第二次世界大戦時のドイツ機というと、世界に先駆けた実用ジェット機を初めてとして、ロケットや特殊兵器などを沢山計画していて読み物としては興味があるのですが(なかにはUFOも)、今回はそんな新型兵器を実験する特殊部隊の話です。
それは第200爆撃航空団(KG 200)という部隊で、主にドイツ空軍の秘密爆撃部隊として知られています。しかしその任務は多く、長距離偵察、新型機のテストや鹵獲機を使用した特殊任務を行う部隊でした。
KG200は第1飛行隊から第4飛行隊までありました。
●KG 200/第I飛行隊
ドイツの諜報活動機関アプヴェーアの工作員を降下させる任務を担っていました。有名な作戦は、1944年の7月で、男女260名の工作員を降下させる任務につきました。
この飛行隊は3つの飛行中隊からなり、 第1中隊は長距離作戦、第2中隊は近距離作戦などを担当しました。
この飛行隊の主な使用機体はハインケル He 115で、ドイツ軍では珍しい双発のフロート機です。
ハインケルHe115
●KG 200/第II飛行隊
電子戦、長距離偵察、日本支配下の中国北部への輸送飛行と特別貨物輸送といった特殊任務を担当していました。さらにはコマンド強襲部隊の第3飛行中隊を保有し、ドイツのデデルストルフに駐屯し訓練を行っていました。この飛行隊を使用した特殊コマンド部隊はドイツ軍降下猟兵部隊でもほとんど知られていなかったとの事。本当に特殊任務についていたのですね。
●KG 200/第III飛行隊
魚雷を装備したフォッケウルフ Fw190 戦闘機が配備されることになっていましたが、これは発足しませんでした。
●KG 200/第IV飛行隊
ユンカース Ju 90とJu 290などの珍しい機体と、Ju 390とメッサーシュミット Me 264を使用した長距離飛行計画を担当した特殊部隊です。
実働状態になった場合、この飛行隊はアメリカ本土への長距離偵察飛行、工作員や爆弾の運搬を担当することになっていました。
●KG 200/第5飛行中隊
最も知られている部隊ではないでしょうか。通称レオニダス飛行中隊と言われています。この部隊は元々は計画されたテスト飛行を行っていた部隊でしたが、終戦近くにはV-1などの飛行爆弾やロケットを使用した特攻隊として有名になりました。しかし実際には、パイロットの損失とその効果を考えて中止になりました。日本と違って合理的なドイツ人の賢明な判断だったと思います。
フィーゼラー Fi 103R
各部隊の任務はこんな感じですが、長距離偵察などの任務に関しては、自軍に十分な航続距離を持つ機種がなかったために鹵獲したB-17(右図)やB-24、ツポレフTu-2なども使用されたそうです。
これらの機体は、補給任務や重要人物の輸送にも使用されました。
他国籍のマークをつけた飛行機は模型心をそそりますね。
さて、KG200はそれ以外にもミステルという特殊攻撃もよく知られています。このミステルというのはドイツ語でヤドリギという意味でその名の通り、母体の機体の下に無人大型機が連結されて目標付近まで飛行した後に、無人機を分離・突入させるというシステムでした。
最新のMe328とDo 217Eの組み合わせやMe262同士の連結も計画されていました。よくやります・・・。
ハセガワから模型化されたものは訓練時のパッケージでJu88はまだ爆装されていません。
機首に信管を取り付けた改造機
それぞれ航空機には既存の機体を流用し、有人機にはBf109やFW190などの戦闘機などの軽快な機体が、無人機にはJu88などの双発爆撃機などの大型機が選ばれました。
実戦の投入はノルマンディー上陸作戦からで合計250機程度が生産されましたがその効果はほとんどありませんでした。
(続く)
<関連記事>
→V1(Fi 103)飛行爆弾と桜花
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ミステルは一度記事にしたことがあります。
ドイツはいろいろ新しい物を開発しますね。
by 楽しく生きよう (2014-02-06 20:12)