ちょっと前の記事の特殊攻撃機「剣」の補足のような記事になります。
剣とHe162の開発期間
「剣」は、僅か一ヶ月半で完成させた速成戦闘機ということで、操縦性は悪い、簡素化しすぎ、特攻する以外に役に立たないなど、最初から特攻機ではないかという悪評も付き、評判が悪い飛行機になってます。
これと似た機体でドイツのハインケルHe162という戦闘機があります。こちらも図面審査から短期間で初飛行させた機体です。
両機の開発の経緯を図で作成してみました(クリックで拡大)
He162の凄い所は実戦配備まで完了させたところでしょうか。しかもHe219に続いた射出式の脱出装置まで備わっており、終戦時には200キが完成、800機がすでに製造ラインに乗っていたということも工業大国ドイツの底力を感じます。
さて、剣とHe162。これがどれだけ異常なスケジュールで完成させたのかということがひと目で分かる表を作成してみました。日米独の主な戦闘機の開発の流れの一覧です(クリックで拡大)
剣とHe162が他機に比べて極端すぎるほどの短期間で開発されているのがお分かりかと思います。
軍用機ができるまでの経緯
戦争前の各国の機体の開発ですが、設計図ができて初号機が初飛行するまでに通常1,2年かかっています。その初飛行の後に、実際に各種試験を繰り返しながら更に1,2年かけて完成に近づけていくわけです。雷電や飛燕のようにエンジンの適合性や不具合があると半年ぐらいは簡単に伸びます。
戦争中と緊急時だと、試験飛行で不具合があってもとりあえず実戦配備させて、現場でテスト飛行も兼ねながら不具合を調整していくということも行われていました。これで危険な飛行機と判断されて生産中止になったのがメッサーシュミットMe210という双発戦闘機です。通常なら試験飛行の段階で不採用になるはずであろう機体でした。
Bf109などは、スペイン動乱などで実戦投入しながら開発を推し進めていくという、最も効果的な時間を与えられました。
優秀戦闘機として誉れ高いP-51マスタングなどは運用開始まで2年という短さです。それでも2年かかっているのは、実際に実機を作ってみて、理論上うまくいかない部分や運用上の不具合などの修正がどうしても必要だからだと思います。
1930年代あたりの軍用機の開発ですが、大体こんな流れで出来上がっていきます。仕様計画(こういう目的で性能はこの位の飛行機が欲しいという要望)
↓
基本設計案提出(メーカーからの概略) ↓
図面審査(比較審査) ↓
試作許可
↓
設計図製作(何万枚にも及ぶ)
↓
試作(前段階でモックアップ審査もある場合も) ↓
初飛行 ↓
各種試験検査(場合によっては競合機との比較審査) ↓
不具合修正 ↑ ↓ ←無限ループに陥る時も。また緊急時は量産しながら修正も。
再審査 ↓
採用(日本の場合はここで命名) ↓
量産 ↓
実験部隊訓練 ↓
部隊配備
これだけ大変な手間暇がかかっているのですね。この間に、メーカー側も量産体制を整えるため、新工場の設置、量産用の治具の設計、製造などを行います。大抵は見込み発車して不具合の修正を後で行います。
剣は、中島飛行機の太田製作所設計本部から東京三鷹へ移転されたキ87の開発メンバーで開発されました。ですので風洞実験などや各種試験を行うことができませんでしたので、設計者たちの経験による完全にゼロからのスタートでした。
かたやハインケルHe162の方は、すでに空力的な問題をある程度クリアした機体の中から仕様に合わせた機体を選んで開発しています。
空軍省に言われてから始めるのでは遅いので、各社、余力を使って各種データを揃えて準備しておくのがドイツのメーカーの特徴といえます。
それでも、剣にしてもHe162にしても設計者の立場からすれば、もっと時間が欲しいというのが本音でしょう。本人たちにとってはまだ完成途上品であってもクライアントから時間がないからこれで良いと言われてしまえば、手放すしかありません。
こういう事情も踏まえながら、出来上がった機体を見るのもまた興味深いものです。
時間のかかる降着装置はBf109のものを使用しています。
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これ全部で約5,556円(^^)
いらなくなった書籍を、もったいない本舗に送った段ボール箱15箱の買取金額が振り込まれてきました。
買取金額20%アップ対象で全部で5,556円でした。一箱あたり360円ってところですね。単行本一冊あたりに換算すると約10円程度(笑)。うーん、高いのか、安いのか・・・。
お手伝いした知人さんとの食事代に消えると思います(;^ω^)
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拙ブログへのコメントありがとうございます。
「わらの恐竜」のクォリティはホントに高くて驚きました。
もう20年以上前ですが、リサイクルショップに蔵書を持ち込んだら
あまりの安さに憤慨して持ち帰りました。それ以来本を貯め込んだ
ままで、どうしようか思案中です(-_-;
by johncomeback (2017-09-29 20:57)
☆ johncomebackさま
自分の愛蔵書が買い叩かれるとショックですよね〜。私もブッ◯◯フに持ち込むのは止めてヤフオクで出しました。やはり価値を分かってくれる方へ譲りたいです(^^)今回は引っ越しだったので断捨離ということで、二人で思い切って処分しました。
by ワンモア (2017-09-29 21:04)
今のところ、一応売れる文庫本は一冊20円、今でも売れるような漫画本は一冊30円~50円(シリーズで揃っていると多少高く売れます)、趣味実用の本は物によって一冊20円~100円、ハードカバー本は0円で引き取らず、というのが我が町の古本屋さんの相場と思います(良心的古本屋さん)。ブックオフはもっとずっと安いと思います。
by 足立sunny (2017-09-29 21:30)
☆足立sunnyさま
おぉぉ、流石書籍に詳しい足立sunnyさん、相場を教えてくれてありがとうございます。ハードカバーはかさばったり、重いからなんでしょうかね。そう考えると、今回のもったいない本舗はハードカバー本がかなりあったから相場通りかな。買い取りできないと思われる書籍も向こうで処分してもらえるので助かりました(^^)
by ワンモア (2017-09-29 21:41)
え〜 恐ろしく安いんですねぇ
ビックリです
by (。・_・。)2k (2017-09-29 22:50)
☆(。・_・。)2kさま
こんばんは〜。そうなんです。初めに買い取りに出した時にはあまりの安さに愕然としました(笑)。でも、売れるか分からない書籍を引き取ってもらえるだけでも良しとするなら、まあ、相場なのかもしれません。少しでも高く売りたいなら、ヤフオクやAmazonで個人出品した方が全然良いですよ。ただしやり取りとか発送とは超面倒ですけど(*^^*)
by ワンモア (2017-09-29 22:58)
すごいジェット戦闘機をこの短期間で・・・。さすがドイツ。
by ys_oota (2017-09-30 02:22)
☆ys_ootaさま
こんばんは〜、こうしてみるとドイツの工業力の底力を見ることができますよね。射出座席装置までつけるなんて凄いです。個人的にこのHe162は未完成機とはいえども、思い入れがあるのです(*^^*)
by ワンモア (2017-09-30 03:19)