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芥川龍之介とドッペルゲンガー


明日は芥川龍之介の命日

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 暑い日が続きますね(*´ω`*)
 明日は芥川龍之介の命日なんですね。芥川龍之介(1892年(明治25年)3月1日生〜1927年(昭和2年)7月24日没) は学校の教科書でも有名な人。明日はちょうど90回忌になります。
この命日は小説「河童」から取って河童忌と称されています。
 名を冠した芥川賞は日本で最も有名な文学賞として現在まで続いていますね。
作品の多くは短編なので、その読みやすさから、小中学生から読まれていた作品も多いことと思います。
 
 私はというと文学少年ではなかったので、顔の写真しか覚えておりませんでしたが、「蜘蛛の糸」だけはなぜか、記憶に残っています。当時通っていた中目黒の幼稚園が仏教系だったためになんか紙芝居で見た記憶があるんですよね。大人になって読んだ時に、「あの時の紙芝居の話だったのかぁ」と繋がった記憶が。
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絵本でも出版されています

 『今昔物語集』『宇治拾遺物語』といった古典を現代風にアレンジした作品『芋粥』『藪の中』『地獄変』もあり、『杜子春』といった児童向けの作品も書いています。そうそう、『羅生門』は映画化にもなりましたな。中身は全然違うようですが。

   この時代の人は、労咳(肺結核)や、脚気で早く亡くなる人たちが多かったのですが、芥川龍之介は35歳の若さで自殺をしてしまいます。  
 7月24日のこの日、東京・田端の自室で雨の降りしきる中、芥川龍之介は服毒自殺を行い、社会に衝撃を与えました。数年前から自殺を周囲にほめのかしており、自殺の動機として記した「何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」との言葉は有名な言葉として知られています。
 この方の一生や心の葛藤を見ていると、
不遇な環境が起こり、なんとまあ、繊細でナイーブなんだろうと思います。この時代も大変だなぁと思うものあります。読んでいる内に、引きずり込まれそうになるのでほどほどにしておきますが(;^ω^)

芥川龍之介のドッペルゲンガーにまるわる逸話


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 さて、 晩年の小説『歯車』の内容から、晩年には自分自身のドッペルゲンガーを見たのではないかという説があります。
 ドッペルゲンガーとはドイツ語から来ていて、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で「自己像幻視」とも呼ばれている現象です。古くから神話や伝説などでも登場し、肉体から霊魂が分離した現象とも。多く言われるのは、このようなドッペルゲンガーが起きると本人の死が近いとも・・・。
 18世紀末から20世紀にかけて流行した小説作家たちにとって、死や災難の前兆であるドッペルゲンガーというものは魅力的な題材であったのは確かなようです。

『歯車』あらすじ
「僕」は知り合いの結婚披露宴に出席するため東京のホテルに向かう途中、レインコートを着た幽霊の話を耳にする。その後、事あるごとに季節はずれのレインコートを着た何かが現れ、「僕」は段々と不気味になってくる。
 披露宴後そ、のままホテルに逗留して小説を執筆しだしたとき、「僕」は、義兄がレインコートを着て轢死したことを知る。
 さらにレインコートだけでなく、復讐の神、黄色いタクシー、黒と白、もぐら、翼(飛行機)、火事、赤光など、過去の罪の残像とも、死の予告とも知れないものが繰り返し現れることに、「僕」はおびえ、苦しみ、夜の東京の街を逃げ回るように彷徨する。
 ときおり「僕」の視界には半透明の歯車が回るのが見える。やがて「僕」はホテルを出て、家へ帰るが、激しい頭痛をこらえて横になっていると、妻は「お父さんが死にそうな気がした」と言う。 


 芥川龍之介の奥さんは、晩年にこの話が実話に基いていて、ラストシーンも事実であったことを明かしています。

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 心理学者で有名な河合隼雄氏の『コンプレックス』(岩波新書)という著作でも、芥川龍之介がとある座談会で、ドッペルゲンガーの経験があると語られています。一度目は帝国劇場に、そしてもう一度は銀座に現れたとのこと。リアルですね。
 錯覚か人違いではないかという問いに対して、「そう言ってしまえば一番解決がつきやすいのですが、なかなかそう言い切れない事があるのです」とのこと。これは本人でないと分からないことかもしれません。
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1920年の銀座通り

 その原因ですが、医学的には、
側頭葉と頭頂葉の境界領域に脳腫瘍ができた患者が「自己像幻視」を見ることが多いようです。芥川龍之介も偏頭痛またはそれの前兆現象である閃輝暗点(せんきあんてん)を患っていたという説があり、それに伴ってこのドッペルゲンガー現象が起こったのではないかとされています。
  何れにせよ、内面を徐々に蝕まれていく心理状態を、このような小説で現していくところが作家という職業の凄い所かと思っちゃいます。また、後世の人々に様々な影響を与えている所も。

 ドッペルゲンガーという現象は、医学的にも生命の危険性がある脳腫瘍などが、死ぬ前にもたらす現象であるということで解明ができるかもしれません。しかし、それだけでも解明できない現象もあるのです。それは本人だけでなく、第三者も目撃しているという事例・・・。この話、次回も続けます。
 

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 芥川龍之介の著作、大人になって改めて読み返してみるのも良いかもしれませんね。


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コメント 6

johncomeback

芥川は中高生の頃に殆ど読んだ筈ですが、
内容を憶えているのは「蜘蛛の糸」と「芋粥」くらいかな(-_-)
by johncomeback (2017-07-24 11:36) 

caveruna

そういえば、そろそろ・・・
今年は怖い話は無いのかな?(笑)
by caveruna (2017-07-24 14:44) 

Cedar

鉄だからってわけじゃないですが、「トロッコ」っていう作品が記憶に残っています。
by Cedar (2017-07-24 16:40) 

ロートレー

次第に話は怖い方向に向かっているようですね~

by ロートレー (2017-07-24 21:59) 

笠原嘉

ドッペルゲンガーとは違いますが、昭和をプラス(+)の世界
とすれば、平成はマイナス(-)の世界ではないかと考えて
います。色々な事が逆転しているからです。 ^^;
by 笠原嘉 (2017-07-25 00:31) 

ワンモア

☆johncomeback さま
 大人になってからの芥川龍之介、面白いですよ(^^)懐かしくもあり、違った視点で色々と心に入ってきます。

☆caverunaさま
 ちゃんと、仕込んでおります(笑)今年もやりますよ〜

☆Cedarさま
 トロッコ、なんか少年時代を思い出します(^^)

☆ロートレーさま
 はいー。少しずつ、怪奇な方へと誘っております・・

☆笠原嘉さま
 なるほど〜面白い視点ですね。個人の生活だとその通りかもしれませんが、社会全体だと逆になるのかもしれませんね。
 私はおそらく皆さんと違って、人類は段々と良くなってきていると思う派なのです。いつか記事にしようと思ってます(^^)
by ワンモア (2017-07-25 10:42) 

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