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イタリア機の魅力について語りたい〜その1

 飛行機のデザインにおいて世界各国の中でも異色の光を放っているのがイタリアだと思います。中世ルネッサンス期に花開いた芸術の国、イタリア。その感性溢れるセンスは工業デザインにも反映されているのではないでしょうか。

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iPhoneケースもオシャレ


 他の国では真似ができないそのセンスは当然、飛行機たちにも生かされていて、中にはちょっと?という不思議なものも(笑)。今回は個人的に面白いと思っているイタリアの飛行機たちをご紹介。行きますよ、アンディァーモ!

◆双胴、翼の中に操縦席
サボイア・マルケッティS-55飛行艇

 2つの胴体は飛行艇に必要なフロートも役割。操縦席はというと、なんと翼の中にあります。むき出しのエンジンを縦に2つ繋げた串型のその姿はなんともいえないユニークな姿です。
 この飛行艇、第二次大戦前、数々の長距離飛行に成功したイタリアの代表的飛行艇なのです。この正統でないスタイルにさすがのイタリア空軍も採用をためらっていたという代物です。垂直尾翼も3枚なんてなんて独特^^;

Cap 504.jpg
こんな飛行艇、今でもあるといいなぁ

 ◆空冷星型エンジンを胴体中央に! ピアッジョP.119 試作戦闘機

Cap 503.jpg
 このスタイルはどこかで見たことがあると思いきや、アメリカのP-39エアコブラですね。航空機の重心近くにエンジンを配置することによって運動性能の向上を狙った設計なのですが、エアコブラとの違いは、空冷エンジンということ。

 

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日本軍から”かつお節”とあだ名が付けられたエアコブラ(確かに^^)


 空冷と液冷の違いは、エンジンの冷却方法なのですが、胴体の内部にエンジンを積むので、冷却手段は当然液冷にとは誰もが思う発想。
 ところがこのP.119は、空気を沢山必要な空冷エンジンを積んでしまうのです。当然、機首下部に大きく開いたエアインテイクがデザインされ、プロペラを駆動するための延長シャフトやエアインテイクのスペースを確保するため、操縦席は胴体前部の高い位置に設置されています。

Cap 505.jpg
エンジンがあるとこにないとなんか違和感が・・・。


 この試作機、エアコブラと同様、振動問題で悩まされ、改良している間に休戦となってしまい開発も中止されてしまいました。


◆右翼と左翼の長さが違う?イタリアの最良戦闘機マッキMC.20
2フォルゴーレ

Cap 507.jpg
エンジンがBf109と同じだけあってフォルムがちょっと似ていますね。

 単発エンジンの飛行機ですと、プロペラの回転方向は右回転がほとんどですので、トルクモーメントが働きます。これを相殺させるために、垂直尾翼の形状を左右非対称にしたり、エンジンの装着位置そのものに角度をつけたり、修正タブで調整したりと微妙な設計を入れているのですが(外見ですぐに分かるのが二重反転プロペラ)、このマッキMC.202は、左右の翼の長さを変えるという他国ではみないデザインを取り入れています。

 その差は20cm。スケール機にするとほとんど違いが分かりませんが、面白い取り組みですね。イタリアでは戦前からもしばしば用いられていた手法だそうです。


◆これぞ世界の珍妙機!
カプロニ・スティパ 実験機

Caproni_Stipa_from_front.jpg
正面からみた画像^^;


 世界の珍妙機という特集があれば、殿堂入り間違いなしといえるのが、このカプロニ・スティパ実験機だと思うのです。

 宮﨑駿の映画「風立ちぬ」で登場したカプローニ伯爵の会社で実験されたなんとも珍妙な飛行機です。
 これ、胴体部分が太い環状になっており、その中にプロペラとエンジンが配置されているのです。胴体全体が一つのダクテッドファンというものになっていて、チューブ型の胴体が大きな推進力を出すとの構想だったのですが、実際には大きな空気抵抗と低騒音をもたらしただけで、他の性能は通常の機体よりも劣っていたそうです。

Caproni_Stipa_on_ground.jpg
カワイイ・・・

 この実験機、奇をてらった訳ではなく、極めて真面目な実験のためにこのデザインになったのですが、はたから見てるとなんとも珍妙な光景ですよね(笑)

 この実験はダグデッドファン機構の効率をみるためでした。ダグデッドファンとは、プロペラのまわりを囲むことで、推力の無駄をなくし、効率よくプロペラの推進力を活かせる構造形態なのです。
 デメリットとして空気抵抗が大きいので高速化には適さないのですが、現在でも低速のホバークラフトなどに活用されています。

GR_SK_Propeller copy.jpg
低速な飛行船には良いのです。 
USN_hovercraft-1 copy.jpg
ホバークラフトにも活用されている技術


 でもこのダグデッドファンそのものを飛行機にしてしまう発想はすごいですね。
実際は、機内のどこにも人や物を積み込むスペースがないことが致命的な欠陥となり実用化にはなりませんでした。しかし、この設計はジェットエンジンの開発への重要なステップともなるのです。

 実際に飛んでいるオドロキ映像はこちら!わざわざ複座にする必要もないと思うのですが「俺にも乗せろ」的な発想なのでしょうか。実用化よりもこういう機体を作ってみようとすることをイタリア人は楽しんでいるみたい。


なぜ複座にした(笑) 

Cap 351.jpg
似てる・・・空飛ぶ豚の蚊取り線香入れ・・・。

  
 さて、一回で終わると思いきや、まだまだ面白い飛行機たちが出てきたので続きます(笑)
continua alla prossima volta!

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コメント 9

desidesi

S-55って、ほんと夢のような形の飛行機ですわ〜♪ (๑◔‿◔๑)
小池繁夫さんの作品集HPも見てみましたが、これは特に印象的でした。
一方、カプロニ・スティパ実験機は「マジかよっ!?」って形ですね(笑)
これからどんなの飛び出してくるか楽しみです〜♪
by desidesi (2015-11-07 19:39) 

johncomeback

イタリア人って、人生を楽しんでるなぁって気がします(^^)
by johncomeback (2015-11-07 19:52) 

アニ

イタリア艦ってどうしても見た目はいいんだけどね〜っていう思いがあります^_^;
by アニ (2015-11-07 20:57) 

Hide

おはようございます。いつもコメント頂き感謝です!
最近は流用が多く反省!睡魔に勝てませんでついつい・・・
by Hide (2015-11-08 00:24) 

ワンモア

★desidesiさま
 S-55、見た目の奇抜さとは裏腹にかなり優秀な飛行機だったみたいです。双発フロートだけが飛んでいる感じで、機能的かもしれませんね^^

★johncomebackさま
 イタリア・・・こんな小話を聞いたことがあります。
「あるイタリア軍の兵士が夜中に目を覚ますと小隊の隊長がどこかに行こうとした。部下の兵士はどこに行くのかと訊ねた。
すると隊長はこう答える。
「俺は国のためには命をかけない。俺は奴隷じゃないからな」
荷物を整えながらその隊長は歯をキラリと光らせ、
「俺が命を賭けるときは惚れた女を守るときだけだ!」
と、笑顔でさわやかに言うと戦線から離脱していった。
部下は引きとめた。
「隊長!待ってください!」
そして振り向いた隊長に部下はこう言った。
「俺も一緒に行きます!」と。
かくして朝になり、他の隊員が目を覚ますと隊員の数は減っていた。
日が経つに連れ、一人減り、二人減り・・・・
そして、イギリス兵と戦う前にその小隊は姿を消した・・・・」
こういうイタリア、憎めませんね。

★アニさま
「イタリア軍はなぜ弱いのか?それは愚問である。
旨い物を食い、好い女と寝る。 これ以上の幸せはあるのだろうか?
人生は謳歌するもんだよ・・・」
なんか本当のことのように思います^^;
by ワンモア (2015-11-08 00:26) 

ワンモア

★Hideさま
入稿、お疲れ様です!^^
納期が絶対ですので似た素材を活用するのは、決して手抜きではありません( ー`дー´)キリッ
と、自分にも言い聞かせつつ(笑)。

by ワンモア (2015-11-08 00:28) 

足立sunny

フライングバレルは、真面目さはともかく、飛んでいるところが超面白いですね。
by 足立sunny (2015-11-08 17:47) 

ロートレー

色々な試みがなされた時代なのでしょうが
イタリアも結構面白い飛行をたくさん作っていたのですね~
by ロートレー (2015-11-09 20:26) 

ワンモア

★足立sunnyさま
こんばんは〜。こういう飛行機、現代ならウケると思うのですが^^;

★ロートレーさま
こんにちは~。計算で導き出すところを、直感やセンスとしか思えないデザインでまとめ上げてくるイタリアって本当に凄いなと関心してしまうのです。
by ワンモア (2015-11-09 21:22) 

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