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Ju87の影に隠れた複葉機の急降下爆撃機Hs123

 今回、製作したフィアットCR.42でしたが、第二次世界大戦下でも使用された戦闘機、戦闘爆撃の複葉機として知られています。
 それ以外にも、有名な複葉機としては、日本の零式水上観測機、赤とんぼ(九三中練、九五式一型練習機)、イギリスのソードフィッシュなどがありますが、実はドイツでも急降下爆撃機として常に最前線で活躍していた複葉機がありました。
 
それが、今回紹介しますHs123です。
 
退役する運命にあった Hs123の意外な大活躍

Cap 351.jpg
Henschel
Hs123(Wikipedia)
 
 戦中のナチス・ドイツは、爆撃といえば”急降下爆撃”ということで、なんでもかんでも急降下させることにご熱心で、四発爆撃機(見た目は双発)のHe177爆撃機でさえも急降下させるつもりでした。
 
 その急降下爆撃信仰ともいうべき、きっかけを作ったのは、もちろんJu87スツーカの大成功に他ならないのですが、その先駆けともなった航空機が、ヘンシェルHs123でした。

 開発は1934年。時代は全金属単葉機が開発され始めている時です(メッサーシュミットBf109も同時期)。ちょっと時代遅れの感はありますが、冒険をしないで質実堅固で設計されています。
 
 とはいえ、複葉機といえども、胴体は全金属のセミモノコック構造。主翼も金属製骨組みですので、いわば近代複葉機といえるものでした。この点、非全金属製軍用機の傑作、イギリスのソードフィッシュとの違いはありますね。
 
 1936年から部隊配置され、本命のJu87が配属されるまでの”つなぎ”として考えられていましたので、1938年の秋には生産が終了しています。推定生産機数は200機にも届かない数だったといいます。

複葉機.jpg
 しかし、第二次世界大戦が勃発したことで、一旦は後方部隊へ回されたHs123も最前線へ駆りだされることに。
 しかし、ここで、以外な活躍が。複葉機という低速性が逆に小回りが効き、少目標への狙い撃ちが非常にしやすいという利点が出てきたのです。もちろん、制空権が自軍にあり味方のカバーありという条件付きですが。

 野球でもあまりに遅いスローボールだとかえって打ちにくいようなものと同じなのでしょうか。ソードフィッシュも、あまりの低速ぶりに、撃墜しようとする戦闘機が失速して逆に墜落してしまうというケースが後をたたなかったといいます。
 
 1939年9月のポーランド侵攻、1940年5月のフランス侵攻作戦において、地上軍支援任務に就いたⅡ/L.G2(第2訓練航空団第Ⅱ地上攻撃飛行隊)の50機足らずの部隊でしたが、目覚ましい活躍を示したことから、本機の地上攻撃機としての存在価値が見直されることになったのです。
 
 なかでも、Hs123の最大の活躍は1941年6月にはじまった対ソビエト侵攻作戦でした。この時には、30機あまりまでに減ったHs123ではありましたが、主力のJu87にも劣らない目覚ましい戦果を挙げて、南部航空軍司令官リヒトホーフェン少将は航空省に生産再開を強く意見を行う程でした。
 しかし、時すでに遅し。工場では生産用の治具などの処分もしており、これは実現しませんでした。

 結局、Hs123は増産されることなく、部隊の再編成などを繰り返しながら徐々に消耗していくことになります。1機、また1機と減りつつ、場合によっては破損した機体を食い合いながら、最後の1機になるまで戦い続けます。
 そして、最後の1機が損失したのが1944年の夏。残した実績からすれば、10倍以上も作られた機体にも見劣りがせず、ドイツ軍用機の中でも最高のコストパフォマンス面を発揮した機体と評されています。
 性能的にはけっして優秀とはいえません、いえ、むしろとっくに退役してもおかしくない老兵ともいえる機体なのですが、使い方を限定すれば現場の兵士たちの頼もしい味方でありました。そして生産されることができず、最後の1機がなくなるまで使い切った航空機。その悲劇性も相まって好きな機体なのです。


諸元(Wikipediaより)
 
ヘンシェルHs123
  • 全長:8.33m
  • 全高:3.20m
  • 全幅:10.50m
  • 自重:1500kg
  • ペイロード:700kg
  • 最高速度:340km/h
  • 巡航速度:315km/h
  • 最大高度:9000m
  • 航続距離:855km
  • エンジン:BMW 132DC 星形空冷9気筒エンジン(880馬力)×1
  • 乗員:1名
  • 武装:MG-17 7.92mm機銃×2、爆弾(450kgまで)もしくは20mm機関砲×2


    貴重な実機の映像はこちら

模型情報 

 活躍のわりに生産機数も少なくマイナーな分類にはいるためか、あまり模型化されていません。
 有名なところで、タミヤ1/48、レベル1/48、イタレリ1/48、エアフィックス1/72といったところでしょうか。
 1/144スケールでは今のところレジンキットのみのようなので、是非、食玩で出して欲しい一機なのです。

 初期のドイツ機のカラー迷彩色って好きなのです。



参考文献『ドイツ空軍爆撃機1935-1945』(文林堂)

関連記事
→第二次大戦を戦い抜いた複葉機、ソードフィッシュ。
→急降下爆撃機について調べてみた。その1

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アニ

Ju87先日艦これで入手しました^_^
by アニ (2014-09-18 01:24) 

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