北米では航空機部品の納入時に、飴玉をひとつ同梱する習慣があるそうなのですが、これは「どうかこの飴で満足して、大事な部品に悪戯をしないで欲しい」というグレムリンへのお供えであるとのこと。なんだかカワイイですね。

Cap 121.jpg
航空貨物にも入れているのかな^^


 これらの話がどこまで本気で語られているのか、イギリス人の悪いジョークなのかは定かではありまでんが、「そもそも誰がグレムリンの話を広げたのか」が、はっきり判明しているのもこのグレムリンの特徴なのです。

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 その人物の名は、「ロアルド・ダール」(1916〜1990)。イギリスの小説家、脚本家で、知ってる人は知っている有名人。映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作者と言えば、ピンとくる人もいるかもしれませんね。(この人→)

 ダールは第二次大戦中は戦闘機乗りだったのですが、飛行中にエンジントラブルを起こして不時着し、負傷したことがありました。
 そのため航空任務を外され、アメリカでの反ドイツ情報戦の仕事に回されることになりました。
 想像力豊かなダールは飛行中の故障事故という自分の体験を活かして、ひとつのファンタジーを思いつき、このグレムリンの話を空軍内に広げたそうなのです。そしてこれには、あのウォルト・ディズニーも一枚噛んでいるとか。

 荒俣宏氏の説によると、戦争中の1943年にウオルト・ディズニーの「グレムリンズ」というコミック絵本が出ていたそうなのです。このキャラがスピルバーグの映画「グレムリン」に影響を与えているみたいですね。
 そのディズニーがグレムリンのヒントを得たのが、この
ロアルド・ダールという訳です。

 グレムリンの出典で一番古いのが「コスモポリタン」誌1942年12月号に掲載された「グリムリンズ」というクリスマスのファンタジー小説らしいのですが、こういう内容です。

 作者は「ペガソス」というペンネーム。実話ということで、イギリス空軍パイロットの間でこの物語がよく知られていると冒頭に書かれています。

 ある日のこと、ドーヴァー海峡の上でドイツ空軍と戦うイギリス空軍のパイロットが、飛行中に戦闘機の故障にみまわれます。
 見ると、翼にたくさんの小さな妖精が乗っていて、錐で穴をあけたり、計器を狂わせたり、妨害をしています。このため飛行機は不時着せざるをえなります。

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 パイロットは不時着後、「なんてことをするのだ、なぜいたずらをしたのか」とその訳を尋ねます。すると、「我々は、古くから森で平和に暮らしてきたが、人間たちの文明や戦争のおかげで暮らせなくなり、人間に復讐しにきたのだ」と語ります。
 驚いた兵士は、悪いのはナチスドイツなのだと説明し、グレムリンとともに地球の平和を取り戻すために戦うというお話。
 なんとも戦争中の話に相応しい内容ですが、
熱烈な愛国者だったディズニーはこのキャラを反ドイツ・キャンペーンに利用したことから、英米の間で「グレムリン」というキャラが広がっていったというのが真相のようです。
 
 しかし、このグレムリン、たしかにダールやディズニーが発端に英軍パイロットたちが広めた噂なのですが、実はそういうことをまったく知らないであろう、日本のパイロットも目撃したという話もあるのです。それもB-29の搭乗員たちを襲ったという・・・。

 その話は次回にしましょう。

20080528100905.jpg
映画「トワイライトゾーン」のグレムリン


<参考文献>
荒俣宏の「グレムリンの謎」 お年玉ブログ

→http://blogs.yahoo.co.jp/aramata_hiroshi/21848530.html



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コメント 3

ロートレー

ブログの最後のグレムリンはとりわけ恐ろしい風体で妖精を超えて妖怪の凄みを感じます
次回はもっと怖くなるのかな~
怖がりの私に耐えられるかな~冷や汗!
by ロートレー (2016-08-06 12:15) 

caveruna

ギズモはカワイイですよね^^
by caveruna (2016-08-08 13:38) 

ワンモア

★ロートレー さま
 最後のグレムリンはアメリカTVか映画の「グレムリン」です^^;怖いですよね〜。

★caverunaさま
 ギズモ、カワイイですよね^^ 戦争中に作られたものとは知りませんでした。
by ワンモア (2016-08-09 13:50) 

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