◆ドクターヘリと防災ヘリとの違いは?
関東では先月の大雨災害で防災ヘリが被災者の救助に大活躍しました。全国の政令指定都市や都道府県では消防・防災ヘリを合計68機保有しています。
ドクターヘリと防災ヘリ。どちらも人命救助に携わるのですが、その違いはというと、病院に所属しているかいないか。防災ヘリも近年は救急活動への使用も増加しているのですが、機材が他の任務と兼用であることと、特定の病院に所属していないので、専用のドクターヘリに比べて出動に時間がかかるのです。
ドクターヘリは病院に所属していますし、本格的な専門の機材も搭載しています。医師(フライトドクター)や看護師(フライトナース)もすぐにピックアップできるので駆けつける時間が圧倒的に早いのです。
◆ドクターヘリは夜は飛ばない?
こんな便利なドクターヘリですが、夜間飛行はしていないのです。運用時間はどこも朝の8時頃から日没まで。
「24時間体制じゃないと救急の意味がないじゃない?」という疑問もあろうかと思いますが、これは以下の理由から運用時間が決められています。
・夜間のランデブーポイントへの着陸は電線などの見分けが難しいため危険で時間もかかる。
・夜は交通量が減るので救急車との時間的な差が少なくなる。
・24時間体制は待機も整備も時間がかかる。
まあ、24時間体制になるには、予備機や待機人員が3倍はかかりますので、実際のところ運用は難しいのかなぁ。整備するため予備機も必要ですし。
夜中なら交通量も減るので救急車との時間差も少なくなるのでしょうが。
とはいえ、照明設備が充分なランデブーポイントがあってパイロットたちもOKなら夜間出動も可能だと思います。
◆日本にはどのくらいのドクターヘリがあるの?
日本には全国で45機(1道1府35県)の運用がされていますが、普及が進んでいないのが実情です(ちなみにドイツでは73機配備)。
とはいうものの、スタートしたのが2000年代にはいってからですから、これからですね。
意外と最近なのに驚きでした。
北海道では4機、青森、千葉、静岡、長野、兵庫には2機配備されています。0機の県もまだあります。各県に最低1機は欲しいところではないでしょうか。
日本の人口を考えると最低でも60機はいるのでは?
◆日本のドクターヘリは何故少ない?
民間救急ヘリも参入したり、防災ヘリもドクターヘリ的な運航をさせている自治体も出てきましたが、まだまだ少ないと言われています。
その理由ですが、総額で一箇所あたり年間2億1千万円かかる費用・・・。これは、国から出る運営補助金と同額で、ここから人件費(2千万円ぐらい)を除いた資金が一年間の運営費になります。
とくにかかるのが整備代だそうで。セスナに比べてもヘリは機構が複雑で、飛行時間に対して整備時間が同じぐらいかかるとのこと。
まあ、国内でヘリをチャーターすると安くても1時間あたり20万円以上かかるし、着陸する場所の申請する資料や調査費やら色々とお金がかかる代物なのです・・・。
それでも国が最大9割まで負担するようになったため、徐々に普及が進み始めているようですが。
◆ドクターヘリの今後と課題
実はドクターヘリの歴史は意外と新しく、1995年の阪神・淡路大震災が誕生のきっかけになりました。ですので、法整備や運用に関してはまだまだ課題が多いのが実情なのです。
それでも東日本大震災では全国のドクターヘリが集まり、3ヶ月間に渡って、寸断された幹線道路で搬送できない患者を空中搬送で大活躍しましたから、今後もその重要性が高まることは間違いありません。政府や各自治体には期待したいところです。
またドクターヘリ出動要請が決まれば、あとは早いのですが、手順としてまず救急車が来て、その救急救命士の判断になりますので、実際は到着まで時間がかかるのも事実です。出動要請も航空法などに規定されているので面倒なのです。
そこで、鹿児島県などでは、119番の電話担当者が「あるキーワード」を聞いた時には直ちにドクターヘリの出動を要請できる体制もとっているそうです。
これは15%ほどの無駄な飛行が生じてしまいますが、生死に関わる救急活動ですので決して無駄ではありませんね。
そのキーワードとは例えば「反応がない」「息ができない」などの症状など。直接ヘリの出動ができるなんて良い試みだと思います。
それ以外にも、病院間の連携、同乗する医師の確保、乗員の養成システム、ヘリポートの不足、夜間着陸ができない、ランデブーポイントの確保など、解決しなくてはならないことが多いのです。
◆私たちにできること
さて、ドクターヘリの普及に向けて私たちができることは何でしょう。
理解をしてくれる人々を増やすことも大事ですし、ランデブーポイントまでの搬送や連携などのサポートも重要ですね。
数年前には、山下智久さんと新垣結衣さん主演の「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」というTVドラマや映画化でドクターヘリも注目されましたし、みんなの関心も深まっていると思います。
自治体の積極的な取り組みやランデブーポイントの整備など、私たちにできることもまだまだあると思います。
また非営利法人として、ヘリコプターによる救急医療システムの普及促進を目的として活動している「認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク(通称HEM-Net)」では賛助会員の募集と寄付金を募っています。個人では1口年間3千円とお手頃。寄付には税法上の優遇措置が認められれています。
詳しい内容はこちら
→認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」HP
救える命が増えるならこういう形で応援できるのも良いですね。
◆EC135の模型情報など
さて、ここはヒコーキ関係のブログなので、EC135の模型情報も^^
獨協医科大学病院のHPからはこのドクターヘリのEC-135のペーパークラフトがダウンロードできます。なんと素晴らしい。
また、発売されているエフトイズの「ヘリボーンコレクション6」で、このEC135ドクターヘリの食玩があるので、獨協医科大学病院バージョンに改造の誘惑に駆られます^^;
参考資料
→救急ヘリネットワーク(HEM-Net)
→航空救急(Wikipedia)
→ドクターヘリ(Wikipedia)
→獨協医科大学病院ドクターヘリHP(ペーパークラフトDL先)
→EC-135(Wikipedia)など
→鹿児島ドクターヘリ〜救急医療の手遅れをなくす
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こんばんは!
HもRも、どちらも大変なお仕事です!
これから益々活躍が期待されるヘリですので
倍は必要です、何とかして欲しいですよ!
箱物を造るお金があるんでしたら・・・
by Hide (2015-10-21 23:33)
"H” と"R"があるのは知りませんでした^^;
あと記事とずれますが、マスコミのヘリは災害時に救難活動邪魔しないで欲しいです^^;
by ちょいのり (2015-10-22 01:33)
北海道には4機も配備されているのですね
交通の便が悪いところがたくさんあるので、ドクターヘリのおかげで命を救われた方もたくさんいると思います。
by ロートレー (2015-10-22 17:26)
>仙台がある宮城県が意外
僕も驚きました。自衛隊や自治体、新聞社のヘリが
しょっちゅう飛んでいるんですが、ドクターヘリは
無いんですね。僕自身は車で10分以内に行ける
総合病院が複数あるので不要ですが(-_-;ウーン
by johncomeback (2015-10-22 22:19)
ワンモアさま、おはようございます。
ドクターヘリかっこいいですよね。
一度載ってみたいのですが、仕事の邪魔になるので・・・
ペーパークラフトで我慢しましょうか。
ペーペークラフト楽しいですよね。
今子供と、だんご虫作ってます。
by dumbo (2015-10-23 08:22)
★Hideさま
ドクターヘリで救える命って3割以上みたいです。
もっと増やして欲しいですよね。
★ちょいのりさま
HとRの違いは、着陸に耐えられる構造の違いもあるそうで。マスコミのヘリは邪魔ですよね( ˘•ω•˘ )
★ロートレーさま
北海道は広いからドクターヘリは大活躍できると思います^^
★johncomebackさま
仙台は都会だから逆にヘリよりも救急車が便利なのでしょうか。そういえば東京もないですよね。
★dumboさま
私も一度は搭乗したいのですが、救急患者になるしか今のところ乗るチャンスがないので諦めます^^;
ペーパークラフト楽しいです。dumboさんはご自分でもペーパークラフトを作図なさるのですね。凄いです^^
by ワンモア (2015-10-24 16:52)