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個人専用機の話〜シャア専用ザクは飛行機の世界にもあるのか。

 前回のアニメの話とつながりますが、機動戦士ガンダムの中に永遠のライバルといえるシャア・アズナブル大佐の「赤い彗星」こと、「シャア専用ザク」が出てきます。
 通常のザクをカスタマイズして専用機にしたもので、いわば、エースに与えられる特権のようなものですね。

これです。ちなみに私はファースト世代^^;

HG 1/144 MS-06S
シャア専用ザクII
(機動戦士ガンダム THE ORIGIN)

 このシャア・アズナブルですが、これはモデルが実在しています。

Cap 60.jpg

 そう、第一次世界大戦のかの有名な「赤い男爵」レッドバロンこと、マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵です。
 
貴族にして英雄、前人未到の80機撃墜という記録を持ちつつも騎士道精神にあふれた彼のスタイルは敵味方からも尊敬を受けていました。

 正に男の中の理想像、松本零士氏の「キャプテンハーロック」も影響を受けていることが窺い知れます。
 オートバイ販売のレッドバロンとは関係があるのでしょうか?

redbaron.gif 彼の乗機は、真紅に塗装され、非常に目立ちましたが、個人仕様のエース機にはわりともよく見られたものです。
 しかし、シャア専用ザクのように性能をカスタマイズした飛行機はあったのでしょうか。

91ibG28aWwL._SL1500_ copy.jpg
     真紅に染まった複葉機、フォッカーDr.Ⅰ

 
 あるんですね。これが。それが、アドルフ・ガーランド専用Bf109スペシャルです。

高性能の代りに武装が貧弱化したF型

 Bf109Eは、バトル・オブ・ブリテンなど大戦初期の主力機として活躍しましたが、1941年には早くもエンジンを強化して空力的にも洗練される大がかかりな改修を行います。
 それがこれ、Bf109F。改良されたDB601Eエンジンが搭載された機体で大きな性能向上を果たし、中期の主力機となりました。

Bf109E&F.jpg
Bf109E

 しかし、空力的に洗練した代償として、Bf109E→Bf109Fになって翼内の20mm機銃×2門の武装がなくなり、武装が弱化したため、アドルフ・ガーランドから猛抗議を受けます。これがF型論争と呼ばれるもので、重武装派と運動性能重視派と意見がぶつかり合うのです。アドルフ・ガーランドとは、ドイツの航空史ではなくてはならないお方。ゲーリングとぶつかり合うこと数知れず、言いたいことは言う無骨派の人です。
 そこで、重武装派のガーランドをなだめるためかは分かりませんが、時のゲーリング元帥が、じゃあ、F型を重武装にしてあげるわということで造られたのが、F型スペシャルです。

 これは2タイプあり、機首の武装を7.92mm→13mm機銃にしたタイプと、E型同様、
翼内にMGFF/M(20mm機銃)を装備したタイプです。
 正にアドルフ・ガーランド仕様、スペシャルバージョンです。ゲーリング元帥太っ腹。
この機体は、有名でなんとプラモデルにもなっています。

 では、そのスペシャルバージョンのF型ですが、どういう機体かというと、モデルアートに掲載されていますのでご紹介。

 まずは機首の武装強化型

SP_Bf109F_1.jpg


 そして翼内の武装装備型

SP_Bf109F_2.jpg
「モデルアート1979年3月号 メッサーシュミットBf109<B〜F>」より


 機首武装強化型は、後のG型にも通じるものがあります。おそらく後の武装強化型のテストも兼ねていたのではないでしょうか。
 オクタン価は贅沢に100を使用しています。ガーランドだけハイオク仕様車な訳ですね。

 それにしても胴体に描かれたミッキーマウス。敵方のキャラクターを堂々と描くなんて、なんて剛気な人なんでしょう(笑)。

 さて、気になるのはこれらのスペシャル機の成果ですが、この後わずか10機程度を撃墜した時点でガーランドは戦闘機隊総監に命じられ戦闘飛行を中止させられましたから、わずかな活躍で終わりました。うーん、気になるところです。

 タカラの「世界の傑作機2」でもこのガーランドスペシャルがシークレットアイテムとして発売されていました。

 翼内武装型は過去、自分で改造して製作をしてみました。

BF109F-2_01.jpg

 出戻りモデラ−の最初の作品なので、色々とツメが甘いですね・・・・^^;

 さて、現代では
エース専用機というのは存在するのでしょうか?
 現代においてはアメリカ海軍の指令専用機などの一部などを除き、戦闘機はパイロットとの組み合わせを固定されていません。残念ですが、まあ、戦闘機は定期的に整備に入れる必要があるので、自分の愛機が整備中だから出撃できないですとはいかない訳ですね。

 一機、何百億ものコストがかかるようになってきた昨今ですから予備機も持てないですし、致し方ないのかもしれませんね。

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コメント 4

johncomeback

拙ブログへのコメントありがとうございます。
ジンギスカンキャラメルをご存知でしたか。
話のタネに一度買ってもリピートは無いですよね(^^)ニコ
by johncomeback (2015-04-08 09:25) 

ロートレー

映画「ブルーマックス」にリヒトホーフェンと瓜二つの俳優が出ていましたね。別の役柄でしたが、凛々しかったです。
by ロートレー (2015-04-08 17:27) 

ワンモア

★johncomeback さま
 ジンギスカンキャラメル、二度目は確かにないですよね^^;

★ロートレーさま
ブルーマックス、そういえば見逃していました。
私はロバート・レッドフォードの「華麗なるヒコーキ野郎」が大好きなのです。このブログの”ヒコーキ工房”のカタカナ表記もここから来ています^^
by ワンモア (2015-04-08 20:04) 

たくや

レッドバロンはバイク乗りからは赤男爵と呼ばれていますが由来はわかりません。
by たくや (2015-04-09 10:23) 

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