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【実話】バイク事故死したS君にまつわる話

 いよいよお盆ですね。今まで海外の不思議な話を紹介してきましたが、いよいよ身近な話を。私の学生時代の話です。
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S君のバイク事故

 当時の私はとある高専生でした。高専とは高等専門学校のことで5年制なので大学受験の必要がありません。なので他校の友だちからは、受験がない分、羨ましいやら妬まれるやらで何かと会話が合わない時期でした。
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 さて、私のクラスにはS君という友だちがいました。彼には当時付き合っている彼女がいて、休み時間になるとよく学校に1台しかない公衆電話をかけに行ってました(当時は携帯などないので)。
 私はというと、彼女ではないのですが、
中学時代の友だちの一人にM子という子がいました。その子が受験ノイローゼ気味でしたので、よく電話で相談に乗ったり励ましていたのです。
 そこで学校の休み時間になると、職員校舎の公衆電話に行ってはS君に出くわし、お互いに譲り合ったりして、短い休憩時間に電話をかけていました。

 ある日のこと、電話の譲り合いのことで、ふとしたことで口論になってしまいます。私がS君を軽くからかって電話を催促したのが悪いのです。そして気まずい雰囲気のまま週末。週明けには朝一番でS君に謝ろうと思って登校したその月曜日、S君の死を知りました。原因はバイク事故です。

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 S君は友だちに呼ばれ、バイクで出かけた途中で事故を起こします。国道の広い道なのですが、運転操作を誤ってガードレールに衝突したとのこと。即死でした。お父さんが私たちに「苦しまずに死んだのがせめてもの救いだったかもしれない」と語ってくださいました。
 参列者の中にS君の学校の同級生たちがいます。その中に
仲間に支えられ、尋常じゃない悲しみの様子の女の子がいました。
「あの子がS君が毎日電話をかけていた彼女か・・・・」
 私は彼女の、
目を真っ赤に腫らした泣き顔を見ながら、いたたまれない気持ちになって家に帰ったのを覚えています。
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◆S君の命日に・・・

 さて、それからのことです。不思議なことにそれ以来、私がいつも電話をかけていたM子に連絡が繋がらなくなりました。タイミングがいつも悪く、ちょうど図書館に出かけてしまっていたとか、お風呂に入っている所だとか。また私が出かけている最中に電話がかかってきたことも。まあ、偶然だろうと気にしなかったのですが、それにしてもタイミングがいつも悪い。
 当時は携帯もありませんし、家族に繋いでもらうことは、なんとなく恥ずかしいし、まあ恋人同士という訳でもないので、それ以降なんとなく疎遠になってしまいました。
 風のうわさで志望校に合格したとも聞いていたので、安心してしまい、それからずっと連絡をとることもしなかったのです。


 やがて時は過ぎ、一年が経ってS君の命日がやってきました。S君の事故現場は、自分の家から電車でしばらくの場所なのですが、学校へ行く途中の場所ということもあり、事故現場に花を添え、冥福を祈ってから学校へいくことにしました。
 朝一番で花を買い、遅めの登校時間にとあるバス停を通りがかった時のことです。そこに見慣れた女の子の姿が。そう、疎遠になっていたM子でした。

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 「あー久しぶり!元気だった?」など、たわいない話をしばらくして、お別れた後にふと気づきました。
 今日はS君の命日。よく考えたらM子とは一年ぶりに話ができたけど、その最後に話をした日はちょうどS君と喧嘩をし、彼が亡くなった前日でもあったのです。ちょうどきっかり一年。偶然とは言え、不思議な感覚に襲われました。
「もしかしたら、公衆電話を取り合って喧嘩したことで、彼女と話ができないよう、S君に邪魔でもされたのかな・・・」。
 事故現場で手を合わし、あの日、言えなかったことを詫びました。
「S君、あの時はごめんね。」と。

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 M子とはその後、今度は逆に、そのバス停や、デパートとか、道通りとかで色んな所で頻繁に会うようになり、これもS君のせいなのかは分かりませんがとても妙な感じでした(ちなみにあまりにも頻繁に会うので、「なんか、これ運命的なものを感じる」とも言われましたが、付き合うことはありませんでした(*^^*))。

 同窓会での出来事

 さて、S君にまつわる話をもうひとつ。学校を卒業して数年後に同窓会がありました。
 みんな会社の名刺交換なんかも行い、仕事の苦労話に花を咲かせ、二次会、三次会とそれぞれ仲間が別れていきます。
 私たちは、最後は3人になり、当時流行っていたプールバーへ行くことにしました。プールバーとは
ビリヤードができるバーの事です。ビリヤードを楽しんだ後、最後は小腹が空いたので車でファミレスへ行くことにしました。

 出ていく時の会計の時です。受付のお姉さんが私たちをみて、あれ?4人でしたよねと・・・。
「いや、最初からずっと3人ですよ」と私たち。
「ホントですか〜」と憮然とした態度をされて3人分の会計を済まします。
 こっちも「なんだよあれ、態度悪いなぁ」と言いながら車に乗り込み、深夜の東京を走り始めました。
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当時は24時間のお店も少なく、適当に車を走らせ、とあるファミレスを見つけます。都内のファミレスは土地の事情で2階に建てられていることが多いので、1階の駐車場に車を停めて長い階段を上っていくと、もうウェイトレスさんがメニューを持って待っていました。
 私たちが入ってくる姿を満面の笑顔で出迎えながら彼女の出迎えた一言。
「いらっしゃいませ!4名様ですね!」
「いや・・・3人です・・」
「あっ?あれ?そうですか、失礼しました・・お席へご案内します〜。」
 私は、彼女が私たちをみて声をかけた時、一瞬、私たちの後ろを見て視線が横に動いたのを見逃しませんでした。
 ウェイトレスの女の子は私たちをにこやかに席に案内してくれました。
 4人がけのテーブル席へ案内された私たち。
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「そういえば、さっきも間違えられたよな」 
「おい、コップを4つ置かれたらどうする(笑)?」
「それは、聞くしかないだろう、誰か見えますかってwww」
「バカ、もし、見えてますよって言われたらどうすんだよ。怖くて聞けねぇよ」
「あの子、さっき俺たちの後ろを一瞬見ただろ、なにあれ?怖ぇよ」

 
なんて話を小声で言い合いながら、私たち3人の脳裏には共通のある人物が浮かんできたと思います。そう、先程の同窓会で話題に上がった亡くなったS君です。
 実は私がふと、「こんな不思議なことがあってさ」と、S君との間に起きた一周忌に関する不思議な話をみんなにしていたのです。
「ワンモアがさっき、Sの話をしたから出てきたんじゃないのか〜」とも責められました。


 コップを4つ置かれたら、それはもう、絵に描いたような怪談の定番中の定番になります。よくある話として聞きますが、嘘くさいのも事実。でも、それが私たちに実際に起こりそうになるとは。こんなことって本当にあるのかとも。
 ウエイトレスの女の子がコップとおしぼりをトレイに乗せて近づいてきました。
 内心、ごくりと緊張しながら3人、目の前に視線を落としてじっと身構えていると、目の前に置かれたコップは3つ・・・。
 みんなでホッと顔を見合わせて、おしぼりを受け取ったのですが、彼女がさり際に気になる一言を。
「あのー、お客さまは、3名様でよろしかったんですよね?」
「あっ、はい・・・(なんで、わざわざ念を押して聞いてくる・・・?)」

ホッとしたのもつかの間、再び、私たちは怪しい雰囲気にのまれます。
「なんだ?なんだ?何でもう一回聞いてきた?」
そういえば、先程の彼女の視線は、私たちの後ろで店から出て行く人を追いかけるような動きでした。

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急に一人が、ああっ!という、それはもう驚いた顔をしました。
「どうした!」
私たちもびっくりします。

「このファミレスの場所って国道◯◯号線!?」
運転していた友人の一人が
「そうだけど?」と言います。
「Sが事故ったのこのすぐ先じゃん・・・」
「あっ!そういえばそうか・・・・・」
 このファミレスの場所、偶然にも彼が事故死した同じ国道だったのです。彼はこの近くの交差点で事故死したのでした。
 もう、
私たちの頭の中には、S君以外の事は思い浮かびませんでした。 

 彼がこの近くまで引き寄せたかしれない。そう思う方が自然に思えてきました。彼も生きれいれば、みんなと集まって同窓会を楽しみたかったかもしれない・・・・。
 
そう思うと先ほどの怖さは、段々と和らいできます。私たちは彼の冥福を祈ることにしました。

料理を運んできた先程のウェイトレスの女の子に、
「すみません、やっぱりコップ、もうひとつもらえますか?」
その子は当然のように
「はい!かしこまりました」と笑顔で返してくれました。

 不思議がることもなく、コップを追加で持ってきてくれたその対応もまた不思議な感じがしたのですが、もしかすると彼女は、私たちが入ってくる時に見えた仲間のもう一人が、中に入らず引き返したものの、やっぱり戻って来るのかなと思ったかもしれません。

 4人がけのテーブルの空席の前にコップをもう1つ置き、彼の思い出話を色々と語りました。それ以来、S君に関する不思議な出来事は起きてません。
 
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コメント 12

いっぷく

若くして亡くなったS君はもっとたくさん
やりたいことがあったでしょうね。
by いっぷく (2017-08-15 10:32) 

ワンモア

☆いっぷくさま
 こんにちは。享年18歳でした。今も彼が生きていたらどういう人生を送ったのかなと想うことがあります。
by ワンモア (2017-08-15 10:56) 

johncomeback

若かった頃に携帯電話があったら、違う人生を送った人は多いのでは?
携帯が無かったからスレ違いが多々ありましたよね。駅の伝言板には
ドラマがありました。
by johncomeback (2017-08-15 11:00) 

Hide

おはようございます!
この話に似た怖い話を聞きますが・・・
また夜中に伺います・・・真夜中に。
by Hide (2017-08-15 11:00) 

ワンモア

johncomeback さま
 こんにちは〜。そうですよね。携帯は私たちの人生にすごい影響を与えていますよね。個人的な感じなのですが、携帯を持つようになってから運命というか、カンが鈍ったような気がします。
 駅の伝言板、懐かしいなぁ。なんか色々なことを感じることでできて好きでした(^^)
by ワンモア (2017-08-15 11:03) 

ワンモア

☆Hideさま
 こんにちは〜。おぉ、真夜中の再訪問、お待ちしております(^^)。その時にはもう一つ、お盆に関する実話をアップしているかもしれません・・・・。
by ワンモア (2017-08-15 11:38) 

ハマコウ

不思議なことはあるものだと思っています。
何かでどこかでつながっているのかもしれないと思うと、なぜかホッとします。
by ハマコウ (2017-08-15 18:31) 

ワンモア

☆ハマコウさま
 こんばんは、そうですね。行きていようと死んでいようと人生で関わりあった生命とはどこかで繋がっている。それに感謝して生きようと考えることが幸福な人生を送る秘訣だと思ってます。
by ワンモア (2017-08-15 22:43) 

ys_oota

話を聞くとちょっと怖いですけど、身近な人だときっとあまり怖くないのでしょうね...。最後まで読み終わると、少しほっこりしました。
by ys_oota (2017-08-16 01:40) 

ワンモア

☆ ys_oota さま
 こんばんは。そうですね。最初は怖かったのですが、身内かもしれないと思うと段々と和らいでいきました。
 あ、M子さんとは付き合わせようとしていたかもしれません(笑)
by ワンモア (2017-08-16 02:00) 

caveruna

私の友達にも、よくお店で人数を間違えられる人がいます。
3人なのに4名様ですね!みたいな。
先月会った時も、コンサートとか行くと、
超満員の会場なのに、なぜか自分の横がいつも空いているんだそうです。後から、そういえばその日は父の命日だったな、とかって話でした。
一緒にいたい人に会いに来るのかな?
by caveruna (2017-08-17 17:44) 

ワンモア

☆caveruna さま
 「いらっしゃいませ4名様ですね」とか、コップを一人分余計に置かれるとか定番中の定番ですよね(;^ω^)
 死んだら終わりで人生を考えている人と、死んでも霊魂は存在すると思って生きている人とでは、人生、大きく違ってくるだろうなぁと思ってます。
by ワンモア (2017-08-17 20:31) 

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