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革新の推進式戦闘機〜DB605系航空機の系譜

 前回の記事の続きになります。枢軸国側で使われたドイツのダイムラーベンツDB605系エンジン。北欧の国では、フィンランドがソ連の侵略に対抗するために開発した自国産戦闘機のエンジンとしても使われました。
 そのフィンランドのお隣のスウェーデンでもこのエンジンを使って独自のスタイルの戦闘機を開発します。その姿は今まで見たこともない前衛的なものでした。今回はその話を。
j21.jpg

◆中立国で技術大国、スウェーデン
E58C97E6ACA75E382ABE59BBD.jpg

 その前にスウェーデンという国についてご紹介。この国の防衛の特徴は、なんといっても自主独立の中立。ゆえにNATO(北大西洋条約機構)には加盟せず、ロシアとも軍事協力関係にあります(EUには加盟)。戦闘機も自前で開発できる技術力の高い国としても有名ですね。
 常にロシア、ソ連に脅かされて抵抗してきたお隣のフィンランドとは対照的です。あくまでも中立を維持し、近代では戦争に参加することはありませんでした。ただし、非武装中立という訳ではなく、兵役義務もあり、重武装中立の立場を維持してきました。
 冷戦後は直接な脅威となる国もなくなってきたために兵役義務も2010年に廃止、中立主義も事実上放棄して、他国との協力関係も進んできています。
 さらには有名な福祉国家で、世界の幸福度ランキングでも第9位といいことずくめのような印象を受けますが、それでも犯罪発生率は日本の13倍・・・。最近では移民による事件や経済破綻の危機の問題が大きくなってきているようです。


ドラケン.jpgサーブ35ドラケン(左)とサーブ39グリペン(右) 


スウェーデンの異色な飛行

 第二次世界大戦が勃発した時、スェーデン軍が保有していた戦闘機は、イタリアやアメリカ製のものでした。しかし、当時の国王グスタフ5世の武装中立宣言で中立を保ってい
たので、特定の国からの供給が難しくなる事や、自国の中立性を保つためにも戦闘機の国産化を進める必要があるという結論に達します。そこで国内のサーブ社で新型戦闘機の開発を行う事になりました。
 しかし、この機体。お隣のフィンランドのような、差し迫った危機もないため、革新的で冒険的な試みを行います。その機体の名はサーブ21(
Saab 21)。育毛剤のリーブ21とは無関係です^^
J21_00.jpg
 設計された機体ですが短い胴体に推進式エンジンを搭載、後退角のついた主翼から伸びる双支持梁に小さな垂直尾翼と方向舵が付き、その間を昇降舵が繋ぐというなんとも奇妙なスタイルをしていました。
 ぱっと見、アメリカのP-38に似ていないこともないのですが、あれは双胴でそれぞれにエンジンが装備されています。
 奇抜なアイデアを実用化させるために、射出式操縦席など先進的な機構も盛り込まれています。このまま脱出すると後ろのプロペラにやられますものね。ちなみに同じ推進式の日本の「震電」は、プロペラを内蔵した火薬で吹き飛ばすという荒業でした。
P-38&SHINDEN.jpg
上段:アメリカのP-38、下段:日本の震電

 初飛行は1953年7月。使われたエンジンはドイツから輸入した最高峰のエンジン、DB605でした。実践配備はドイツ敗戦後の1943年7月からですので、DB605が使われることはなかったようですね。
 中立だったスウェーデンの情勢のため他国機と交戦する事はありませんでしたが、大戦中に開発された推進式プロペラ機で唯一、実用化されたことはすごいことだと思います。
 
J21 のコピー.jpg

正面から見ると斬新なスタイルですね。
J21_07.jpg
 この推進型のスタイルは、ジェット化もしやすいという利点もあります。

Cap 6 のコピー.jpg

このスタイルはそのままで・・・・
SAAB21.jpg

ジェット化しちゃいます。

 こういう自主独立の精神が、その後のドラケンとか、グリペンなど自分たちの国情や国力、国土にあった戦闘機を開発していくんんですね。無理をせずに「身の丈に合った」戦闘機を作り上げる。なんとも羨ましいですな。

<今日の成田>
 スマホを修理に出すより、中古機を購入した方が安いことがわかりましたので、ムスビーというサイトから購入。スムーズに交換することができました^^
 本命のiPhoneのSE2が出るまでの間だから中古でも全然OKです。中古といえども美品なので全然問題なし。画面がバキバキでバッテリーが死んだiPhoneは、色々と弄ってみようと思ってます。
パクチー.jpg

 パクチーがここまで成長してきましたが、まっすぐ成長してくれません。ベトナムの子に聞いたら、種の蒔き方がよくなかったとのこと。あらら。そろそろ食べてみようかな。

 
 
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来たよ(33)  コメント(4)  [編集]
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コメント 4

ys_oota

ドラケンかっこいいですよねー。しかし震電にプロペラを切り離す機構があったとは初耳でした。パイロットを守ろうという設計思想はあったのですねぇ。
by ys_oota (2018-05-29 00:44) 

johncomeback

スウェーデンの犯罪発生率が日本の13倍とは意外です。
北欧は治安が良いイメージを抱いていました。

by johncomeback (2018-05-29 05:47) 

caveruna

SE2が出るんですか?
こりゃ楽しみ!
by caveruna (2018-05-29 17:12) 

ワンモア

☆ys_oota さま
 プロペラが真後ろだと脱出できませんものね^^
 それにしてもプロペラを爆破させて吹き飛ばすというアイデアもすごい。
☆johncomebkさま
 北欧なんですが、行き過ぎた移民政策が経済や治安を悪化させて問題になっているようです。かといってそれを批判すると差別主義と批判されるのでどうにもならないようで・・・・
☆caverunaさま
 SE2・・・春に出ると噂で我慢し、GWには出るとの噂を聞いて
 騙し騙し使い、そして今度は9月になったそうで・・・・
 

by ワンモア (2018-05-30 15:44) 

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