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滑走路の話でも〜滑走の数字の意味とか、色々な疑問を。

 空港の大事な要素である滑走路。翼に付いているフラップ(早く離陸できる)が開発されるまでは長い滑走距離が必要だったのですが、当時はブルドーザーなどが無かったので滑走路を作るのがとても大変でした。
 ですので、滑走路を作らずに済む、湖面から離発着できる水上機が便利ということで、沢山作られてブームにもなったのですが、この水上機ブームをなくしたのもブルドーザーと言われています。いわばブルドーザーは”水上機殺し”の憎き相手なのです(;^ω^)。とはいえ、このおかげで地上からも離発着がどんどんできるようになり、航空機の発展には貢献しているのも事実なのですが。
 さて、今回はその滑走路のお話を。

Lufthansa_Airbus_A319_landing_at_Split_Airport.jpg


◆滑走路の数字の意味

 旅客機でフライトを楽しんでいて、気になるのがモニターや窓から見える滑走路の数字。あれ、なんの意味かお分かりでしょうか。

Airport.jpg

 実はあの数字は、滑走路の方向を示しています。真北を360度として時計周りに方角を2桁の数字で表しているのです。
 無線でのやり取りの場合は3桁の数字になります。
Cap 301.jpg
 これ、何のために表示されているかというと、風向きと関係があるからなんですね。

 滑走路を作るには、大規模な細長い土地が必要になりますが、土地があるからいいやという訳でもなく、その土地に一番良く吹く風向きが重要になります。
 一番良いのは、飛び立つ際に真正面から風がくること。
 そこで、過去数年間のデータをとり、その地域で一
Cap 299.jpg番風が吹く方向と同じ向きで滑走路を作ります。また大きな空港なら、いつも同じ風が吹くとは限りませんので、横風に備えた滑走路も作られています。

 なので、その日の風向きを考慮してどの滑走路から離発着するかを決めるのですね。滑走路は風向きによってどちらかでも離発着できるように両側に書かれている場合があります。
「18(180度)」を足すか、引くかで反対側の数字になります。



(例)羽田空港(東京国際空港)の場合
 羽田空港には4本の滑走路があります。よく使うのはA滑走路の南側からのアプローチ34Lです。LとRは数字が同じで2本滑走路がある時の右と左の区分けのため。
 南風が強い場合は追い風を向かい風に変えるために北側の16Rから離着陸することが多くなります。更に西南の風が多いときはA、C滑走路だと横風になるので、C,D滑走路を使います。

羽田滑走路.jpg

 なので、今度利用する際にどちらかの滑走路から離発着するかで、風向きが分かりますよ(^^)
「今日は西南の風が強いから22からのアプローチか」なんて同席の人にウンチクでも(笑)

◆着陸してからガタガタ揺れる理由

 Cap 300 のコピー.jpg さて、飛行機が無事に空港に着陸して「やれやれ」と思ったら、機体がガタガタと揺れて驚いた方はいませんか。あれって、滑走路の路面が悪いからと思っておりませんでしょうか。
 実は地面のデコボコが原因ではないのです。
 そもそも滑走路は何十トンもの重量の着陸を想定して作られているので、その耐荷重はダンプカーなどの比ではなく、高速道路よりも頑丈で平坦に作られているのです。
 では何がガタガタの原因かというと、実は、滑走路に埋め込まれたライトなんですね。
 これを飛行機の前輪で踏んでいるので機体がガタガタと揺れているんです。
 どの滑走路にも、中央には「滑走路中心標識」と言われる目印がマーキングされているのですが、視界の悪い時や夜間でも見やすいようにと、中心線に沿ってライトが一定間隔で埋め込まれています。これを「滑走路中心線灯」と呼ぶのですが、操縦席からみると、最初は白色で、滑走路の残りが900mになると、赤色と白色が交互に設置されていて、最後300mからは、赤色だけが見えるようになっています。 

 他にも滑走路の左右には、「滑走路灯」と呼ばれる、白いライトがあり、その外側には、「滑走路距離灯」が点灯します。
 さらに、滑走路の手前には、「着陸進入灯」が点滅して、進入方向を示しています。
  また、滑走路の始点には、「滑走路末端灯」が横向きに並んでいて、この近くには「風向灯」「進入角指示灯」が。そしてタイヤが接地する位置には、「接地帯灯」が接地されているなど様々な種類のライトがパイロットの着陸を助けているのです。

A320-cockpit-night.jpg
 
 これらのライトのうち、「滑走路中心線灯」だけは踏まれること前提ですので、機体がガタガタと揺れる訳ですね。もちろん踏まれても壊れないように頑丈に作られていますのでご安心を。
 パイロットによってはライトを踏まないように着陸する人もいますが結構これが難しいみたいですので、もし、着陸してガタガタと揺れなければ「おっ、このパイロットやるな」と思っていただいて結構です(笑)

 「デコボコしないように完全に埋め込めばいいじゃないか」という方もいるかもしれませんが、そうはできない理由があって、完全にフラットに埋め込むと、着陸の角度から見えにくくなるんですね。この着陸時の降下角は約3度。ほとんど真横から滑走路を見ているようなものなので、ライトをほんの少し路面から盛り上げないといけないのです。
 
 今度、空の旅がある方は、こういう豆知識も知っておくと面白いかもしれませんね。
 

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コメント 8

johncomeback

今日もとても面白く勉強させていただきました。
着陸後の「ガタガタ」の謎が解けました(^^)
by johncomeback (2017-02-02 10:03) 

caveruna

すごい!数字、ライト、ガタガタと、たくさんの謎が解けました!
今度は、このページをプリントアウトして飛行機に乗りたいです(笑)
by caveruna (2017-02-02 10:56) 

hana2017

着陸してからのガタガタ・・・理由がよくわかりました。
揺れるか、揺れないか、パイロットの技量を計ってみます。
それにしても羽田空港、離発着する機体の多さゆえ?!飛び立つまで時間のかかる事!
by hana2017 (2017-02-02 15:54) 

隊長

着陸時のガタガタの理由、知りませんでした。
ライトを踏んでいるなら、何故離陸時には、ガタガタしないのですか?
by 隊長 (2017-02-02 16:56) 

Cedar

疑問が一気に解消しました!ありがとうございます。
勝手ながらRSSに登録させていただきました。
by Cedar (2017-02-02 18:36) 

ワンモア

★johncomeback さま
 ご参考になれば幸いです(^^)

★caverunaさま 
 ウンチクですので、同乗者に語ってください(笑)

★hana2017 さま
 羽田は2分に1機離発着とかありますから渋滞してますよね(;^ω^)

★隊長さま
 基本は中央標識を踏んでいるはずですので、ガタガタと振動はしているはずなのですが、離陸時は速度がぐんぐん上がっていくので着陸時に比べて連続して聞こえてくるはずですからさほど気にならないのかもしれませんね。
 また着陸時に比べて離陸時はタキシングして滑走路の位置を選びやすいので、ちょっとずらして飛ぶことができる場合もあるかもです。
 更に大型機にで前輪が2つある機種だど、ちょうどまたぐようになるので、この場合は振動しないです(^^)

★Cedarさま
 ありがとうございます。私の方からも登録させていただきます。マニアックな話が多いですが、お付き合いくださると幸いです(^^)

by ワンモア (2017-02-03 00:40) 

ちょいのり

うわあ・・・数字とか全然知りませんでしたよ^^;
着陸時は外見ないで体に掛かるGばかり楽しんでたからw

あ、そうそう。
最近、自分の住んでる草加市の隣の越谷市に、
かつて軍の飛行場があったとかーーーって話を聞いたのです。
戦跡遺構なんて周辺に無いものだと思ってたからビックリ!
数字も無く、たぶん一本の滑走路だったと思うけど、
今度見学に行こうかと思います(話によると煉瓦じゃ無いけどコンクリの何かの跡が残ってるらしいーーー
by ちょいのり (2017-02-03 03:26) 

ワンモア

★ちょいのりさま
 埼玉は所沢飛行場や調布飛行場とか有名な飛行場が多いですよね(^^)
by ワンモア (2017-02-03 11:41) 

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