今日から10月です。2016年もあと3ヶ月。ラストスパートに向けて頑張りましょう。
SUBARU名機カレンダーから今回は、日本陸軍二式戦闘機「鍾馗」です。
当時の日本では珍しい重戦闘機思想のコンセプトで開発された戦闘機です。実は一式戦の「隼」とほぼ同時並行で隼の予備機として開発されたのですが、その内容は中島飛行機の革新的なアイデアが凝縮された機体でした。
設計に関わった一人で「日本の宇宙開発の父」として有名な糸川英夫技師は「自分で最高の傑作だと思っているのは「隼」の次の「鍾馗」である。」と戦後の著書に記しているそうで。 これは、本命の「隼」に対し、「鍾馗」は「隼」が不採用になった場合の保険機として研究機的な側面の強かった機体だったので、新技術や新しい構想を盛り込むことができたからと言われています。
◆軽戦思想と重戦思想
当時の陸軍では、軽戦闘機と重戦闘機という2種類のコンセプトをもってして各社に開発を依頼していました。
軽戦闘機〜主に敵戦闘機との戦闘用
・格闘性能を重視するとと主に水平速度も求める。
・武装は機関銃×2門
重戦闘機〜主として敵爆撃機への攻撃、および軽戦闘機との共同戦闘用
・速度と火力を重視すると共に上昇力も求める。
・武装は機関銃×2門に加え機関砲×2門
・機体要部を装甲するものとする。
このコンセプトの流れから
軽戦闘機〜九七式戦闘機→一式戦「隼」→三式戦「飛燕」(中戦)
重戦闘機〜二式戦「鍾馗」→四式戦「疾風」
という流れが出来上がります。
分かりやすく図で作成しました(クリックで拡大)
日本戦闘機では初めて時速600キロを超えたキ-44「鍾馗」の性能は、革新的なパイロットから強い支持を受けたのですが、古いパイロットたちの格闘戦重視の思想からは相容れない機体でした。
戦地での貧弱で短い滑走路に対し、着陸の難しさがあって、陸軍が「鍾馗」に真の活躍する場を与えなかったのは残念なことだと思います。ちなみに戦後のアメリカの評価では、迎撃戦闘機としては最高の機体であるとの評価を得ています。
◆鬼を退治する鍾馗さま
さて、この二式戦闘機キ44ですが、愛称は「鍾馗」に命名されました。鍾馗といえば、端午の節句に絵や人形を奉納したり、魔除けのお守りとして日本ではお馴染みです。
中国の故事で、鬼を退治するものということで当時の戦争の状況もあって命名されたのかもしれません。なにせ当時は「鬼畜米英」ですからね。
鬼を退治するという意味で採用になったかもしれませんね。
また同時期に採用になったのは二式複座戦闘機の「屠龍」ということでこちらは竜を退治するという意味。欧米流にいうならドラゴンスレイヤーです。
正確には「屠竜(とりょう)」みたいですが、意味は同じだと思います。巨大な爆撃機を撃墜するのに重武装ということで、爆撃機を竜に例えたのでしょう。
◆小池繁夫氏の描く二式戦「鍾馗」
今回のSUBARUカレンダーに掲載している「鍾馗」のイラストはこちら。以前のカレンダーの再掲載となっています。
<SUBARU名機カレンダー>
2015年
12月 三式艦上戦闘機、九〇式艦上戦闘機
2016年
1月 アメリカ フォード5ATトライモーター旅客機
2月 九七式1号艦上攻撃機
3月 イギリス スーパーマリン スピットファイヤーMk.VIII戦闘機
4月 艦上攻撃機「天山」
5月 アメリカ カーチスNC-4飛行艇
6月 九七式戦闘機
7月 ドイツ アラドAr196A水上偵察機
8月 一式戦「隼」
9月 フランス カムス53旅客飛行艇
10月 二式戦「鍾馗」
11月 艦上偵察機「彩雲」
12月 四式戦「疾風」
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これはまだ艦これに無い機体ですねー
by アニ (2016-10-01 23:07)
おはようございます!
久し振りに聞きました「鍾馗」田舎には大きな人形があり刀で
良くチャンバラごっこをして遊びました!いい名前の飛行機です。
by Hide (2016-10-02 00:36)
二式戦闘機「鍾馗」キ44も爺の好きな陸軍戦闘機です。
ズングリとした機体が、海軍の「雷電」同様にカッコが良い!
by bpd1teikichi_satoh (2016-10-02 01:26)
季節柄、さんまに見えてしまう私^^;
by caveruna (2016-10-02 04:09)
★アニ さま
鍾馗などは陸軍機だから艦これはまだなんですかね(;^ω^)
★Hideさま
鍾馗さまは人形でよくみました(^^)
★bpd1teikichi_satohさま
雷電もそうですがパワー系の飛行機も人気がありますよね。
★caverunaさま
食欲の秋ですなぁ(笑)
by ワンモア (2016-10-02 23:49)
陸軍の戦闘機で一番好きな戦闘機です。
糸川英夫が戦闘機乗りの宿舎に乗り込んで一緒に寝泊まりして、彼らの要望を徹底的に聞いて設計したというエピソードもグッときます♪
by (た) (2016-10-03 09:47)
★(た)さま
こんばんは〜。流石お詳しいですね。
日本の技師は、パイロットの資格を持っている人が皆無でしたので、こういうエピソードは良いですよね。
by ワンモア (2016-10-04 20:25)