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ベネチアングラスについて

 
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 先日、書斎の片付けをしていたら管理人にとって懐かしいものが出てきまして。それがこれ、ベネチアングラス(ピアストラとも呼ばれています)の部品なんですが、実はこれ、前職での仕事で扱っていたものなんです。

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 来場者がある程度決まっているお土産を企画・デザインする仕事に携わっていて、そこは人手が足りない場所でした。

 ですので、グッズの企画→製作→販促→経営まで一人で行っていました。
 要は、グッズ収入目標いくらとドカンと任され、その目標を達成するには、「いくつの商品をいくらで売る」というのを考えます。年間の来場者の見込みはある程度分かっていますので、子供向け、婦人向け、若者向け、中高年向け、自分用、贈答用など来場者の比率に合わせて隙間なく企画・製作していくのです。

 コンセプトはギリシャ・ローマ系のデザインをモチーフとしたコンセプトでしたので色々と勉強もしました。

 業者を呼んで打ち合わせしたり、自ら指示を出しに工場に出向いたりと楽しかったですね。
 普通は企画・制作部門と販売部門は別なのですが、そこは人手が足りませんので、自分で販促POPも作ったり、プロモーションビデオも作ったりしましたし、刈り入れ時は自ら売り子として販売もしまし、出張営業にも行きました。
 現場では、お客さんのダイレクトの声が聞けるので耳の痛い意見や、お褒めの言葉もいただけてやる気ももらったり、売り場の工夫や商品のアイデアも生まれました。

 とかく官僚主義の組織の中では、珍しく独立部門のように全部任せてもらえたので(要は売上げが出てれば文句は言われない)自由気ままな仕事をしていました(笑)。
 自分としてはこんな好き勝手やっていいのかな?と思いましたが上司に恵まれていたのと、全国の他所の部署から何人も教わりに来てくれていたのでまあ、成功していたのではないかと思います。

 このベネチアングラスは、見た目が綺麗なのと、ネームバリュー(ベネチアングラスは高い)を当てにして採算はある程度低くして販売しました。

 商品で一番難しいのは「値付け」ですが、うちは他社と競争するような場所ではありませんでしたので適当というか、エイヤで決めていました。

 さて、このベネチアングラスの作り方をご紹介します。
 まず、ベースになる色ガラス板を決めてそこに金箔・銀箔を敷き詰めます。このベースになるガラス板は大きく、畳1畳分になることもあるそうで、ここから何百個ものブロックを作っていきます。

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裏面が基本となるガラス板

 次にカンナと呼ばれる細いガラス棒を切断して並べていきます。このカンナのなかでも花柄模様のカンナをムリーネと呼んで女性たちには人気があります。

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  花がらに見えるのがムリーネ。このガラス棒を切断して敷き詰めていきます。

 最後に透明なガラス板を上に乗せて釜に入れます。
 ガラスが溶け出してきたら一旦取り出して小さく切断します。この時に星形、丸形、クロス形など色々な形もカットできますが、無駄な部分もできますので、コストはやはりかかります。
 ここが職人の腕の見せどころでもあり、無駄な部分をなるべく作らない工夫も必要です。

 再び釜に入れて丸みを付けます。そして数日間をかけて冷やしていきます(こうすることで強度が増します)。

 エポキシ系の接着剤で、取付金具をつけて完成です。
 あとは、これにチェーンを付けてネックレスにしたり、ストラップ部品をつけたりします。タグもつけるとオリジナル商品の出来上がりです。

 まとめたものはこちら(クリックで拡大)

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 別の業者に送り、ストラップに仕上げます。
右図がその指示書。

 このように手作り作業ですのでどれ一つとして同じ柄のものはありません。
花がらのムリーネの入っているものから売れていきます。

 最初は、すでに出来ているベネチアングラスを取次ぎ業者に送ってもらっていたのですが、売り子として立っているうちに売れ筋や人気色が分かってきましたので、最後の方は1枚まるごと買い取るという条件で、オリジナルをイタリア職人に依頼し送ってもらいました。

 金箔が熱でひび割れた感じが、またいい具合で下のガラスを黒系にすると友禅な感じが出て、和っぽくもなるのです。このムリーネを桜にしたら売れるんじゃないかと思いましたが、うちの売り場のコンセプトではなかったので諦めた経緯があります。

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右のベネチアングラスが紺色のガラスベースに金箔を乗せたもの。和風ですよね。

ベネチアングラスの歴史

 ジュエリーで有名なスワロフスキーは、その歴史が120年余りであるのに比べ、ベネチアングラスは、700年以上もの歴史を現在に伝えています。

 中世のベネチアは、世界貿易の中心となる過程で優れたイスラムのガラス芸術を吸収し、発展していきました。
 ベネチアングラスをムラノグラスとも呼びますが、ムラノとはベネチア本島から北東にある島で、ここでガラス製造が集中して行なわれていたためムラノグラスとも呼ばれるようになりました。

 ここもスワロフスキーと同じようにその製法の秘密を守るためにベネチア本土からこの島に工房を移転したのだといわれています。
 ムラノ島で制作されるガラス芸術は15世紀には高級工芸品として価値を持ち始め16世紀にはヨーロッパ全土で広く受け入れられ流行していきました。

 スワロフスキーのグッズも沢山企画しましたが、これは女性スタッフで見込みのありそうな子を捕まえて色々と勉強をしました。
 なんせ女性物にはとんと疎い航空機マニアでしたから(笑)。 新しい事をするのはなんにせよ楽しいことです。


大きな地図で見る

 角型のベネチアングラスで、1000円代なら輸入コストなどを考えても格安だと思います(経験者談)。

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コメント 3

johncomeback

うわぁ~なんて綺麗なんだろう、欲しいです。
でも、お高いんだろうなぁ(*´∇`*)
by johncomeback (2014-02-22 21:21) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

なんか、宝石のように見えます。。

by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-02-22 23:25) 

onemore

★johncomebackさま
お早うございます。普通に購入するとやはり高いのですが、
角型なら比較的安いのです。1000台ならお買い得かも。

★なんだかなぁ〜!! 横 濱男さま
お早うございます。写真がヘタなのでうまく撮れていないと思うのです。現物はもっと綺麗なのです。
by onemore (2014-02-23 06:39) 

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