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平家落人伝説の里、平家の里と平家狩人村へ行ってきた〜その2

 さて、前回の続き。湯西川温泉は温泉と歴史の両方を堪能できる所です。実はここ、縄文式土器も発見されていて個人的には何それスゲェと思っているのですが、そっちは全然扱っていなくて、街はもう平安時代の平家一色です(^^)。

◆「平家」と「平氏」の違い

256px-Ageha-cho.svg.png

 あ、ちなみに「平家」「平氏」は違うのです。ご存知でした?「」は同じ姓を持つ一門全体を指します。「」は文字通り家族とかファミリーです。「平家にあらずんば人にあらず」で有名なのは平清盛ファミリー。平氏の中の一部を指しています。
 なので、平氏にしても源氏にしても祖は天皇ですが、その後、武士になったりして自分の領地を名字として名乗るようになります。千葉氏、三浦氏などは坂東平氏の一族ですね。足利氏は河内源氏の流れです。

 で、平家一門というと、先程の平清盛ファミリーで伊勢平氏出身の武士の一族。京の朝廷に留まり名字を名乗らずに「平」の姓のまま朝廷に仕え続けます。
 朝廷は、藤原氏を藤家、菅原氏を菅家、大江氏を江家などと呼んでいましたので伊勢平氏を平家と呼んでいました。これ豆です。
 要は朝廷に仕えた伊勢平氏一門を指す言葉が「平家」なんですな。なので「平家物語」とは、平氏全体の物語ではなく、清盛を中心とした朝廷に仕えた伊勢平氏の物語なのです。

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「平家の里」の平清盛


◆各地に存在する平家の落人伝説の真偽


 これを踏まえた上で、日本各地に存在する平家の落人伝説をみていくと色々と誤解されていることがあるようで。本来なら平家(伊勢平氏)一門の人々の伝説なのですが、平家方に味方した郎党一族も当然逃げますので、彼らの話まで平家落人伝説にされているようなのです。
 中には平氏一族や味方の一族もいたのでしょうから、平家と混同されたり、子分たちも平家の落人にされているかもしれません。

 中には創作や脚色されてしまった信憑性の薄い伝承、誤伝もあるそうですが、これらの真偽は学者同士でも意見が分かれるそうです。ここ湯西川はどうなんでしょうかね・・・。

平家一行.jpg
落人伝説の絵(平家の里の入場券)こんな場面があったのでしょうか。


◆湯西川温泉の一部を移築して造られた「平家の里」

 と、詮索話はこれくらいにして、平家の里を見ていきます。時間はすでに3時近く。傾きかけております。山間の集落は日が落ちるのも早い。
 大人510円を払って入場です。

平家の里入り口.jpg
(またもや写真撮り忘れたので Google Mapsより)


 ここの「平家の里」は江戸後期から戦前くらいまでの栗山村の農民の里の暮らしを展示したもののようです。それに加えて甲冑などの骨董品を展示したものといったところでしょうか。平家落人の暮らしを再現というよりは、今は貴重な農民たちの暮らしを再現したというところでしょうか。

平家の里見取り図.jpg
藁葺きの家が雰囲気を出してます。
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生活の支えになっていた木杓子
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移築し直したようです。
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綺麗に保管されていますね。足袋.jpg
冬は雪が積もるので必需品
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こういうタンスは今でもありますね。
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かまどは流石に今は使っていないか・・・。
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灰を書き出す便利な構造になっていますね。
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駕籠?思ったよりかなり小さかったです。

展示館では、平家の世界を再現していました。

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なぜか、平敦盛像が。
平維盛.jpg
平家物語の中でも人気の話である熊谷直実とのエピソードの人。
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見どころがありますね。
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昔の貨幣とお賽銭
甲冑.jpg
これは、平家の本物ではなくてコレクション?

 一番奥にある「湯西川赤間神宮」は安徳天皇の菩提寺である「赤間神宮」から昭和62年に分祠されたものです。
平家の里.jpg
暗くなってきましたので、平家の里を後にします。


◆いつ潰れてもおかしくない?マニア必見の「平家狩人(マタギ)村」

 さて、平安時代の落人伝説の余韻に浸りながらもうひとつの資料館へ。B級スポットマニアでは超有名なスポット。「平家狩人村」です。いつかは訪れたいと思っていたのでついにチャンスが叶いました。

kariudomura .jpg
自ら秘境って言っちゃてるよ。


 場所はここから更に山奥へ。道に白赤のポールが立てられているということは、雪がかなり積もることを示しています。これ雪の高さを示しているのかと思いきや、路肩の場所を教えるためのものだそうです。除雪車が間違って落ちるのを防ぐためとか。友だちに間違えて教えちゃったよ、ごめんなさい。

狩人村_8.jpg
 受付にはニコニコしたおじいちゃん一人。車を停めるとすでに受付のおじいさんが手招きしています。これは、もう見学しないと駄目な雰囲気(笑)。
狩人村.jpg
すでに雰囲気が怪しさ満点(^^)右から入って行きます。

中の様子はこんな感じです(クリックで拡大)
狩人村案内図.jpg
小さな村を再現した感じですね。
狩人村_01.jpg
はい、きました。これこれ(笑)
狩人村_02.jpg

所狭しと本物の剥製が。
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ニホンカモシカの剥製もこの廃れっぷり最高です。

 剥製がボロボロ(;゚∇゚)でゾンビ状態が多いのですが、他の方のブログでは、ここの写真が詳細に撮られていますので、省略して次行きます!

道具作りの小屋
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小屋の半分が土間と囲炉裏で寝るところが1畳くらいでしょうか。うーん狭い。
これが男の人一人暮らしの現実かもしれませんね。
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解体小屋です!( ゚∀゚)・∵. グハッ!!

 熊さんの解体人形がありますが、それ以外の陳列はモノホンの骨、骨、骨!解体小屋いやあ、最高です(笑)これですよ、これ。 ホルマリン漬けのなんか怪しいのもあります。
 ぶら下がっている骨がホラー屋敷のようです。

 3軒目にお邪魔します。さっきよりちょっと大きめのお部屋。
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隣に風呂トイレ付きの1LDK ♪
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真ん中の台所を挟んで、寝る所、作業場という感じでしょうか。
これが昔の日本の農村風景の現実かも。

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お風呂場をのぞき見。
雪隠.jpg
雪隠(トイレ)です。実際には使用できません。
田舎のトイレを覗く時ってなんかドキドキするんですよね(笑)

4軒目のおうちは更に広いですね。
だんだんグレードが上がっています(^^)
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布団があるということは泊まれるかも。
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こちらのご家庭では食器棚や貯蔵庫もあります。

向かい側の村長のお家を訪ねましょう。

IMG_4969.jpg
お邪魔します・・・

 村で一番の大きな家です。3LDKっぽい。この位大きいと「家」って感じしますね。
 さて、一番奥は神社になってます。この神社を中心としてメインストリートがあり、両脇に家々が建てられているのはよくある村の作りなのかもしれません。大内宿もそうですしね。
Cap 221.jpg
(大内宿 神社は村が見渡せるところにあるのが多いですね)


IMG_4975.jpg
こちらの神社は分祠されている感じがしません。レプリカかも。

隣は蔵屋、木柄杓子小屋、木挽小屋、炭焼釜となっていますが・・。

狩人村6.jpg
崩壊しとる!(;´Д`)
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もう、みても何がなんだか(;^ω^)
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蔵もこんな感じ。
狩人村3.jpg
村の中心になぜか竪穴式住居が。
パンフレットの写真にも使われていてお気に入りの場所みたいです。
kariudomura .jpg
うわー。だいぶ朽ち果ててしまった・・・
竪穴式.jpg
火を炊いていた後があってほのかに暖かいです。
なので、現在も使用中(笑)

その他にも味噌樽小屋、馬小屋、カイコの小屋など
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こういうところはまだありそうですよね。
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 いやあ、こっちの方がはるかにリアルですな。落人が実際いたとしたら、現実はこういう暮らしかも知れません。リアルな都落ちっの生活ってこんな感じかも知れませんな。

 これ以外に集古館では、とにかく古いものが集められていて、その道のマニアさんにはなかなかな物があると思います。
 全体的にかなりのインパクトがあって先程の「平家の里」の金屏風の世界が完全に吹っ飛びました。出ていこうとしたらここの館長さんがやってきて、奥の「アレは見たけぇ?」と聞いてきました。久しぶりに聞いたぞ、バリバリの栃木弁。
 そういえば、思い出しました。ここを訪れた人が必ず勧められる場所があるということを。

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 はい、これです。男根さまがチン列しています(;^ω^)


 他のブログを見てもこれを見せようとグイグイ押してくるそうで。館長一番のお気に入りなのでしょうか・・・。その前に他の小屋なんとかしようよ。ここも床が盛り上がって、リアルヤバイ状態だよ。

 ちなみにここの館長さん?80歳にもなる方で、もとマタギだそうです。ここに展示してある剥製の6割は自分で撃って解体したものだとか。だからマタギの里なのか。すごいなぁ。熊もここらへんはしょっちゅう出ていたとのこと。
 材木屋もやっていたことがあるので、この施設の木材も自分で調達したそうです。どうりで柱とかいい古材を使っていると思った。

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「平家の里」のようにもう少し陳列上手だといいのにね(^^)

 しかし、ここも12月4日の日曜日に冬季閉館とのことです。興味が出てきて行ってみたいと思われた方、春までお待ち下さいね。

 経営はやはり厳しいそうで、みんな手前の「平家の里」で引き返してしまうそうで。でも、ここに来た人は「こっちの方が面白い」と言ってくれるとのこと。はい、私たちもそう思います(^^)。
 なにせ、リアル感がハンパないです(笑)。マタギの現実の生活ぷりを垣間見ました。強者なら、ここ泊まることもできるかも。
 ちなみに男性なら大喜びする人もいるかと思いますが、女性は好き嫌いが分かれるかも。小屋の中はカビくさくてマスク必須です。

 「誰かスポンサーいねぇけ?」と言っていましたが、いや、ホント誰かスポンサーにならないかな?この場所が無くなるのはあまりに寂しい気がします。
 見学途中でバッテリーが無くなってしまい、友人のスマホで撮影してもらったのですが、今度は、もっと写真を撮る準備をしてまた来たい。そう思わせる場所でした。

 帰りは、「道の駅ゆにしがわ」を再び通りますので、足湯の第2回めで今日の旅の疲れを取ることに。
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 最後の狩人村のインパクトが強すぎて、昭和温泉街気分や、平安時代気分が全部吹っ飛びました(笑)。
 関東最後の秘境・秘湯といわれる日光栗山郷の湯西川。皆様も是非、一度は訪れてみてはいかがでしょうか。次は川俣温泉あたりを行ってみたいと思います(^^)

 次回の記事では、この平家落人伝説について調べたことを記しておきたいと思います。本ブログのネタとは、ずれますがもう少しお付き合いの程を。 

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コメント 10

ロートレー

その1も充実したレポートでしたが、その2はますますディープな展開となりましたね。
それに比べたら北海道には、歴史的な遺産は全く無くてさびしい限りです。
by ロートレー (2016-12-06 20:32) 

johncomeback

「平家狩人(マタギ)村」は僕のストライクゾーンど真ん中です。
つぶれる前に行かないなければ、今月行きたいなぁ、行けるかなぁ。
by johncomeback (2016-12-06 20:42) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

平家狩人村の秘宝館・・・笑えます。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-12-06 21:26) 

(。・_・。)2k

またぎ村 気になりますねぇ
行ってみたいなぁ

by (。・_・。)2k (2016-12-07 00:24) 

ちょいのり

やっぱりそうかー!
氏と家じゃ違うのですね。
だって落人アピールしてるとこ多すぎですものw
仕えた家来さん達も加味ってるわけだ^^;
平家狩人村懐かしいです(*´д`*)
あのノコギリで行ったのを思い出した!

by ちょいのり (2016-12-07 01:27) 

yamatonosuke

なかなかのパラダイススポットですね^_^
by yamatonosuke (2016-12-07 01:32) 

caveruna

受付のおじさんが手招き・・・ってだけで、
怪しさ満点です!
しかも、けっこうリアルで怖い(爆)
布団があっても、こんなところに泊まれないよ~(笑)
by caveruna (2016-12-07 12:08) 

caveruna

追記
こんなところ季節外れに一人で行ったら、
大変な事になりそうです(爆)
いやぁ、実は・・・昔、田舎に帰省した時に、
歴史的建造物である古い私邸を見学しに行ったら、
館長のおじいちゃんに手をにぎにぎされて、
怖かった経験があるのです(苦笑)
by caveruna (2016-12-07 12:14) 

hana2016

龍王峡手前、左側にある・・・目にするだけでも恥ずかしい、潰れかけの珍宝館。
更に強力な魅力にあふれた、ミラクルワールドな「平家狩人村」って、ププッ!
湯西川へは何度も足を運んでいるものの、景色だけで満足!「平家の里」さえ入った事ないのです^^
湯西川で多い名字、伴さんも平氏であるのを隠した名前だと聞いたことがあります。
それとあの辺りの人々、ほとんどが親戚、またはそれに近い関係なんだとか。。

by hana2016 (2016-12-07 21:09) 

ワンモア

★ロートレー さま
 北関東はなんか多いですね(^^)でも北海道の開拓民の歴史とか、大好きです。コミックで「ゴールデンカムイ」という漫画が連載されているのですが、アイヌとかマタギ、北海道開拓の歴史が詳しく出ていて面白いです。

★johncomebackさま
 あ、狩人村、もう冬季で閉館してしまいました(笑)春までお待ち下さい〜。

★なんだかなぁ〜!! 横 濱男さま
 ぐいぐい推してくる一押しのモノみたいです(笑)

★(。・_・。)2kさま
 ほとんど手作りらしいです。個人の趣味の世界ですね〜(;^ω^)

★ちょいのりさま
 次回で落人伝説を調べてたので記事にします(^^)
 ちょいのりさんなら、狩人村、外す訳がないと思っていました♪
★yamatonosukeさま
 色んな意味で楽しめました(笑)

★caverunaさま
 手をニギニギ!なにそれ怖い!
 おじいちゃんのコミュニュケーションって訳がわからないときがありますよね(;^ω^)
 正直、中はホコリとカビくさいです(;゚∇゚)

★ hana2016 さま
 私はその集落や村を訪れると、必ず、神社、お寺にお参りするのですが、ここの石碑とか墓地を見るのが好きなのです。
 この地域で唯一の寺である慈光寺の裏手には確かに、伴氏と大類氏のお墓が多かったです。
by ワンモア (2016-12-08 09:10) 

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