SSブログ

現代廃墟考〜廃墟や遺跡の鑑賞の仕方について考えてみる

 最近、ヒコーキネタがないこのブログですが、もう少しお付き合いを。
 本格的な趣味という訳ではないのですが(それでも他人に言わせるとマニアらしいwww)、廃墟見学があります。

 廃墟というと、主に近代の建築物になるのですが、それ以外にも昔の遺跡、史跡、お墓などの探索など、昔の人々の営みや面影を感じ取ることができるものが好きなのです。
 廃墟というと、世界遺産とか史跡とは違い、地元のローカルなものでしたが、最近はSNSなどで全国的に話題になったり、情報を入手することができます。
 そんな廃墟マニアですが、これも様々なジャンルに分類することができそうです。

廃病院・廃学校・廃遊園地・テーマパーク・廃ホテル・廃屋

IMG_6863 copy.jpg
宇都宮市の某所 健康ランド

 まず思いつくのが、このジャンルかもしれませんね。ここ何十年かでブームにもなっています。大半がなんらかの事情で経営が上手くいかなくなって放置されたとか、事故などで人が住まなくなったとかいわくつきの物件が多いです。
 建物自体はどこにでもあるものですが、廃れ具合や廃墟になった理由などが、ネットで拡散されて有名になり、全国からマニアが訪れたりもします。
 個人的には、ちょと距離を置いているかなぁ。廃墟になった事情がまだ風化していないというかリアルすぎるとかで・・・。

IMG_3470 copy.jpg
茨城県某所の廃屋アパートたち(家具もそのまま)


 廃病院などは、ちょっとオカルト系ですね・・・(;^ω^)
 ただ、肝試しなどでこういう場所へ行くのは、別の意味で危険ですので絶対に行かない方が良いと思います。
 特に廃病院や廃工場ですと、有害な産業廃棄物が遺棄さえている可能性があります。ある意味、超危険です。個人的には、パスする場所です。

IMG_4198 copy.jpg
茨城県の駅前通りの某ビル
IMG_5798.jpg
鹿沼某所。もと公民館かもしれません

 廃校は好きな分野かな。事情が少子化や過疎化ですので。ちゃんと保存している所もありますね。
IMG_2315 copy.jpg
ドラマのロケにも使われている旧上岡小学校
IMG_2375 copy.jpg


◆ここ100年あまりで誕生してきた「産業考古学」

PICT0100 copy.jpg
有名な足尾銅山

 
 
日本では産業革命が始まって約150年。すでに産業遺跡ともいうべきものが出てきており、その保存や調査、記録が行われ、文化遺産としても重要な位置づけになってきております。
 いわば「産業考古学」ともいえる分野です。
 考古学というと、一般的には何百年・何千年もの遺跡や出土品からその時代を生きた人々の生活や文化を考察するジャンルというイメージがありますが、産業考古学も、そうした一連の作業に似ていると思います。

PICT0081_3 copy.jpg
町そのものが、遺構となりつつある足尾銅山


 江戸後期に大砲を作るために製鉄を行っていた反射炉などが最も古い産業遺跡として有名ですよね。でも多いのは、明治以降「富国強兵」「殖産興業」といったスローガンの元に始まった西洋技術の導入、大規模装置産業、大量生産施設、通信・研究・輸送施設などといった物件でしょうか。迫力もありますし、見ごたえがあるものも多いです。

 ソネブロのちょいのりさんの「居酒屋けいば駅員3さんの「東京の坂と橋をJeep M38で巡る江戸情緒発見の旅」というブログでは、こうした産業遺跡を調査するフィールドワークが見事に展開されています。

居酒屋けいば.jpg

 ちょいのりさんのブログでは、初心者にも分かりやすく対話形式で記事を進め、興味を持たせる手法は秀逸だと思います。
 産業考古学では欠かせない要素の「煉瓦」。駅員3さんとところでは、「煉瓦研究ネットワーク東京」という集まりもあります。

IMG_2951 copy.jpg
足尾銅山の煉瓦の建築物
IMG_3113 copy.jpg
今市〜宇都宮区間では、今も使われている建築物もあります。


◆廃線

PICT0083_3 copy.jpg
 廃線は上記の産業遺跡に分類されるかもしれません。廃線の上を歩くも良いものです。
 錆びたレール、朽ち落ちた枕木。この線路の上をどういう列車が通り、その中で乗客や乗員たちは何を考えていたのだろうかと考えていると、汽笛の音が遠くから聞こえてくるようです。
IMG_2855 copy.jpg
IMG_2849 copy.jpg
今も運行されている線路につながっている廃線も良いですね。

◆電車、車、航空機などの乗り物系、骨董品などの道具、日用品

IMG_1575 copy.jpg

 廃墟という建物物ではありませんが、乗り物や生活道具などは、廃墟のアイテムとして存在します。これがあるとないとでは廃墟の雰囲気も変わりますね。人の営みを感じとりやすいものです。

IMG_9302 copy.jpg
小道具なんかも好き


 航空機は兵器としての役目を終えているものが好きなのです。銃を下ろしても飛べる飛行機は足かせが外れたように楽しんでいるように見えますし、エンジンを降ろされた飛行機は、その姿を見せることで、戦争の悲惨さと平和のあり方を考えさせてくれます。

IMG_3097 copy.jpg
錆びた車両は、余生を楽しんでいるようにさえ感じます。

IMG_6945 copy.jpg
IMG_1284 copy.jpg
IMG_1180 copy.jpg
大事に保存されているのを見るのはうれしいものです
IMG_3772 copy.jpg
ただ、事故車だけは嫌だなぁ

◆宗教施設の廃墟〜失われた信仰

100525_154817 copy.jpg

 個人的に好きなのが、実は廃寺・廃神社などなのです。栃木県でも人口が減少したりして、お寺の住職がいない「兼務寺」が増えてきましたが、中には「廃寺」も多いのです。

100408_165631 copy.jpg

IMG_3292 copy.jpg
一般的な怖さでいうと、こちらがナンバー1かもしれませんね(;^ω^)
IMG_3279 copy.jpg
朽ちていく運命なのか・・・

 これは、経済的に成り立たたくなったというより、檀家の人口が減ったり、後継者がいなかったりといった理由かもしれません。
 信仰が生きていたという場所での廃墟は諸行無常の理を感じるものがあります。

100224_131052 copy.jpg
無縁仏の墓石を集めた供養塔足尾銅山の某寺


 足尾銅山のとある寺の供養塔。鉱山で一稼ぎするために全国から集まってきて、そのまま故郷に帰ることなく亡くなり、無縁仏として葬られた人たちも大勢いたことでしょう。
 「お墓なんてよく行けるなぁ、呪われるんじゃない?」などと言われることがありますが、あまり気にならないのが正直な感想。それよりも病院の方が怖い感じがします。

◆考古学で扱う遺跡や史跡


 古墳もワクワクする分野ですが、土だけがこんもりとあるだけの所も多く、感じ取るのが難しい場所も。建築物がないのでこちらは「廃墟」には分類されないですね。お城などは一応「廃墟」なんですかね?人の手入れがされていないのが廃墟ですので、違うのかな。
 
 古墳は歴史が幾重にも重ねられているので、どの時代にフォーカスするかで見方が変わるように思います。たいていの古墳の上には祠や神社が建立されている場合も多いです。昔の人も古墳には何かしらのものを感じていたのかもしれませんね。

IMG_5298 copy.jpg
IMG_5315 copy.jpg
下野国庁跡

IMG_4729 copy.jpg
宇都宮市の根古谷台遺跡。

 宇都宮市の根古谷台遺跡は、市が、ここにお墓を造成しようと開発したら、先客がいたというお話です(;^ω^) 今も昔も考えることは同じですな。

 このように廃墟と行っても、様々なジャンルに分けられると思いますが、大別すると、手入れされることもなく、そのまま朽ちていく状態のものなのか、後世に残すものとして保存管理されているかに分かれるように思います。後世に保存されるものは遺跡・史跡として残っていくのでしょうが、個人的には、人知れず風化していくものに「物の哀れ」的なものを感じ、惹かれるのです。


◆松尾芭蕉の句が廃墟好きな心情を物語っている

 廃墟に佇んでいると、よく思い出す言葉があります。それが松尾芭蕉の句、「夏草や兵どもが夢の跡」
 
 現代の兵(つわもの)はバブルや絶頂期の会社や経営者たちを、いや、人の人生そのものも指すのかもしれません。自然の流れのなかでは、そんな栄華も繁栄も虚しく、一時の夢の如しで、無心に茂る草が諸行無常の理を語っているように感じます

 研究や観察するには冬が良いのですが、感傷に浸るのはやはり夏草の生い茂る時期ですな。

IMG_6838 copy.jpg
今年も色々と訪れてみたいと思います。

美しい日本の廃墟 いま見たい日本の廃墟たち

新品価格
¥1,944から
(2017/3/26 12:26時点)


バブル廃墟


中古価格
¥790から
(2017/3/26 12:27時点)


ニッポンの廃墟


中古価格
¥590から
(2017/3/26 12:27時点)


こんな記事もどうぞ

来たよ(30)  コメント(9)  トラックバック(0)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 30

コメント 9

tochi

こういうネタいいですね
鹿沼某所は小学校跡てす
校舎前のアジサイが咲くと風情があります
一昨日は足尾を満喫してきました
by tochi (2017-03-26 21:15) 

駅員3

ご紹介いただき、ありがとうございます。
煉瓦建築物はわずか百数十年前のことなのに、結構わからないことが多く、色々な事実を掘りだし、点と点を結ぶことにより線になり、さらに線が織りなす模様を分析していくことにより謎を解明する・・・まるで難事件を解決していく推理小説のような面白さがあります。
近代産業文化遺産が考古学として認知されるようになったのはここ数年といってもよいと思います。
これからも少しづつ謎を紐解いていこうと思います。
金曜日と土曜日は紀淡海峡を守る由良要塞のいくつかの砲台を巡ってきました。そのうち記事にアップしたいと思います。
お楽しみに(^_-)/
by 駅員3 (2017-03-26 22:43) 

yamatonosuke

なんか「いいちこ」のCMに出てきそうな風景ばかりですね^_^
by yamatonosuke (2017-03-27 00:41) 

johncomeback

僕が生まれた集落は30年以上前に硫黄鉱山の閉山で無人となり、
一時北海道の廃墟マニアの人気スポットになっていました。
現在は集落への道路が崩壊して行く事さえ困難なようです。

大谷石資料館のトラック、良い感じでした(^^)
by johncomeback (2017-03-27 09:35) 

Cedar

昨年、金沢に旅行した折に、山中温泉から金沢まで加賀温泉卿特急バスというのに乗りましたが、こりゃまさしく廃墟巡りバスでした。
山代・片山津の廃業したホテル街を抜けていくのですから、乗客もたった5人!
by Cedar (2017-03-27 11:45) 

ワンモア

★ tochi さま
 おぉ、小学校跡だったんですね。小学校にしては小さいと思ったので公民館?かと思ってました。
 するとバスの転回場が校庭?

★駅員3 さま
 おぉぉ。記事のアップを楽しみにしています(^^)

★yamatonosuke さま
 いいちこのCM、見たことがありませんでした(;^ω^)

★johncomeback さま
 無人の集落は寂しくなりますね。

★Cedar さま
 それは寂しいですね。地方がまた盛り上がって欲しいとは思います。

by ワンモア (2017-03-27 18:20) 

caveruna

倒産した遊園地なんかも、
物悲しさがありますよね〜^^;
by caveruna (2017-03-27 19:53) 

ちょいのり

ボクはもともと廃墟マニアでしたが、
限りなく黒に近いグレーゾーンでもあり(不法侵入。必ずその土地には権利者がいる)
もしかしたら廃屋なんてこれから当たり前の日本なんじゃないかと思って遠のきました(少子化やら空き家問題)

だからと言って退廃ノスタルジーは忘れられないのです。
自然に飲まれる人が作り出したものの行く末がたまらなく好き(*´д`*)
そこにテーマをくれたのが駅員3さん^^
日本近代遺産の要であり礎となった『煉瓦』そして『刻印』
それには『廃な要素』も『歴史』もあったのですよ。

廃墟を調べるのも好きでしたが、
こっちはもっと好きになっちゃったw
調べ甲斐ありまくりですしね!

だから思うんです。ジャンルは少し変わったけれど、
ボクは知るのが好きだったってことにね^^

かといってこれからも廃墟を見つけてスルーするわけじゃありませぬ。
お痛はせずに考察してみたいです^^

by ちょいのり (2017-03-28 20:37) 

ワンモア

★caverunaさま
 遊園地もなんか胸にグッときます。競馬場跡もいいですよ。
 
★ちょいのりさま
 コメント、お待ちしておりました(笑)。近代考古学は始まったばかりです。興味が尽きないです。私も足尾銅山や日光の遺跡など違った面から栃木の魅力を引き出したいなと思ってます(^^)
by ワンモア (2017-03-28 22:35) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 1/144ヒコーキ工房 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。