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”世界で最も醜い飛行機”とまで言われた子。スーパーグッピー。

 前記事の流れで、今回は”世界で最も醜い飛行機”とまで言われた航空機をご紹介します。この発言をした人は、「ヒコーキの心」でも有名な航空宇宙評論家の佐貫亦男(さぬきまたお)氏。
 日本人のなかでも最も多くの飛行機たちに触れ、見続けてきた方だからいえる言葉だとは思いますが、ちょっと可哀想ですね。
 では、さっそくその姿をご紹介しましょう。
Aero Spacelines Super Guppy.jpg
どーん(汗

Super_Guppy_carrying_Saturn_V_S-IVB_stage copy.jpg
ホントに飛べるのかというようなデザイン

 うーんどうでしょうか。元々は普通の輸送機だったC-97(ボーイング377の旅客機の軍用タイプ)をベースに改造した、大型のジェットエンジンや、他の旅客機の主翼、胴体の部品などを運ぶために広げた航空機なのです。
 ちょっと無理矢理感がありますが、製造当時は世界最大の容積を持つ飛行機でした。
LoadingSuperGuppy copy.jpg
操縦系統とかどういう構造なのか気になる・・・。

 1960年代のアポロ計画のサターンロケットを空輸するために特別に改造した飛行機なのです。三面図を見るとその異様さがもっと分かるかと思います。

664px-B-377.svg.jpg
笑うしかない・・・。

 先程の佐貫亦男氏は本機の外観をもって「世界でもっとも醜い極限を示した航空機」と称してます。なんか、おでこが肥大した魚を連想してしまいますね。なんだっけ?見たことがるような。
 
◆原型機はC-97

  このスーパーグッピーの原型機は、C-97Jという輸送機です。
C-97_stratofreighter_041116-F-9999R-002 copy.jpg
こちらがC-97(初飛行1944年)
 

民間の旅客機仕様としてボーイング377があります。
1024px-Boeing_377_N1033V_PAA_Heathrow_12.9.54 copy.jpg
 初飛行は1947年。生産数は56機。パンアメリカン航空などで主に使われていました。
 最後の大型プロペラ旅客機として知られています。

 当時はモダンな寝台車のような折りたたみ寝台。男女別の洗面室。バー用のギャレーやソファもあったと言いますから優雅ですよね。
Boeing_377_sleeping_arrangements copy.jpg
「空飛ぶホテル」との異名も

 ただ、大きな機体が災いし、運用できる空港が限られるようになり、ローカル線などに回しづらいこともあり、現役期間は短いものとなります。

 このC-97の機体を、宇宙開発用の輸送機として使おうとNASAからオーダーがあったのが、スーパーグッピーシリーズになるのです。
 そう、この醜いと称されたスーパーグッピーはシリーズものなのです。


◆”妊娠したグッピー”と言われたプレグナントグッピー

 
1960年代アメリカの威信をかけた「アポロ計画」がスタートすると、超大型のロケット部品などを空輸する必要性が出てきました。

 そこで、このボーイング377(C-97)の胴体を拡大して輸送力を上げたのがこれです。

800px-Pregnant_Guppy_NASA copy.jpg
うーん。(;^ω^)

 お腹が膨らむ妊娠ではなくて背中が大きくなった感じですな。作ってはみたものの、これでも容量が足りないとされ、スーパーグッピーが開発されたという経緯なんですね。

 さて、このスーパーグッピー。5機も製造されて活躍したのですが、アポロ計画が終わった後は、エアバス社の旅客機の胴体や翼の輸送に用いられるようになります。
 ボーイングにとってエアバス社とはいわば宿命のライバル。ボーイング社で作られたスーパーグッピーが、エアバスの生産のために手助けすることになって、「全てのエアバス機は、ボーイングの翼によって届けられた」と揶揄されるようになります(;^ω^) 。なんか皮肉な話ですな。

 現在でもNASAで一機が運用されています。

 使命とはいえ、無理矢理に肥大させられた機体をもってして”醜い”と称されたのかもしれませんが、ちょっと可哀想な気もしますし、じっくり見ていけば愛嬌もあっていいのではとも感じます。

<昨日の出来事>
HPC_01.jpg

 昨日から東京出張です。日本橋小伝馬町が職場です。オフィス街や衣料品、装飾雑貨など中心の街なのでしょうか。歴史的には、牢獄があったり、旅人宿で賑わった街です(^^)。食べる所には困りませんな。

昼飯.jpg
食後のコーヒー付きで500円♪
IMG_5615.jpg
地元ではお目にかかれない自転車用のロッカーがありました。

 
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コメント 11

hana2017

極寒の世界は、昨夜体験してまいりました。
ご存知の通り、那覇空港は民間機と航空自衛隊の航空機と両方見られる飛行場です。
だから飛び立つ前の滑走路上での長い待ち時間も比較的飽きずにすむかな?なーんて事は決してありませんけどね^^;

世界で一番寒い町、ロシアのオイミャコン。
井上靖の名暑「おろしや国酔夢譚」は何度でも読み返したくなる一冊のひとつ。
作家の椎名誠「シベリア追跡」は、江戸中期、ロシアに漂着した大黒屋光太夫の足跡を追いかけたノンフィクション。
両暑の中、オイミヤコンは登場していたのを思い出しました。
日本橋小伝馬町・・・江戸の町で度々起きた大火事の際、収監されていた罪人たちが数時間のみの自由時間を待ち焦がれた・・・小伝馬町の牢ですね^^
by hana2017 (2017-03-02 13:56) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

どう見ても、飛べるとは思いませんね。
中に気球でも入っているのかな?なんて思う形です。(^_^)
でも、好感持てる形だと思いますね。
結構、この飛行機・・好きだなぁ~!!
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-03-02 15:36) 

(。・_・。)2k

飛べることにビックリですが
チャリンコ入れるロッカーがある方が
かなりインパクトありました

by (。・_・。)2k (2017-03-02 16:22) 

ワンモア

★ hana2017さま
 極寒の世界を昨夜体験されたとは。それは大変でしたね><
 どちらに行かれていたのでしょう。
 小伝馬町。吉田松陰終焉の地としての石碑もありました。

★ なんだかなぁ〜!! 横 濱男さま
  変なカタチですよね。安定性が心配です。ちなみに速度は300Km/hも出ないみたいですよ。

★(。・_・。)2kさま
 高価な自転車は盗難の危険があるからロッカーに入れるのでしょうか。ちょっとまた行って詳しく見てきます(^^)
by ワンモア (2017-03-02 17:32) 

caveruna

こういう鯨いますよね?!(笑)
醜いかなぁ・・・かわいいじゃん♪
by caveruna (2017-03-02 18:02) 

kinkin

グッピー、自分は好きな飛行機です。決して格好いい訳ではないんだけど、好きなんですね・・・・
by kinkin (2017-03-02 19:30) 

johncomeback

この機体が飛べるってのが凄いですね。
僕的には愛嬌があって嫌いじゃないなぁ(^^)
by johncomeback (2017-03-03 10:21) 

ワンモア

★ caverunaさま
 ねえ、愛嬌ありますよね。でもちょっと無理してる感があって、
 それが設計者としては厳しい評価になっているのかなぁ。
★kinkinさま
 プラモデルとか人気ありそうですよね。
★johncomebackさま
 クジラのようですよね(^^)
by ワンモア (2017-03-03 17:05) 

kohtyan

スーパーグッピー、面白い型の飛行機ですね。
スピード感はないけど、愛嬌があります。
by kohtyan (2017-03-03 18:59) 

隊長

スーパーグッピー、鯨の様に見えます。
“空飛ぶ鯨”、夢があって素敵に思えます。
by 隊長 (2017-03-04 16:20) 

ワンモア

★ kohtyanさま
 ブワッと膨らんでいるので、中に空気でも入っているの?という感じですよね(笑)

★隊長さま
 クジラのようですよね(^^)運ぶものは限定されてしまいますが、面白い形になりましたよね。
by ワンモア (2017-03-04 19:48) 

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