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デアゴスティーニの61号はフランスのモラーヌ・ソルニエM.S.406

 
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デアゴスティーニの第61号はモラーヌ・ソルニエM.S.406

 デアゴスティーニの61号です。今度はフランスのモラーヌ・ソルニエM.S.406。ドボアチンD520に続き、フランスの2機目です。
M.S406.jpg

うーん、尾ソリが近代化の割にはイマイチ。
 

フランス空軍、初の近代化戦闘機


 モラーヌ・ソルニエM.S.406は、1935年頃から始まった俗に言う近代化戦闘機の流れの機体です。この"近代化"とは、ライト・フライヤーからの航空機のスタイルを大きく変えるものでした。羽布張りの複葉スタイルから、金属化で単葉、密閉式の風防、モノコックボデイ、そして引き込み脚の採用などを行うことを指します。徐々に近代化を成し遂げた国もあれば、遅れた分、一気に近代化にもっていった国など様々ですが、この開発競争に遅れた国は第二次世界大戦が始まった時にとても苦労することになります。
 
 各国の実用化された代表的な”近代化戦闘機”はこんな感じです。

 ソ連〜ポリカルポフ I-16 (
初飛行1933) 世界初の実用引き込み脚
 アメリカ
セバスキー P-35(初飛行1935) 全金属引き込み脚
 ドイツ
メッサーシュミットBf109(初飛行 1935) 運用開始1937年
 日本海軍
九六式艦戦(初飛行1935) 海軍初の全金属製単葉機(引き込み脚は零戦から)
 日本陸軍
九七式戦(初飛行1936)陸軍初の低翼単葉戦闘機(引き込み脚は隼から)
 イギリス〜ホーカー・ハリケーン(初飛行1935)半近代化

 フランス〜M.S.406(初飛行1935)
WW2.jpg
上段左:I-16 上段右:P-35  
中段左:Bf109 中段右:ホーカータイフーン
下段左:九六式艦戦 下段右:九七式戦闘機

 ソ連が先駆けて近代化と実用化に成功していますが、1935年〜1937年の各国の競争が激化していますね。Bf109は各国でも早い部類の近代化戦闘機でしたが、1,2年で旧式化してしまうこの時期になんと10年もの間、主力機に君臨しています。
 余談になりますが、イタリアはこの時期になぜか複葉機のCR.42を初飛行、実用化させています(^^)

 さて、フランスでは
モラーヌ・ソルニエM.S.406が国内初の近代化戦闘機として実用化されました。このモラーヌ・ソルニエ社ですが、航空会社としては名門中の名門で、第一次世界大戦のモラーヌ・ソルニエのシリーズは優れたデザインとアイデアを兼ねそなえていました。
Morane-Saulnier.jpg
モラーヌ・ソルニエL

プロペラを通して銃弾を発射できるように固定銃を装備した最初の戦闘機。

フランスの凋落

 航空機大国のフランスとしては、他国に負けてはならじと1934年に戦闘機近代化計画を立てますが、第一次世界大戦の勝利国の奢りなのか、戦後の20年間の間に開発技術がもたつきます。復讐に燃えるドイツとでは士気の違いもあったのは明らかでしょう。
 M.S406は出来上がってはみたものの、以下のような技術的要因の悩みを抱えていました。
   1.装甲不足(防弾ガラスがなかった)
   2.機関砲の故障(高空で寒さで動かない)
   3.火力不足(50mまで近接しないと射撃できない)
   4.機関砲の発射タイミング遅れ(0.2秒遅れる)
   5.無線機故障
   6.摩耗によるエンジン出力低下
   7.エンジン、胴体カバーの脱落
   8.方向舵部品の腐食
   9.高速度飛行における風防の損傷
 10.バックミラーの欠陥
  
特に電気系統、油圧・空気圧系統、作動器の故障・欠陥が多く、これは、フランスの全体の工業力が低下しているのがよく分かるエピソードになってます。(佐貫亦男『続々・ヒコーキの心』より)
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 航空機が世に登場して、航空機産業をずっとリードしていたフランス。第一次世界大戦では我が世の春を謳歌していたフランス航空機産業でしたが、知らぬ間に他国に抜かれ凋落していたのです。このことに気がついたのは、ヒトラーが電撃作戦を展開し、自分たちの国土があっという間に占領された時だったのかもしれません。
 同時期に開発されたBf109とは、性能面でも運用面でも大きく差を開かれていたのでした。

Cap 11.jpg

なんと、フィンランド空軍カラーで登場です。

それでもあの国の手にかかれば名機に。

 母国が占領された後も、モラーヌ・ソルニエたちは運用されるのですが、かの国の手にかかれば、第2線級の戦闘機も大活躍をすることになります。
 そう、その国の名はフィンランド。連合国であろうが、枢軸国であろうが、また購入、鹵獲なんでも手に入るものは自分たちの手でメンテナンスし使いまくりました。
 日本機にはコテンパンにやられ、2線級の駄作機と烙印を押されかけたブリュースターバッファローもフィンランド人の手にかかれば、21機の喪失に対し、ソ連機を456機も撃墜する大活躍を見せてしまいます。すごい。
 このM.S.406も、そのまま使用するのはもちろん、後に鹵獲したソ連の1,100馬力のエンジンを換装し、性能を向上させたりなんかします。これは「メルケモラーニ(おばけモラーヌ)」の名称を付けられ、対ソビエト戦に大活躍をみせます。要はバイロットの技量と使い方なんですね。
Cap 13.jpg
ノーズアートが笑えますね(^^)

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来たよ(36)  コメント(5)  [編集]
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コメント 5

johncomeback

いつも拙ブログへコメントありがとうございます。
「男前豆腐」美味しいですよね。
でも何故か拙宅の近くの「ジャスコ」で売ってません(-_-;
by johncomeback (2018-05-21 21:17) 

caveruna

あらら・・・そういうことだったんですね!
by caveruna (2018-05-22 21:28) 

Hide

今日もお疲れさまです!ペコリ><
by Hide (2018-05-23 00:02) 

ワンモア

☆ johncomeback さま
 波乗りジョニーとかシリーズ化されているようですが、私はシンプルに男前豆腐一押しです^^

☆caverunaさま
 電話が通じないので海外に行ってしまったのかと、先日母に言われました。いつの時代だよとツッコミ 笑。

☆Hideさま
はい、今日もお疲れさまです!ペコリ><

by ワンモア (2018-05-25 17:57) 

ys_oota

フィンランド人おそるべしですねー。今でもあれだけ人口少ない極地の国なのに、世界的な企業を生み出していますからね。
by ys_oota (2018-05-29 00:49) 

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