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堀越二郎氏の最初の航空機とは。

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画像は A&Wモデルスの7試艦上戦闘機のパッケージイラストから」

 有名な零戦の設計者として、また今夏公開の宮崎駿アニメ「風立ちぬ」のモデルとしても注目を浴びている堀越二郎氏ですが、この方が最初に手がけた飛行機とはいったいなんという名の飛行機だったのでしょうか。

 それは、日本の航空界にとって大きな技術的革新をした九六式艦戦でも、有名な零戦でもありません。その機体は、実用化になることなく、日本の航空機産業にひっそりと名前のみを残した七試艦上戦闘機と呼ばれるものでした。しかし、それは30歳にも満たない若き設計主任の堀越技師にとっての、苦く、辛いデビューとなりました。


1930年初頭。第一次世界大戦で初登場以来、急激な進歩をとげる航空機産業に対し、ようやく歩み出した日本の航空機産業界は、それまでの外国製戦闘機の輸入、焼き直しからの脱却を図るため、純国産軍用機実用計画を打ち出します。

 この時代は、 複葉機から単葉機へ。布張飛行機から金属製飛行機へ。そして固定脚から引き込み脚への時代へと激しく移り変わり始めた時代です。

 若き精鋭の技術者である堀越二郎氏も、時代の潮流をよみつつ、海軍の要求以上の性能発揮を狙った新技術を盛り込んだ大出力発動機・低翼単葉の機体を提出しました。

一方のライバルの中島飛行機は安全策を取り、陸軍に採用されたばかりの九一式戦闘機を海軍式にそのまま流用し、発動機を強化した機体を提出してきてきました。

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 九一式戦闘機

 九一式戦闘機は、WWIの複葉機、単葉機のデザインの影響を受けた旧態依然としたスタイルですが、これが、当時の世界の主流でもありました。このことからも、当時の堀越技師の気合いの入れ方が違うことがわかります。

 しかし、堀越技師が入社後初めて設計主任となった記念すべきこの機体は、操縦安定性が極度に悪いことで評判がよくありませんでした。そこに追い打ちをかけるかのような試作機の撃落事故です。改良にも関わらず、二度目の撃落事故というという最悪の結果を受け、この気鋭の試作機は不採用となります。

 技術者にとって自分の設計で犠牲者を出すということは、激しい痛恨の念と自責にかられることだと思います。しかし、堀越技師は諦めることなく、技術革新にチャレンジしていくことを続けます。この情熱のある取り組みは、後の九六式艦戦の成功へと結びつき、日本の航空機技術を大いに押し上げ、世界を驚嘆させた「零式艦上戦闘機」へと受け継がれていきます。

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 九試単座戦闘機 (後の九六式艦戦)
「画像は A&Wモデルスの九試単座戦闘機のパッケージイラストから」

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九六式艦上戦闘機(手前)と零戦

戦争中という過酷な環境下で激務の中、堀越技師が手がけた機体は以下の通りです。

●七試艦上戦闘機(試作のみ)

●九試単座戦闘機(後の九六式艦戦)※艦上がとれているのは海軍から艦上戦闘機の要請がなかったため。

●零式艦上戦闘機

●雷電

●烈風(試作のみ)

 空に憧れて航空機の世界に入った堀越二郎氏は、戦争の激動に巻き込まれ、戦闘機のみの開発に専念することになってしまいました。しかし、戦後は YS-11などの開発にも参加しており、日本の航空機技術の発展に大きく貢献されております。コレクションや模型製作では、飛行機が生まれた時代背景や、設計者たちの苦労にも今後も思いをはせていきたいと思います。

 さて、堀越技師が手がけたこれらの航空機ですが、1/144スケールで出ていました。流石、有名技師ですね。

最初の七試艦上戦闘機はレジンキットで見つかりました。メーカーはA&Wモデルス さんです。

こちらにありました。スパッツ(脚カバー)が特徴的です。

七試艦上戦闘機

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→【A&Wモデルス 1/144 七試艦上戦闘機 レジンキット】AW144007を扱っているお店はこちら


九試単座戦闘機

九六式艦戦となった採用する前の九試単戦です。このシリーズはなんと3種類も出ています。

1.九試単座戦闘機 試作1号機 寿5型エンジン搭載機

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 堀越二郎氏の好む逆ガルウイングなどがよく表れていると思います。エンジンがスッキリしていますね。


→【A&Wモデルス 1/144 Ka-14 寿エンジン レジンキット】AW144014を扱っているお店はこちら

 

2.九試単戦 エンジン変更型

 エンジンがごつくなりました。垂直尾翼の部分も空力的に向上させています。実質上の九六艦戦の原型となる機体です。 試作一号機には中島製の『寿』五型が搭載されていたんですが、これは事実上の試作品。様々な欠陥があり、実用品とはなり得ないことが判明、そこでエンジンを換装し、中島『寿』三型、中島『光』一型、三菱試作A-9型などを片っ端から試しました。モデルではまだ逆ガルウイングのようです。

九試艦戦.jpg

 

→【A&Wモデルス 1/144 九試単座戦闘機 Ka-14 レジンキット】AW144004 を扱っているお店はこちら

 

3.キ-18(九試単戦の陸軍向け仕様) 

この機体が好評だったため、海軍だけでなく陸軍向けに試作したキ-18も出ています。結局は不採用で三菱がこの決定に不満を持ち、以降、陸軍に対し消極的になった原因をつくりました。1機のみ作られています。操縦席から尾翼にかけてのシルエットがだいぶ異なりますね。

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→【A&Wモデルス 1/144 試作戦闘機 キ-18 レジンキット】AW144018 を扱っているお店はこちら

 

映画「風立ちぬ」では、若き堀越二郎氏がどのどうな描かれ方をされているのか、そして上記の機体のどれが登場するのか。大いに興味の尽きないところです。

→映画『風立ちぬ』公式サイト

チケットぴあで前売り券も発売中[右斜め下]クリックして「風立ちぬ」で検索すれば前売り券と上映館情報が分かります。

チケットぴあ

 

Cap 227.jpg  九六式艦戦、九試単戦のプラモデル工作の書籍も発売される予定ですね。

【書籍の内容】

 堀越二郎技師の偉業の嚆矢となった九試単戦と九六式艦戦を、プラモデルを製作し模型で追体験する方々のために、ガイドとなる情報を提供します。
 まずプラモデルの買い方から基本的な作り方をレクチャーし、続いて実際に1/72 九六式艦戦のプラモデルを作る様子を逐一追っていきます。
 さらにプラモデルとしては未発売の1/32 九試単戦を、既存の九六式艦戦のプラモデルから改造で作り上げます。
 その他、カラープロファイル、1/72 スケール図面、発売されているプラモデルのカタログなど、知りたい情報を満載しています。

 

→イチから始めるプラモデル 九六式艦戦・九試単戦を作ろう! (書籍)

 <関連記事>

→★堀越二郎の挑戦。七試艦戦から烈風まで カテゴリにまとめました。雷電、烈風など。

→ 零戦の後継機、烈風改の設計図が見つかる!?

→今日はYS-11完成記念日。堀越二郎氏の最後の航空機。

 

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