本日11月23日は「勤労感謝の日」なのですが、元々は「新嘗祭」(にいなめさい、しんじょうさい)が起源です。この祭りは、天皇が一年間の収穫の成果の五穀の新穀を神さまにお進めし、自らもこれを食して、その年の収穫に感謝する祭典なのです。
個人的に非常に説得力を感じたのは、日本神道の考え方からきた作法ということ。
「神式で「いただきます」は、食べ物としていただく命(動物や植物)への感謝を表すお祈りです。そして、そのお祈りの際には、食べる人と食べられる命を結ぶ神聖なものとしての箸を合掌の手に挟む、というわけです。ですから、神式で合掌の手に箸を挟むという行為には、箸置きがあるとかないとかはまったく関係ありません。食す私たちと、食される命、両者を結ぶ箸「いただきます」のお祈りはこの3者で成り立っている、というのが神式の「いただきます」なんですね。」 これ一番納得!
新嘗祭でも、天皇が神に感謝をする時に、八百万の神と共に食し感謝するという意味で、箸を親指と人差し指に挟み、祝詞を上げるそうですが、そもそもが、これが食事の前の挨拶の由来だそうで。
「歴史的には、箸は古来より人と食物を繋ぐ神聖な物とみなされ、 神式では、神事でも食事の前のお祈りでも、合掌の手に箸を挟むのが正しい作法とされてきました。
これに対して仏式では神式に 対抗してか、箸を挟まないことも多かったようです。
全体としては、箸を挟む作法が広く浸透していたようで、特に明治以降敗戦 までは、学校教育の場でも箸を挟むように文科省が指導していました。」
やまと大学学長三枝龍生FaceBookより
明治政府から国家神道式になったなら、箸の持ち方が神式になった可能性が高いです。ただ、仏式も持たないのが作法であったため、どちらも使われていたのかもしれません。
これが本当なら、NHKで放送されている箸をもっての「いただきます」の作法はこれから来ているのかもしれませんね。
戦後は、先ほどの新嘗祭のように国家神道の禁止により巻き添えで学校教育の場から消え去ったので「断じてそんな作法がない」「見たことも聞いたこともない」という方々は、戦後世代の方なのかも。マナーの問題ではなく政治的理由からなのかもです。
「どこにも書いてないから間違ったマナーなのだ」とするのは早合点かもしれませんね。
「早く食べたいという感じで卑しく見える」というのも、箸は神聖なものとして、本来の意味を知っている人が行えば違ってみえるのではないかなと思えるのです。
自分の「箸を挟んでいただきます」を言うルーツは神道にあったのか〜と納得したところで実家の親に話したところ、「そんなことは教えていない。うちはいただきますは言うけど合掌はしない。また幼稚園は仏教系なのでそんな作法ではない」との事(笑)えっ?じゃあ、自分は何処で習ったの?謎は更に深まりました^^;
◆地域によって違う「いただきます」
さらに驚いたのは「いただきます」の作法は全国で違いがあることでした。
アンケートの選択肢は以下の4つ。
(1)合掌して「いただきます」と言う
(2)「いただきます」と言うが合掌しない
(3)合掌するが「いただきます」は言わない
(4)どちらもしない
Jタウンネットのアンケート結果では、「手を合わせて「いただきます」をする?」いう問いに対して以下の結果が。
全国的には、なんらかの形で「いただきます」を言う割合が93.8%も。「え〜!そんなに多いか?」という感じがしないでもないですが、職場や外食ではなんとなく恥ずかしくやらないで、家でするという人が多いのかもしれませんね。
うちの子どもたちに聞いても、みんなやらないのに一人で改まって「いただきます」というのは恥ずかしいのでしないとも。およよ^^;
色々突っ込んで根掘り葉掘り聞いてみると、こういうことでした。
家にお呼ばれして、作ってくれた友だちのお母さんが目の前にいれば、「いただきます」というし、友だちなどと一緒だと、食べるタイミングをつかむ意味で「いただきまーす」と言うとのこと。逆に誰もいないで一人で食べる時や、ファミレスなどで、つくった人の姿が見えない時は「いただきます」とは言わない。あぁ、なるほど、結構使い分けているのね・・・。
自分は逆に「いただきます」とか「ごちそうさま」をしないとなんとなく落ち着かないので吉野家のカウンターでもさっと合掌して「いただきます」とつぶやいて食します^^;
たまに視線は感じますが・・・・。
西と東で大きな違いが見られますね。驚きは、愛媛県。合掌もしないし、「いただきます」もしないが投票率100%です。
仏教の浄土宗・浄土真宗の多い地域では宗教的作法としてあるらしいので、それが影響しているのかもしれないとのことです。
そもそも日本人が「いただきます」をするようになったのは、せいぜい大正〜昭和初期のことで、一般化されたのは戦後に入ってからの話という説もあるようです。
教育現場の取り組みの違いなどが現れているのかもしれませんね。
面白いなぁと思ったのは、自衛隊。昭和43年頃の陸上自衛隊においては「食事はじめ!」であり、海上自衛隊では「かかれ!」との号令を合図に、食べる方は「うぉーっ!」と食べていた。いただきますと言ったおぼえは無い (`ω´)キリッ」とは、元自衛官の発言 ^^; 「うぉー!」はないでしょう。
◆合掌は宗教的行為なの?
そもそも合掌するということは宗教的な感じがするのでなんとなく抵抗があるという方もいらっしゃいます。
しかし「ボディートーク 世界の身ぶり辞典」(デズモンド・モリス著)によれば、手のひらを合わせるという行為は、祈り、挨拶、感謝、謝罪の4つの意味があるそうです。
祈りは、手を天に向けるということで世界中であるそうですし、挨拶はタイやチベットなどの仏教国ではよくありますね。感謝も分かるような気がします。謝罪は日本ではしょっちゅう(笑)。
そう考えると自分は謝罪と感謝がいつもごっちゃで手を合わせてばっかりだな(笑)
そういえば、数十年前の記事に、「合掌して「いただきます」を言うのは仏教の礼拝形式なので公立学校で強制するのは憲法違反だ」と親が学校を訴えたことがあったそうです。
取り上げたのは朝日新聞。1986年の7月の富山のとある公立中学校で論争になり、その結果、合掌するのを止めたことから、富山県全域の小中高学校まで論争が広がり、同様に合掌を止める学校が相次ぎました。
元々富山県は浄土真宗の影響が強い地域なので、仏教的作法が習慣化していたと思われますが、合掌を習俗としてみるか仏教儀礼として見るかはそれぞれだということで、最終的には各学校の判断に任せることになったようです。この問題は賛否両論に分かれました。
また、よく聞く話で「とある学校で、ちゃんと給食費を払っているのに「いただきます」を言わせるとは何事だと親が怒鳴りこんできて。それに対して学校側が屈して笛の合図で食べるようになった」という話がありますが、これ、「永六輔の誰かとどこかで」という番組でも放送された内容で、元ネタはまたもや朝日新聞の「声」欄。
結構拡散されているのですが、本当かなぁ???と思います。「うちの学校がまさにそうだ」という声がその後一切聞かれないので、朝日新聞でよくある投書の創作作品か、又聞きの噂系かなと疑っているのですが。
まあ、「いただきます」を言う対象は「作ってくれた人」「農家や畜産家の人」「給仕してくれる人」「自然界」「神さま仏さま」などが対象だと思うのですが、信仰というものがなくなり、神仏が抜け落ち、人だけが対象になるとお金を払う対価として給食を食べるのは当然であるという意識にはなるのかもしれませんね。
◆感謝の行為が作法に出る
ただ、信仰するにせよしないにせよ、「いただきます」と言いながら合掌するのは、生きとし生けるものをいただいているということに対する、ごく自然な感謝の現れの行為だと思うのです。
人間が人間として生きていくために は、他の生き物を殺生し、それをいただいて生活しています。
「「いただきます」には、あなたの命を私の命に変えさせて「いただきます」〜という意味があるとも聞いたことがあります。
ともあれ、感謝の対象とか、色んな解釈も理屈もあると思いますし、人それぞれなので強制はしてはいけないと思いますが、食べられることを当然の権利と思って食べる人と、何かに感謝していただく人(作ってくれた人であれ、お百姓さんであれ、自然界であれ、はたまた神さまであれ)、どちらが「人生を幸せに生きられるか」と考えた時、おのずと答えが出るのではないかなと思えるのです。
私たち人間は、万物の長と勝手に称して、自然に対して少し傲慢になっているかもしれませんね。自分たちの利便のために環境破壊をしていると、いつか自然から手痛い仕打ちを受けるかもしれません・・・。最近は特にそう思います( ˘•ω•˘ )
個人的には、周りを気にしないで、きちんと手を合わせて「いただきます」「ごちそうさまでした」を言う女性ってすごくステキだと思います。はい。
「女性が一番美しく見えるのは祈りを捧げている姿だ」とは誰の言葉だったでしょう。すごく印象に残っています。私は作法が綺麗で、食事をしている姿に惚れてしまいます(笑)
脱線しましたが、「勤労感謝の日」の本来の意味も込めて、今日はいつもより心を込めて「いただきます」をしたいと思います^^
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我が家は言葉だけだな~
その前につまみ食いしている奴がいますが(笑)
by たくや (2015-11-23 11:27)
新嘗祭は日本版ハロウィンって所でしょうか
お弁当はいまいちでした(^^)
by ma2ma2 (2015-11-23 12:18)
合掌無しで「いただきます」と言います。
神様ではなく、カミサンに感謝です(^-^)
by johncomeback (2015-11-23 13:08)
こんばんは
私のちょっとした疑問がこんなにも大きな話になるとは!
合掌しないでいただきますという風習があることにびっくりしました。ちょっとやってみましたが、どうも手持ち無沙汰で私には出来ないな~と思います^^
by アニ (2015-11-23 17:42)
>写真
はい 偶然 撮れた写真です 自分でも驚きました
>ごちそうさまでした
会社の食堂のおばちゃん 否 おねェさまがたに 私 言いますよ☆
>白米
今 絶っています とりあえず 12月の検査まで・・・
by タイド☆マン (2015-11-23 17:52)
★たくや さま
我が家も特にしつけている訳ではないので、言葉だけで「いただきまーす」という感じです。
本来は食事中も喋ったりTVを見るものダメだったんですね^^;
★ma2ma2さま
収穫祭なので意味は同じですよね^^ でも日本の方が厳かなのは風土の違いなのでしょうか。
お弁当、そうですか・・・(笑)
★Johncomebackさま
どちらもありがたい存在です(笑)。そしてたまに怒ると恐いですよね^^;
★アニさま
こんばんは〜、面白くなって色々と調べてしまいました。ネタをご提供くださりありがとうございます。
東北地方は合掌しないのは、宗派の違いなどもあるのかもしれませんね。陸奥や出羽の国は浄土真宗の影響は他国よりも少なかったようですし。
★タイド☆マンさま
おぉ、それは素晴らしい。きっと食堂のおばちゃん、いや、お姉さん方には好意を持たれていると思いますよ^^
食後の後払いのお店だと「ごちそうさま」と声をかけやすいのですが、松屋とかだと、店員が厨房の中に引っ込んでいるので、声かけずらいんですよね。
店員が気づいてくれない場合もあって、その場合、黙って店を出るのもなんか変な感じだし^^;
by ワンモア (2015-11-23 21:06)
>黙って店を出る
分かります 分かります その場面 経験あります☆
あのマスクは
宅配で届いた箱の
全面に印刷がしてありまして
そのまま捨てるのは勿体無いので
3連休の最後の日 3時間掛けて作りました (大笑)
by タイド☆マン (2015-11-23 22:06)
by タイド☆マン (2015-11-23 22:07)
食事の作法に地域色があることは言われてみればなるほどと思いますが、考えもしませんでした。
我が家は手は合わせず言葉だけです。
とかく食事のできることに「感謝」の心を忘れがちな今日このごろ、改めて考えさせられました。
by 駅員3 (2015-11-24 07:50)
★駅員3さま
こんにちは~。作法に地域色があるのは当然といえば当然なのかもしれませんが、言われてみないと考えないですよね^^
作法の違いで人間関係にヒビが入るのは残念ですので、
寛容性が必要に思います。大事なのはハート(^o^)
by ワンモア (2015-11-24 16:43)
我が家は、「いただきます」「ごちそうさま」は言いますが
合掌はしません。
私は、食事作りはさっぱりだめなので
どちらかというと、作ってくれている人に感謝して言ってるような気がします。
美味しかったときは「うまかった~」と言うようにしています。
また同じものが出てくるのを期待して(笑い)
by ロートレー (2015-11-24 20:46)
うちは合掌しませんでしたが、
大人になって個人的に合掌といただきますを言うようになりました^^
旅先だとよりいっそう食事いただけることへの感謝が増すのか自然にそうなっちゃった感じです^^
by ちょいのり (2015-11-25 01:23)
★ロートレー さま
つくってくれた人がいると、その人を対象にまず言いますよね。私もそうです^^
★ちょいのりさま
そうなんですよね。大人になってからの方がちゃんとやるようになった感じがします^^
外では食事を出された時に「つくっていただいてすみません〜」と合掌して挨拶するようになって自然と身についたかも(笑)
by ワンモア (2015-11-25 12:31)