SSブログ

Me163と秋水


Me163_06.jpg
ツンツルテンになったMe163の下面・・・。

 消えてしまったモールドやバルジ。再現するのも大変なので、どうせなら日本の「秋水」に出来ないかなかと思い立ち、ちょっと検討してみることに。

◆日本でも作られたロケット機「秋水」


 この機体もミリタリー好きの方には有名ですよね。1945年の7月という終戦間際に初飛行したロケット機です。
10289792p.jpg

 Me163BとMe262の資料を積んた伊号潜水艦がシンガポールで撃沈されたものの、空輸でなんとか日本に持ってきた三面図を元に作られたのが「秋水」でした。

 持ってこれたのが、Me163Bの三面図と、ロケット燃料の成分表と取説などの資料のみという状況でよく完成までこぎつけたと思います。
744px-Me-163.svg.png
 簡単な三面図だけなので、当然、桁などの構造は日本の技術者が創意工夫し独自の設計となりました。
 機体の特徴である無尾翼機もすでに同様の機体を数年前から手がけていたり、ロケットエンジンの研究も4年も前からやっていたりしたので、成し得た業でした。単なるコピー機ではないです。
 特筆すべきことは、この「秋水」は、陸軍と海軍が一致協力して開発した機体なのです。
 今更?という感じではありますが、敗戦の危機に及び、セクショナリズムの弊害にようやく気づいたという所なのでしょうか。
 機体の製作は海軍が主導で、エンジンは陸軍が主導で行いました。
 担当は三菱だったのですが、三菱にとって無尾翼機の開発経験もなく、簡単な三面図だけでは翼型も決定できない状態だったので、最初は「無理!」と返答したのですが、研究機関の空技廠の面々が、翼型の割り出しや空力データの算出を出してきたので開発のめどが立ったというエピソードが残っています。ここでもメーカーと研究機関との連携が取れた数少ない例となっています。

Mitsubishi_J8M_Shusui_Sword_Stroke_Komet_J8M-17.jpg
 
 設計資料を入手してから約1年で試験飛行にこぎつけましたが、初飛行ではエンジンが停止。再起動が上手くいかないまま不時着大破してしまい、テストパイロットの犬塚大尉は殉職してしまいます。
 事故の原因は燃料タンクの構造上の問題で1/3しか燃料を積んでいなかったことで、給油が上手くできなくてエンジンストールを起こしたと結論が出ました。
 生産2号機は既に千葉に配備されており、飛行可能な状態でしたが、動力飛行を行うことはなくそのまま終戦を迎えます。

 秋水は、高度一万メートルを飛来するB29に対抗できる機体として望みがかけられていました。
 高々度用の過給器の開発に苦労していたレシプロエンジンの日本の各種迎撃機と異なり、ロケット戦闘機は高々度の希薄な大気に影響されないので、たとえ数分の飛行時間しかなくても、局地的な防衛には充分に有効と考えられていた兵器だったのです。
 エンジンの構造もレシプロエンジンに較べて簡単であるため、生産にも持って来いの機体でした。
1280px-Tokuro_2_(KR-10) copy.jpg
秋水に搭載された、エンジン特呂二号。

 この秋水以外にもMe262の図面を元にして、海軍の「橘花」、陸軍の「火竜」が開発されています。
 橘花はMe262より一回り小さく、小型軽量を図り(完成2機)、火竜は逆にMe262より一回り大きく設計されています(火竜は計画のみ)。 

300px-Kikka_Orange_Blossom_Kikka-10.jpg
「橘花」

◆Me163と秋水の違い

 さて、この「秋水」に改造することはできそうか、まずは図面を比較してみましょう。
 アウトラインはMe163に似ていますが、翼幅が片翼で10cmほど増加しています。
Me163にある発電機用の小さなプロペラが秋水にはなく、さらに無線機を積むために胴体前端が僅かに前に延びています。
 またキャノピーデザインも日本での製造に合わせて変更されています。


Me163Bは、全長5.75m 全幅9.3m 全高2.5m 翼面積は18.5㎡
秋水は、
全長5.95m 全幅9.5m 全高2.7mで翼面積は17.7㎡でほぼ同じですね。
 
翼長20cmの違いは、1/144スケールだと約1.4mmなのでいけるかもとうことで、
さっそく図面を較べてみましょう。

秋水の図面は、ファインモールド製の「1/48試作秋水」の塗装図を拝借

Me163秋水.jpg

うーん、似てはいますが、秋水は、他の日本機と同様、胴体と主翼をつなぐフィレットが大きくて、なだらかなのが特徴ですね。
Me163&秋水_02.jpg
 側面はもっと違いがわかりやすく、風防の形、胴体下部、垂直尾翼の形状に違いが見られます。

 似ているようで、こうして見ると、意外と細かい形状の違いが見られます。特にパネルラインが違いますので、単なるMe163Bのコピー機ではないことが伺えます。
 日本機らしく仕上がっているという感じでしょうか。というか、ある意味別機ですよね。

 Me163Bを改造して「秋水」にするのはかえって大変な作業かもしれません。
 ということで、いずれ発売されることを待って素直にMe163Bで行きましょうかね^^;

Mitsubishi_J8M_Shusui_Sword_Stroke_Komet_J8M-22.jpg



<関連記事>
→購入レビュー【最安情報も】Armoryから1/144のMe163が発売!

→ArmoryのMe163購入レビュー

1/48航空機(リニューアル) FB19 局地戦闘機 試製秋水

新品価格
¥1,836から
(2015/11/25 18:30時点)


1/48 試製 橘花

新品価格
¥1,926から
(2015/11/25 18:30時点)


有人ロケット戦闘機秋水 海軍第312航空隊秋水隊写真史

価格:4,104円
(2015/11/25 18:31時点)


こんな記事もどうぞ

来たよ(34)  コメント(3)  トラックバック(0)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 34

コメント 3

アニ

秋水や橘花もいつか艦これに登場して欲しいですね〜^_^
by アニ (2015-11-25 22:57) 

johncomeback

秋水は聞いた事がありましたが、他にも
ロケット戦闘機があったとは知りませんでした。
もっとも早く完成して空爆を防いでくれたら
名古屋城や岡山城が焼失しなかったかも。
by johncomeback (2015-11-26 10:41) 

ワンモア

★アニさま
 こんにちは~、秋水や橘花は艦これにはまだなのですね^^
出たら絶対人気だと思います(^o^)

★johncomebackさま
 橘花は火竜というジェット機は秋水ほど有名でないかもしれませんね。
 名古屋城、岡山城は残って欲しかったです。大阪城が軍事施設に使用していたので狙われたのでしょうか。

by ワンモア (2015-11-27 11:54) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 1/144ヒコーキ工房 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。