US-2の記事の続編になります。実はUS-2はエンジンを五基搭載した五発機なのです。
外見からは普通の四発機にしか見えませんが、胴体内部に隠されたターボシャフトエンジンを搭載していルのです。
それがBLCと呼ばれる動力式高揚力装置(下図中央)というもので、これを実用化させたのは日本が初でしかも世界で唯一だそうです。
新明和PDF資料「救難飛行艇US-2の民間転用について」より
飛行機は速度が落ちてくると、翼の表面の空気流が剥がれて、揚力が落ちて失速しうのですが、この空気が剥がれないよう、圧縮空気をつくって主翼と尾翼の上面に吹き出すことによって、低速時に発生する翼面空気流の剥離を防ぎ、なお、機体揚力を高めることができるんですね。この発想すごい。
うまいこと考えたなぁという感じです。この技術って他の航空機にも応用できないのかな。短い距離での離発着が可能になるので、短い滑走路でもOKということですよね。
そうすると、なにも海面の離発着だけでもなく、例えば山岳地で平地が確保しずらい短い滑走路でも運用が可能な訳で、山岳地の救助や哨戒任務にも応用できると思います。まあ、先にヘリコプターが優先されるかもしれませんけど。
輸入が決まったインドでも国内は山岳地帯が多いですから、US-2の運用も選択肢に入るかもしれません。3、400mの直線距離が確保できる山の上の湖でもいいですね。
物資輸送でインドの天空の湖と呼ばれているパンドン湖なんかに着水なんてしたら最高です^^。
標高約4200mの世界で一番高い所にある塩湖、パンゴン湖。
富士山よりも高い場所、琵琶湖に匹敵する面積の湖です。 こんな所に日本製のUS-2が着水する可能性も?
多目的な運用の可能性
US-2は、海上の救難救助以外にも以下のような転用の可能性も開けています。
災害救援、離島医療支援、洋上監視(インド?)、国境離島保全、物資輸送、国際緊急援助、消防飛行艇、旅客輸送飛行艇などなど。
このうち、国際緊急援助に関しましては、平成21年にマニラ湾での大型台風襲来の大規模災害を想定して日本を含めたASEAN諸国、米国、EUなどの国際災害救援実動演習が行われ、岩国からフィリピンのマニラ湾までの2,450kmの飛行、着水、遭難者の救助という訓練を行い、高い評価を受けています。
新明和PDF資料「救難飛行艇US-2の民間転用について」より
災害救助では、地震などで滑走路が使えない場合など有効ですし、離島の旅客輸送などにも転用できそうですよね。
消防飛行艇としても有望!?活躍の可能も!
世界では森林火災などでの消防機が多数使われていますが、中型規模の消防機の約7割(126
機)が、CL-215という飛行機です。
空中消火機の代表格、CL-415。75機生産でコストは約30億
この機体、性能も良くて値段も30億少々と安いのが良いのですが、US-2に比べてやや小型で、搭載水量は6トン。ロシアのBe-200は12トン。
しかし、このUS-2は15トンまでの搭載水量が技術的に可能だそうです。
ちなみに各自治体が保有している消防防災ヘリコプター(全国で約70機程度)の搭載水量はわずか0.5トンです。これでは少ないということで自衛隊の大型ヘリコプターを使用していたのですが、これも最大放水量は7トンになります。
このUS-2を消火活動に転用できれば、日本でも今までの倍以上の放水ができ、しかも水上を滑走しながら15トンの消防用水を取水することが可能なので、短い時間で多くの消火用水を運び、しかも短時間で災害現場に到着することが可能なのです。
実際に宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと消火技術に関する共同研究を進めながら消防飛行艇としてのUS-2を研究している最中だそうです。
最近、地球温暖化のせいか、世界各地で大規模な山火事が多発していますので、消防飛行艇としてのUS-2も欲しがる声がインドに続き出てきそうですね。
これだけ優秀で色んな場面で活躍できる可能性を秘めた飛行艇が2005年から今までの10年で調達した数はわずか4機(試作1号、2号を除く)・・・・。
インドでは一気に15機の調達を求めているようですので、これを機会にコストが下がって、世界中の救難活動に活躍できるといいですね。
US-2凄さはこちらの記事にしました。
→不忍池にも着水可能?世界が欲しがる「US-2」はこんなに凄い!
→辛坊治郎を救助したUS-2の活躍と救助の仕方について
→US-2の系譜〜二式大艇と九七式大艇
→カテゴリ/US-2シリーズ情報(13記事)
インド北部。世界で最も天に近い湖、パンゴン湖。絶景です。
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2015-03-01 08:08
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コメント(3)
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共通テーマ:趣味・カルチャー
5つ目があるとは思いませんでした。
by 楽しく生きよう (2015-03-01 13:48)
拙ブログへのコメントありがとうございます。
前記事でも感心させられましたが、ホントに凄い
飛行艇なんですね(-_-)ウーム
by johncomeback (2015-03-01 17:33)
★楽しく生きよう さま
私も最初に記事を見たとき、あ、誤字発見と思ってしまいました^^;
★johncomebackさま
ホント、凄んですよ〜(*^^*)
by ワンモア (2015-03-02 19:39)