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ホスピタリティとおもてなし

 
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東京に来ております。東京暑い!!
 昨日から仕事で東京に来ていますので、今回はお仕事に関係したお話を。

ホスピタリテイとサービスの違い

 日本で使われている「ホスピタリテイ」という言葉。思いやりとか心からのおもてなしという感じの意味ですが、ホテルや宿泊などのサービス業界以外にも医療現場でもその言葉が使われてきているようです。
 マナーとは、形や行動で表す相手に不快感を与えない最低限のルールですが、そこに「心」が加わると「ホスピタリテイ」になります。
 心地よさが加わることで、相手への信頼、安心感、そして感動が生まれていくという訳ですね。

 これに対して「サービス」という言葉もあります。サービスの語源はラテン語のServus(奴隷)なので、いわば主従関係がはっきりしたものです。ご主人さまと召使いという関係。なので、お金を払う側と貰う側との間には契約のようなものが生じ、提供する方、される方の双方に「当然」という気持ちが発生します。
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「サービスしまっせ」は本来の意味からするとあまり良くないのですね(^^)

サービスの発展段階

◆第1段階のサービス〜最低限のサービス
 ですので、お金を払う側と受け取る側では、「当たり前であり当然しなくては行けないサービス」というものが最低限存在します。
 例えば、料理を注文し、その料理を出すとか、代金をもらい商品を包装して渡すというのはこれは契約にあたるので行うのは当然ですよね。
 最近は、この当たり前の事ができなくてクレームになるケースもあるようですが・・・。

◆第2段階のサービス〜気配りのサービス
 この当たり前のサービスに「気配り」が加わると満足度につながります。例えば素早く対応する、丁寧に対応する、笑顔で対応するなどですね。
 これはお客さんが期待していること、望んでいることの延長線にあります。
「おっ、やるな」と思わせるサービスですね。仕事ができると思わせる従業員はこのレベルですな。
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◆第3段階のサービス〜感動のサービス
 この「気配りのできるサービス」でも充分に嬉しいものですが、更にこの上の段階のサービスが存在します。それは、自分の期待以上、要望以上のものを提供される場合に感じるものです。
 これが実は「感動」を与えるサービスです。これは従業員マニュアルを超えたものになります。
 例えば、予約して入ったレストランで「お待ちしておりました、◯◯様」と従業員が待っていてくれて名前で呼ばれた、お店のカードの誕生日欄を見てこちらが頼んでいないのにサプライズプレゼントを受けた、名前を覚えていてくれた。とかでしょうか。
 これが正にホスピタリテイと呼ばれるもので、お客が期待しなかったサービス以上のことを提供するものです。
 このレベルになると、命令や指示、または仕事だからという義務感でするものではなく、自分の親友や家族に接するような気持ちから出るものです。

「おもてなし」とは人と人がつくる文化かも

 昔、サービスを提供する側の立場にいた私から言わせると、この第三段階のサービス(おもてなし)に関しては、その人の人間性とか人生観とか、心の余裕とか、その人の器に直結する感じがとてもします。
 マニュアルを超えたものなので、伝えるのも難しいですよね。また誰もができるものでもありませんし、「こういうことをしたらお客は喜んでまた来てくれるだろう」という打算の気持ちでするものでもありません。ま、中には、このレベルまで仕事感覚で淡々とやれる凄い人もいますが。
 
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 サービスを提供する側も人間です。お客さんが喜んでくれたら、素直に嬉しいですし、感動してくれたら仕事にもやりがいが出てきます。反面、召使いのように扱われたら、それは正直言って哀しいものがあります。
 なので「プロなんだから当たり前」「お金を払っているんだから当たり前」とかそういう態度をとられると、やることはきっちりやりますが、それ以上のものは生まれてこないんじゃないかなと感じる次第です。


 仕事と捉え方として、「お客様と従業員という立場で出会ったけど、これも人と人との縁なので、契約以上のことをして差し上げたい。感動してくれて、それで喜んでくださると私も嬉しいし、自分の仕事にも意義を見いだせる」こういう風に思ってくれるのを願っている訳です。
 
 なので、「おもてなし」というものは、いわば主従関係とか雇用関係などといったものを超えた、人と人との間に生まれる信頼感に生まれるもので、人としての尊重とか、信頼関係などがあって双方で作り合うものではないかなぁと思うのですよね。
 
お互いが感謝し、喜び合うこと、お互いの感謝の交流が、本来の「おもてなしの真髄」ではないかと。
 そう考えていくと、この「おもてなし」というのは、その国の「文化」そのものではないかと思うのです。 


 旅館でも「ようこそいらっしゃいました」の声に対して「お世話になります」って言葉を交わし合いますよね。日本では召使いのように相手を無視したり、尊大な態度をとる人はそういないと思います。人と人の交流がそこにはありますよね。

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お互いに尊重しあってこそ

サービスを受けられること自体がありがたいこと。

 「プロなんだから当たり前」という発言も、提供する側の自分が言うには全然いいと思うんですよ。「自分、プロですから」と。「お客様は神さまだから」という人も。でも、それを客が言うのはちょっとおかしくないでしょうかね。業界の人間同士で言うのはいいと思うんですけど、外部の人間が言うのはちょっと違和感を感じるんですよね。
 いくらお金を払う側だからと言って、自分が出来ないことを、当然のように人に要求するのは人としてどうなの?という感じが素直にします。支え合って生きている以上、当然の権利のように主張する世の中は、ギクシャクしませんでしょうか。


 考えてみれば、お金を出しさえすれば(それでも出す方は大変かもしれませんが)、「こんなサービスが受けられる、こんな料理が食べられる」ってありがたいことですよね。
 自分は何も技術を習得しなくてもお金さえ出せばその恩恵にあやかれるのですから。これって考えてみれば凄いことだと思います。時間も空間もお金で手に入れることができるのですから。いい時代、恵まれた時代にいるなぁと感じてしまいます。
 この話、ちょっと続くかもしれません(^^)
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→三波春夫オフィシャルサイト「お客様は神様です」について
 

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コメント 8

Hide

こんにちは!
蒸し暑い中を、この暑〜い東京に出張ですか!私もちょいとヨドバシに
買い物でしたが暑いのなんの、もう出ませんが少し痩せそう?
by Hide (2017-07-12 14:31) 

caveruna

心に残るサービスを受けたことは、
いつまでたっても忘れないものですね^^
by caveruna (2017-07-12 14:32) 

ワンモア

☆ Hide さま
 今しがた戻ってきましたが、この暑さはたまらんですな(笑)
 お店の人に、「ご来店ありがとうございます。暑かったでしょう」と言われてちょっとうれしくなりました。

☆caverunaさま
 お客様から頂いた感謝や感激の言葉も、いつまでたっても忘れないものですよ(^^)
by ワンモア (2017-07-12 14:42) 

johncomeback

先日愛犬を火葬しましたが、火葬場を営むご夫婦の対応が
素晴らしかったです。愛犬を失った客の心を少しでも癒そうと
の心遣いがヒシヒシと伝わってきました。
by johncomeback (2017-07-12 16:21) 

kinkin

客も店もお互いを気遣うところが、おもてなしですよね。
でも客として、これが判らない人達も増えてしまったことも確か
こう言った事に慣らされて当たり前と思っているのかな。
by kinkin (2017-07-12 21:13) 

ys_oota

エンジニア同士も同じですよね。皆がやりきったと思えるプロジェクトは、立場に関係なく、お互いを尊重しあい、フォローしあう関係ができあがり、それが感動につながるのかなと思いました。
by ys_oota (2017-07-12 23:43) 

いっぷく

◯江貴文氏その他の人たちが反発を受けるのは、嫉妬だけでなく、経済合理主義の申し子のような価値観に違和感を抱くからでしょうね。
by いっぷく (2017-07-13 00:12) 

ワンモア

☆johncomebackさま
 おはようございます。相手の気持ちを思いやることって自然とできるようになればいいなぁと思います(^^)
☆kinkinさま
 そうですよね。慣れもあって当然という気持ちが生まれてしまうのと、あとは心にゆとりがなくなっているのもあるのかもしれませんね。
☆ys_ootaさま
 そうですよね。職場でもどこでも、自尊心というものを認めて尊重し合うことがスムーズな人間関係だと思うのですが(^^)
☆いっぷくさま
 おはようございます。◯江氏・・・色々と話題をつくる人ですよね。
 個人的には天邪鬼な人で、人から注目されたいのかなと思ってしまいます(^^)
by ワンモア (2017-07-13 09:37) 

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