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高速道路に飛行機は着陸できるの?滑走路の話の続き

「中央フリーウェイ〜、右に見える競馬場〜、左はビール工場〜、この道はぁ まるで滑走路、夜空に続くぅ〜」


 中央自動車道を走っていく走っていると思い出しますね、松任谷由実の「中央フリーウエイ」(^^)。普通の自動車の車高だと競馬場もビール工場も見逃してしまうのですが、トラックなど車高の高い車だとよく見えるそうで・・・。

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この衣装、時代を感じますね。
 
 夜の上り坂で、前方の赤いテールランプの等間隔の列と、対向車線側のヘッドランプの等間隔の列がまるで空港の滑走路灯のように見えるので、本当にこのまま飛べるような気もしてきます。
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 さて、実際に滑走路のような真っ直ぐな道路に飛行機が離発着することは可能なのでしょうか。今回はその話を。

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こんなデカイのが下りてきたらビックリしますよね。


◆道路の作り方

 道路も滑走路もコンクリート舗装もしくはアスファルト舗装で出来ています。この違いはというと、
コンクリート→砕石・砂・セメント(石灰・粘土・珪石など色々混ざったもの)・水
アスファルト→砕石・砕石の粉・アスファルト乳剤を加熱混合したもの

 コンクリート舗装のメリットはなんといっても耐久性です。逆に頑丈なので、取り壊す時が大変なくらい。デメリットは固まるまで時間がかかることと、継ぎ目ができてしまうので走行性が悪いということ。またスリップもしやすいです。
 かたやアスファルト舗装のメリットは完成までが早いこと。走行性もよくて継ぎ目もありません。
 よくローラー車でゴロゴロやっている風景を見ることがあると思いますが、あれ、転圧といって固めて均している作業なのです。なので、この転圧が終わればすぐに交通できるのです。
 アスファルトというと真夏の暑い日は溶け出すイメージがありましたが、最近のアスファルトは高温でも溶けないようになってきているそうです。子供の頃のイメージで、真夏のアスファルトの道路がネチャネチャした記憶がありますがそういえば今はないですな。
 デメリットはというと耐久性。数年から10数年毎に工事をしないといけません。しょっちゅう道路工事やっているなぁと思うイメージがあると思いますが、あれ、年度予算を使い切るだけでなくアスファルト舗装だからなんですね。

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 日本では、昭和40年代に入って急速に舗装率を増加させるために施工性の良いアスファルト舗装が普及し、コンクリート舗装は昭和30年代の30%から現在は5%まで落ちているとのこと。
 まあ、普及した理由は、アスファルトは石油を精製した時に必ずでてくる副残物なので、使わないと処分するだけという理由もあったそうで。
 逆にコンクリート舗装は頑丈なので、自衛隊の演習場付近などの道路は多いとのこと。

◆道路が滑走路になる〜代替滑走路

 また、第二次世界大戦下のドイツでは、戦時下による戦略もあって、高速道路(アウトバーン)を利用して戦闘機の離発着を行っていました。これを現代では「代替滑走路(だいたいかっそうろ)」とも「臨時滑走」、「ハイウェイストリップ」などとも呼ぶのですが、今でも戦争などの緊急事態を想定して高速道路に着陸する訓練を行っている国もあります。

 有名なところではドイツのアウトバーン。朝鮮戦争の影響なのか、北朝鮮や韓国も多いですね。冷戦時に中立政策をとっていたスゥエーデンも基地の滑走路が先制攻撃を受けた場合を想定して高速道路を滑走路として運用できるようにしていました。国産のサーブ戦闘機たちもそのように開発されています。

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道路に着陸したC-130輸送機
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上空から見ると、もう飛行場のエプロンのようですね。
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自動車用のパーキングエリアも有事の際には航空機の駐機場に。
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 実際にアウトバーンの中央分離帯は中央にフラワーポットなどの場所があります。こう言うところは中央分離帯を直ぐに撤去して、滑走路代わりに出来ます。

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着脱可能なガードレール

 

 ただ、これらの代替滑走路は空軍基地が使えなくなった時の応急措置なので、民間は使えませんし、軍用機でも事前に使用するための離発着訓練などもしています。簡単においそれと使える訳ではないのです。

◆普通の道路との違い

 
 さて、滑走路として使える道路ですが、普通の道路とどう違うのかというとやはりかなり頑丈に作られているのでコストもかかっています。
 たとえば、車用の道路は、砂利や土砂の上に数センチ程度のアスファルトを敷いて慣らしたものなのですが、空港の滑走路のアスファルトの厚みは約3メートル!
 アスファルトを少し敷いてはローラで固めるという作業を何度も繰り返し、強くて硬い滑走路に仕上げているのです。

 大型で何十トンもある旅客機の着陸の衝撃に耐えるにはこの位頑丈に作らないといけないのですね。 

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 セスナなどの小型機はともかく旅客機の道路への着陸はかなり厳しいようです。
 ですので飛行機が着陸できる道路は予め飛行機が着陸するということを想定して作られていないと厳しいということですね。

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◆「この道はまるで滑走路」は雰囲気で

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 さて、実際の中央フリーウエイ、「片手で持つハンドル、片手で肩を抱いて」なんて運転は、最近は交通量が多いので、片手のハンドル操作は危ないですね(笑)。
 しょっちゅう大渋滞を起こすので、「この道は〜いつも大渋滞 無限に続く〜」です(;^ω^)
 空を飛ぶくらいの快適な運転は気持ち良いものですが、速度の出しすぎにはご注意を。


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コメント 6

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

当時のユーミンの曲は、名曲ばかりですね。。
よく、WALKMANで聴いてました。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-02-04 18:44) 

johncomeback

言われてみれば近年は道路がネチャネチャしたのを見てないですね。
道路上の蜃気楼のようなモヤモヤも見ませんが、関係してるのかな?
by johncomeback (2017-02-04 19:38) 

ちょいのり

昔は新しめのアスファルの上とか夏場に歩くとぬっちゃぬっちゃしましたねw
なるほど~専用で造ってない道路じゃほんと緊急程度でしか離着陸できなそうですね^^;
例えるなら無限孵化装置が空港で課金の孵化装置が道路でしょうか(*´д`*)サンカイデコワレチャウー
by ちょいのり (2017-02-05 01:30) 

ワンモア

★なんだかなぁ〜!! 横 濱男さま
 ユーミン、今でもよく聞いています♪

★johncomebackさま
 アスファルトって古代から存在していてミイラの防腐剤にも使われていたんですって。ちょっと驚きです。

★ちょいのりさま
 課金の孵化装置って回数少なすぎると思いません?(;^ω^)
 あぁ、最近やってないです(*´д`*)
by ワンモア (2017-02-05 19:27) 

caveruna

中央道はめったに乗らないので、
たまに走ると、やっぱり歌ってしまう「中央フリーウェイ」♪
by caveruna (2017-02-06 14:19) 

ワンモア

★caverunaさま
 もう定番ですよね(笑)私、いつも渋滞に引っかかります><
by ワンモア (2017-02-07 10:32) 

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