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最近トレンドのウイングレットについて〜翼端渦と翼型の話その2

 前回の記事では、翼端渦の発生原因や、それがきっかけで起きた事件、対策などを記事にしましたが、今回はその続きを。

 と、その前に。オバマ大統領、広島に来ましたね。歴史的な一幕を見ることができました。空港は、各国の政府専用機が集結していて圧巻でしたね^^ アメリカ政府専用ヘリも見れてなかなか楽しめました。

313bpw2POyL.jpg
エアフォースワン


産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/photos/160527/plt1605270026-p1.html

 そんななか、大韓航空機が羽田でやらかしました。アシアナ航空に続いての事故、韓国の最近の事故率半端ないんじゃないですか。

大韓航空機のエンジン部分から出火 羽田空港
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160527/k10010537171000.html

これにより羽田の滑走路が閉鎖され、広島への式典に参加できなくなった議員も出たとか。

このタイミングで。嫌がらせか( ˘•ω•˘ )
では、気を取り直して。


◆T-33やF-104にみる翼端の処理の仕方

 翼端に生じる渦の発生ですが、一番手っ取り早いのは遮断板を貼ることです^^;
 要は、下からの気流が上に上がってこないように遮断しちゃえということですね。

Cap 45.jpg
1930年代ころから考えられていました。


 こんな感じ。これは「翼端板」といい、昔から考えられていました。
 ちなみにここの翼端に外装タンクを取付けたものもあります。

Lockheed_XF-104_(SN_53-7786)_in_flight_060928-F-1234S-003 copy.jpg
F-104 画像の翼端についているのは燃料タンクです。

T-33A copy.jpg
自衛隊でも長年使われていたT-33

これも翼端板と同じ効果が得られます。ただ、翼端にこのようなものがあると、運動性が落ちるので、練習機を除いてはあまり採用されていません。


◆捻じり下げ(Washout)による対策

 翼端失速を防ぐ、外見にさほど影響を与えない方法が「捻じり(ねじり)下げ」と言われるものです。翼の取り付け角が、付け根から翼端に行くにしたがって浅くなってゆく形状のことで、あたかも翼がひねり曲げられ、翼端前縁が下がっているように見えることからこう呼ばれています。

 要は翼の端に行くに従って、気流に対する角度を減らしていけば翼端から失速は起こらないようになるということです。

Cap 47.jpg

 デフォルメするとこんな感じ。実際の角度は2度とか3度とか小さいものなので、見た目には分かりません。

 映画「永遠のゼロ」や「風立ちぬ」で零戦が注目された時に、盛んに零戦の高性能の秘密ということで、この捩り下げが紹介されていた記憶があります。
 空中戦の最中に翼端失速を起こすと、その付近にある補助翼(エルロン)が効かなくなり、安定性が悪くなります。この失速を防ぐために、翼端付近の迎え角を抑えるのです(失速は迎え角が大きくなると発生しやすいため)。
 このねじり下げ翼は、九六式艦戦から導入されている技術でした。

zero&96.jpg
九六式艦戦と零式艦上戦闘機


 ラジコンなどの模型飛行機を飛ばす時にこのねじり下げもよく使われていますね^^
翼端失速が起こると、
揚力が左右非対称となるため急激にロールして操縦不能になりるそうで。


◆ウイングレットの実用化とその派生型

 この翼端渦は、飛行する際の抵抗ともなるので、燃料もその分消費してしまいます。飛行機にとっては、プラスになる要素はまったくないので、なるべく抑えたいというのが、設計者の悩みどころ。

 最近では、燃費を抑えるために、ウイングレットなるものを先端に取り付けるようになりました。

Cap 46.jpg
先端渦をまったく無くすことはできませんが、かなりの効果があります。

 翼端からなめらかに連続したスタイルのものは「ブレンデッド・ウイングレット」よ呼ばれています。
1280px-DSC_8030-F-WZGG_-_MSN_003_(10512622646) copy.jpg
エアバス社では「シャークレット」とも呼ばれています。

 このウイングレットを付けることで、約2〜3%の燃費改善につながるそうで。取付コストと運行距離との兼ね合いで、取り付けたり、外したりとのこと。

 最新のウイングレットは、シミタール・ウイングレットと言われているもので、従来のブレンデッド・ウイングレットより更に2%の燃費の向上があるとのこと。
 

1920px-B737-800_Split_Winglet_WP_20141110_001 copy.jpg
先端が枝分かれしているようなデザインですね。
ユナイテッド航空で2年ほど前から装備されています。

最近はエアレース機にも装備されるようになってきました。
ウイングレット.jpg

 昔から技術者たちを悩ましていた航空機の失速現象。翼端渦や後方乱気流の対策も進み、航空機の技術もまだまだ進歩していきます。今後が楽しみですね。

Cap 38.jpg
乱気流を地上からも監視する体制も整ってきました
 
 
 より快適で安全な空の旅を目指して欲しいと思います。人為的な単純ミスは止めてくださいね。

JAL_Express_Boeing737-800-JA313J-'s_winglet copy.jpg
 
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bpd1teikichi_satoh

アメリカの政府専用機エアーフォースワンと政府専用ヘリコプターの塗装の色が印象的でした!エアーフォースワンは空軍の所属で有る事は分かるのですが、ヘリの方は深緑色なので、ひょっとして陸軍の所属なのですか?
by bpd1teikichi_satoh (2016-05-28 16:24) 

Hide

今後は凄いカッコいい翼になって来ますね!
大韓航空機が羽田でやらかした・・・この国異常で怖くなりますよ・・・こうしたトラブルは今までみたことがない、と話していますが・・・心配です。
by Hide (2016-05-28 17:00) 

タイド☆マン

エアフォースワン って
大統領が搭乗している機体のコールサインなんですよね 
副大統領が乗っている場合はエアフォースツーと呼ぶとか

エアフォースワンは空軍機の場合ですし
大統領の警備を担当する海兵隊の大統領専用の
へリコプターに乗っている場合はマリーンワンと呼ばれるそうです
by タイド☆マン (2016-05-28 19:09) 

タイド☆マン

F-104 T-33も プラモ作りましたね ~ ☆
残念ながら エビス 飲んだコト無いんですよ


by タイド☆マン (2016-05-28 19:17) 

ワンモア

★ bpd1teikichi_satohさま
 下のコメントでタイドマンさんが、回答してくださっていますが、海兵隊所属でマリーンワンと呼ばれるそうです。
 2機着陸していましたね^^

★Hideさま
 ちょっと未来的ですよね^^ 
 ヒヤリハットの法則からみても、大韓航空もアシアナ航空も根本的な部分で改善しないと、今にもっとまずいことになると思います。特にアシアナ航空。

★タイド☆マンさま
 マリーンワンなのですね。これは勉強になりました。

by ワンモア (2016-05-28 20:36) 

johncomeback

へぇ~、F-104の翼端って燃料タンクなんですか(´c_` )ホー
by johncomeback (2016-05-28 20:48) 

ワンモア

★johncomebackさま
 こんばんは〜チップタンクと呼ばれていますが、その後は運動性が落ちるということで戦闘機には採用されてないようですね。T-33は好きなのです^^
by ワンモア (2016-05-28 21:42) 

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