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そういえば最近聞かない「アンカレッジ経由便」。なぜ?

 前記事で、ブロガーのhana2017さんのコメントで、昔はアンカレッジ経由で欧州へ旅行していたという内容をいただきました。
 アンカレッジ・・・確かにそういえば最近聞かなくなりました。
 欧米へ旅行にいくルートで1970年代から80年代半ばにかけて主流だったアンカレッジ空港経由便。ある程度のご年齢の方々には、とても馴染みの深い名前のようです。世代間の格差もこういうところに現れるかもしれません(;^ω^) とはいえ、私は利用したことがないのですが(笑)。
Ted-Stevens-airport-Michael-Hayes.jpg
現在のアンカレッジ国際空港。かつてはここが欧米各国への玄関口でした。
http://www.ktoo.org/2014/07/02/possible-growth-ted-stevens-airport-concerned/

◆ヨーロッパへの旅への主要ルート、アンカレッジ経由便
 
 戦後、日本もようやく空の旅が開始された頃、日本とヨーロッパを結ぶ空路は、ソ連上空を通るシベリアルートが使用できませんでした(当時の政治状況などが理由で)。
 日本から最短ルートでヨーロッパへ行こうとすると、シベリア上空を通過しないといけないのですが、このシベリアを通過できるのは、ソ連のアエロフロートか、領空通行料をふんだんに支払っている大手の航空会社のみだったのです。
Cap 451.jpg
現代はこんな感じのルートで最短距離で行けるようになりました。

 なので、通常はアジアを経由する南回り路線か、北極圏を通る北回りルートのいづれかしかルートがなかったのですが、このうちの北極圏を通るルートの経由地が、アンカレッジ便だったのです。
Cap 448.jpg
昔は殆どが東回り便

 ただ、遠回りなので、時間もかかる上に当時の旅客機は航続距離が充分ではありません。

 なので、一度、燃料補給をするためにアンカレッジに寄らないといけなかったのです。
 一旦、燃料補給で降りますので、乗客たちもターミナルで2時間ほど時間を過ごすことになります。
 これが逆に不便だったという声もあれば、懐かしいと思われる方も。
 アンカレッジ空港(正式にはテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港)は、アメリカのアラスカ州にあるのですが、ここのターミナルの売店たちは、当たり前のように日本語が通じたとか。更には日本円でもOKだったとのこと。
 誰もが免税店のおばちゃんたちの鉄壁の布陣から逃れることができなかったそうです(笑)。うどん等の日本の飲食もあったそうですが、麺もつゆもダメダメだったのに妙に美味かったという声も。海外のウイスキーやブランデー、たばこなどがお土産として人気が高かったようですね。
 給油が終わったことを告げるアナウンスもほとんどが日本語だったとか。アンカレッジ空港は、まったく外国を感じることができないアメリカの空港とのことでした(笑)。

 ここを懐かしむ人たちがよく言うのは、離発着時の景色の素晴らしさ。雪で覆われた真っ白な大地、マッキンリーを代表とする険しい山々の荘厳さ、流氷の数々、その全てが日本では味わうことができないスケールの大きさだそうです。
Cap 448 のコピー.jpg

◆シベリアルートの開放と積極的な航路の開発


 さて、そんな不便ではあるけど、思い出になるような所もある東回りの空路ですが、1972年頃より日ソの航空交渉が進んできて、JALがシベリアルートの運行を徐々に開始するようになります。
 1990年初頭に冷戦が終結すると、
逆に今度は「領空通航料」のなどの外貨を稼ぐために積極的にシベリアルートを開放するようになり、これを受けて、アンカレッジ空港の最大のユーザーであったJALも、アンカレッジ経由便を1991年を最後に完全に廃止となりました。


◆現在のアンカレッジ空港はどうなっているの?

 今は立ち寄ることがなくなってきたアンカレッジ空港。そうなると逆に行ってみたくもなりますよね。最大のユーザーであった日本人たちが立ち寄らなくなって寂れてしまったのか気になるところですが、今のアンカレッジ空港は乗客ではなく、貨物機が賑わう空港になっているそうです。
 日本からの貨物航空の747-400F、747−8F型機がアメリカのダラス、シカゴ、NYへ向かう便で寄港しています。
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日本貨物航空とチャイナエアラインのボーイング747-400F貨物機
向こうに見える山々が美しいですね。

 旅客機の航続距離が向上した現代でも、なんで寄るかというと、燃料を少なめにして、荷物を多く運ぶためだからとか。最初から燃料を満タンにして出発するよりも、こうしたやり方の方が荷物をより多く運べるからなのですね。

Japan_Airlines_767_taxiing_at_ANC_(6723114225).jpg
ボーイング767-300ER

 今では世界第4位の貨物取扱量を誇る空港として稼働しているとのこと。

さらには、貨物便が主流かというとそうでもなく、2015年度の旅客機実績は約540万人とまずまず。今後も飲食店が続々と開発される予定だそうです。うーん、アンカレッジ空港、頑張っています。こういう情報は昔を懐かしむ方々には嬉しいかもしれませんね。
 今度はアンカレッジ空港を終着点とした旅を企画してみるのもいいかもしれませんね。

Denali_Mt_McKinley.jpg

<参考サイト>
当時のアンカレッジ空港の写真を載せたブログや記事をピックアップしてみました。
アンカレッジ(ひろしの旅日記さま)
アンカレッジ空港の思い出(汽車のりBlogさま)
→アンカレッジのあの「うどん屋の店名」を教えて!(発言小町)
アンカレッジの免税店と飾り棚の高級洋酒(役に立たないけど面白いことさま)


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来たよ(29)  コメント(7)  トラックバック(0)  [編集]

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コメント 7

kinkin

そう言えば、ヨーロッパに行くためにはアンカレッジ経由で行くというのが
昔のルートでしたよね。
今は西回りの直行便ですよね、ヨーロッパ圏への旅は10年以上前が最後で
行く事も無くなっちゃいましたが(全部仕事での出張^^;)
by kinkin (2017-04-23 07:13) 

caveruna

アンカレッジ経由、確かに聞かなくなりましたね。
こういう昔の話って、面白いなぁ〜
そしてちょっとうらやましいなぁ〜
by caveruna (2017-04-23 13:20) 

johncomeback

そういえば僕が若かった頃、
海外出張のお土産の洋モクを有り難くいただきました(^-^)
by johncomeback (2017-04-23 19:13) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

アンカレッジ経由・・昔良く聞きましたね。
こちら経由の方が安全そう~!(^0^)


by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-04-23 19:57) 

ワンモア

★ kinkinさま
 昔の旅のほうがのんびりとしていましたね(;^ω^)

★caverunaさま
 私もこういう話、好きです。今回色々なブログも調べて面白かったです。(^^)

★johncomebackさま
 そうそう、海外のタバコ、洋モクって言ってましたね(笑)

★なんだかなぁ〜!! 横 濱男さま
 アンカレッジ経由は時間がかかりますが、色々と楽しい思い出を持っている方も多いようです(^^)

by ワンモア (2017-04-23 20:39) 

hana2017

誤解をまねかれると悔しいので言っておきますが・・・^^
私が利用していたのも、現代ルートの最短距離でございました。
成田の新東京国際空港、結婚前の夫が利用したのは開港直後の事でしたね。
by hana2017 (2017-04-24 10:50) 

ワンモア

★hana2017さま
 失礼しました。誤解していたかも(^^)
 完全廃止は26年前ですので 、懐かしいなと感じる世代は上の世代ですよね(;^ω^) 。色んなブログで懐かしむ人が多いですね。
by ワンモア (2017-04-24 12:55) 

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