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陸軍最後の複葉戦闘機、川崎九五式戦闘機

95式戦闘機.jpg

 友人から頂いた「SUBARU名機カレンダー2015」もついに最後になりました。あっという間の2015年・・・。早いですねぇ。
さて、最後の11月-12月を飾るヒコーキは、川崎九五式戦闘機(キ10)です。

 九五式戦闘機の"九五"ですが、1935年(皇紀2595年)に正式採用されたので九五式になりました。この5年後が1940年(皇紀2600年)で”0”の冠を付けた零式艦上戦闘機がデビューします。

 つかの間の平和と言われた1920〜1940年代。この時代は、飛行機という兵器が驚異的な成長をする時代でした。
 布張りから全金属へ。複葉機から単葉機へ。世界は革新的技術をこぞって取り入れ、数々の失敗も繰り返しながら驚異的な進歩を遂げていきます。

 この九五式戦闘機もそんな時代に生まれた飛行機なのですが、軍部の採用を狙って1930年に開発された複葉戦闘機
九ニ式戦闘機を大幅に改設計した保守的な設計になっています。

Kawasaki ki10 95式z戦闘機.jpg
川崎九五式戦闘機(キ10)


 5年も前の機体の再設計という保守的な戦略にしたその理由ですが、前回、新技術にかなりチャレンジして不採用になったからなのでした。その機体はキ5。ドイツからフォークリフト博士を呼びその指導の元、土井武夫技師が設計主任として開発した飛行機なのでした。

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前作の川崎キ5 試作戦闘機


 全金属胴体に逆ガルウイングの低翼機構造と、かなり頑張ったんですけど・・・。
 この時代はまだまだ複葉機全盛の時代で、エンジンも機体構造も未発達で、単葉機というと運動性能の不足が欠点として課題があったのです。
 
 という訳で、川崎はもう一度複葉機に戻り、キ10として開発して中島のキ11との競合の結果、見事制式採用となる訳です。 

 しかし、対抗馬の中島は革新的なキ11を出してきました。最大速度402km/hを出した全金属胴体に低翼式単葉機。速度は当然キ10より早かったのですが、比較審査では運動性で劣り、格闘戦を重視する陸軍の方針から不採用になりました。残念。でもこの飛行機、もったいないので、朝日新聞社、大阪毎日/東京日日新聞社の高速通信機として活躍します。
 

Nakajima_Ki-11.jpg
中島
キ11。革新的でしたが構造補強のための張り線が残っているのが残念


 ちなみにこのキ11、同時並行で海軍の九試単戦の競合試作にも提出されます。
 海軍指定のエンジンに換装し直して挑みますが、今度は三菱(後の九六式艦上戦闘機)の方が抜群の高性能を出してきて敗退となってしまうのです。
 1回目は保守の複葉戦闘機に負け、今度は革新的戦闘機に負けるという、なんとも悲しい運命の機体でちょっと好きなのです^^; 

 さて、話を九五式戦闘機に戻します。
 この九五式戦闘機。当時は世界最高水準を行く複葉戦闘機で、日華事変では中国軍のI-15を寄せ付けない強さを発揮しました。

Polikarpov_I-15bis copy.jpg
(ウィキペディア)
 I-15bis。なんかI-16を複葉機にしたみたいなデザインですね。


 しかし、時代は新しいことにチャレンジした者に勝利をもたらします。九五式戦闘機はデビューした時は良かったのですが、すぐに出てきた低翼単葉のI-16がに苦戦を強いられます。

 生産は1938年まで続けられますが588機の生産機数で後継の九七式戦闘機に主力の座を譲ることになりました。

21436.jpg
九七式戦闘機
固定脚を除けばほぼ大戦機のシルエットですね。


 奇しくも同年に初飛行したメッサーシュミットBf109が、改良に次ぐ改良で、その後10年間もの長きに渡り主力戦闘機の座を守り続けたことと比較すると大きな差が出てしまったなと感じます。
 保守の複葉機にするか、革新の単翼機にするかで、その後の戦闘機の運用寿命が大きく変わることになるのですね。

95式_03.jpg
相変わらずの超精密なディテール。
95式_02.jpg
パイロットの表情まで伺いしることができそうな描写です
95式_01.jpg
模型工作の資料としても充分

一年間、楽しませてもらいました。SUBARU名機カレンダー
本当は毎月違った飛行機たちが見たいですが、取り上げる機体も少なくなってきたかもしれませんので、しかたないかぁ。


◆模型情報

 WWⅡの大戦機ではないので、ちょっとマイナーなのですが、それでも各スケール取り揃えています。
 1/144スケールではレジンキットで有名なA&Wmodelsから。

0000000240844.jpg
価格は3,240円と、ちと高めです。
http://www.radicalstore.net/?pid=71458664

それ以外にも1/72、1/48と出ていますね。

日本陸軍最後の複葉戦闘機、川崎九五式戦闘機。
作ってみるのも良いかもですね^^

1/72 川崎 キ10 九五式戦闘機 2型 コンボ

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1/48 帝国陸軍九五式戦闘機 「加藤攻撃戦闘隊」

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日本軍用機事典1910~1945 海軍篇

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SUBARU名機カレンダー(2015)は以下の飛行機たちが取り上げられていました。

表紙  中嶋一式戦闘機 隼I型
1/2月 イタリア サボイア・マルケッティSM79T 長距離飛行記録機
3/4月 FM-2(F4F-8)ワイルド・キャット
5/6月 ブリストル ブルドッグ
7/8月 スーパーマリンS.6B
9/10月 ユンカースJu52
11/12月 川崎九五式戦闘機

表紙はやっぱりスバルの前身中島飛行機の”隼”ですね。

SUBARU世界の名機カレンダー2016年でなんと最後!!


なんと41年もの長きに渡って続いていた世界の名機カレンダーが2016年で最後だそうです。ショック!

あぁ、寂しいです。マジか・・・。最後の2016年の表紙は予想通りの四式戦「疾風」でした。
今なら500名にプレゼント中ですよ!さっそく申し込んでみます。皆さんもいかがですか?

→スバル世界の名機カレンダー 500名プレゼントの申し込みはこちらからできます。

オンラインショップでも購入可能です。外れたら申し込もうかな(笑)


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コメント 5

タイド☆マン

とっても良い情報
ありがとうございます☆
壁掛けタイプ 応募させて頂きました
外れても買えるトコロが素晴らしいではないですか☆
by タイド☆マン (2015-11-03 21:31) 

desidesi

カレンダーいいですね。
私も応募してみました〜♪ (๑◔‿◔๑)
終わっちゃうなんてもったいないですね。
by desidesi (2015-11-04 11:12) 

駅員3

この頃の川崎は意欲的に液冷エンジンを採用していましたが、ドイツの影響が大きいのでしょうか?
by 駅員3 (2015-11-04 11:14) 

johncomeback

拙ブログへのコメントありがとうございます。
カレンダー申込みます。でもくじ運無いからなぁ(-_-;ウーン
by johncomeback (2015-11-04 13:08) 

ワンモア

★タイド☆マン さま
 こんにちは〜。皆さん申し込んでくれるといいなです。
 自分の当選確率は下がりますが(笑)。

★desidesiさま
 そうなんですよ~。でも41年間もの間続けていたなんて凄いことだと思います。過去のものでもいいから復刻して新しいカレンダーにしてくれないかなぁ。 

★駅員3さま
 おぉ、着眼点が流石です。BMWの液冷エンジンの国産化に積極的に取り組んでいたのが川崎だったのでそのまま試作機にも応用したものと思われます。
 でも当時の日本の工業技術ではそれが信頼性の低下という仇になったみたいですね^^;

★johncomebackさま
 みんなで当たりましょう!^^ エヘッ
 反響の大きさで再来年も続けてくれるといいなぁ。
by ワンモア (2015-11-04 14:16) 

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