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デアゴスティーニの37号はフランスのドボワチンD.520


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知っている人いるかなぁ

◆フランス最良機のドボワチンD.520

 6月27日発売予定のデアゴスティーニ第37号はフランスの戦闘機、ドボワチンD.520(
Dewoitine D.520)です。うーん、マイナーですね。知っている人いるかなぁ。
 フランスは第二次世界大戦が始まると早期に降参してしまいましたので、軍用機は他国に比べると非常に少ないです。
 戦闘機といえば、モラール・ソルニエM.S.406。こちらの方がまだ知られているかもしれませんね。
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ちょっと野暮ったいM.S406

 M.S406の初飛行は1935年8月とドイツのメッサーシュミットBf109とそう変わりません。が、いかんせんエンジンの非力さと機関砲の信頼性がなく、1940年のドイツのフランス侵攻作戦においては旧式化と劣勢は止む得ないものがありました。
Dewoitine_D.520.svg.jpg
 そこで、M.S406の後継機として注目されていたのがこのD.520です。初飛行は1938年10月。量産開始は1939年。部隊で使用され始めたのは1940年5月半ばなので、戦争に間に合ったとたんに休戦(事実上の降伏)という感じですね。

 D.520は、Bf 109より低速で馬力も劣っていましたが、操縦性では優れていたとのこと。また、頑丈で扱いやすくバランスのとれた機体でもあったため、実戦部隊では好評でした。


 ナチス・ドイツ軍の侵攻は5月10日に始まります。ドイツ軍は持てる軍用機の90%近い3,500機を作戦に投入させますが、これに対抗できるフランス軍は750機程度でしたので物量的には明らかに劣勢でした。
 実戦に投入できたD.520ははじめが36機。合計でも79機程度しか投入できませんでした。それでもBf109の撃墜を含む数十機の戦果を上げています。
 なかでも、
ピエール・ル・グローンはイタリア機を一度の飛行で5機撃墜するという活躍を見せます。今回のデアゴスティーニは彼の乗機になります。

ドボワチーヌD.520スペック     

全長:8.76m     全幅:10.18m     全高:2.56m    
全備重量:2,780kg    
エンジン:イスパノ・スイザ12Y-45液冷V型12気筒910hp×1    
最大速度:529km/h     上限高度:11,000m    
航続距離:998km    
武装          MAC 1934 7.5 mm機銃×4        
イスパノ・スイザ HS.404 20mm機関砲×1(モーターカノン)     
乗員:1名

Dewoitine D.520.jpg

◆流浪する
ドボワチン
 
 
さて、佐貫亦男氏著作の『続・ヒコーキの心』によると、このドボワチンは数奇な運命をたどることになります(著作では「Dewoitine =ドボワチーヌ」)。
 フランスがあっという間に占領され、休戦となって親独的なビシー政府になったおかげで、フランスのパイロットたちは引き続きフランスの防空任務に就くことになりますが、こんどの敵はドイツではなく、フランスにいるドイツ軍を攻めるイギリス空軍になってしまいます。これにはパイロットたちも当惑したことが容易に想像できます。昨日の友に対して今度は攻撃をかける任務だから。  

 ただし、これも短い期間でした。米英軍が北アフリカに上陸してくると、ドイツ軍は任せる余裕が無くなってきて、ビシー政府を解体し、全機材を没収します。D.520はこの時に250機ほどあったのですが、150機ほどの半完成品も納入させ、ドイツ空軍用の練習機として、更にイタリア、ルーマニア、ブルガリアなどの同盟国へ分配させます。
 このために、ドボワチンの工場は連合軍から激しい爆撃を受けることになってしまいます。
 流浪するドボワチンがようやく自国のフランス空軍に戻れたのは、ノルマンディー上陸作戦で南西フランスが解放された後の1944年12月のことでした。
 フランス空軍が再編成され、ドボワチンD.520はこの空軍の装備機に戻ってきたのです。

◆発売予定は6月27日
D.520.jpg

 フランス空軍 第6戦闘航空団第3戦闘航空群/第5飛行隊 ピエール・ル・グローン機を再現

 18機撃墜のフランスのエース、
ピエール・ル・グローン中尉(1913〜1943)の乗機バージョンです。彼もまたドボワチンD.520と同じく数奇な運命のなかにおかれ、4機のドイツ機、7機のイタリア機、そして7機のイギリス機を撃墜しています。枢軸国機も連合国機も両方撃墜しているって・・・。彼の最後の乗機はアメリカのP-39エアコブラでした。
 
※通販最安店の駿河屋さんでも中古品で「デアゴスティーニ第二次世界大戦傑作機コレクション」を扱いはじめています。掘出物があるかもしれませんよ♪要チェックです。
 価格帯は1,100〜1,400円(税込)くらいです。

駿河屋【中古】デアゴスティーニ 送料1,300円以上は無料
   
20号「彗星」 10号「流星」 17号「烈風」



<ちょっと模型情報も>

 M.S406と共にフランスを代表する戦闘機ですので、ハセガワからこんなキットも発売されています。
 調べていくうちに段々興味が湧いてきて欲しくなりますね(笑)



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コメント 6

ロートレー

レーサー風の風防の位置や、細やかな曲線で古いフランス車のような味のある戦闘機ですね~
でも色男は喧嘩には弱かったのかね~^^
by ロートレー (2017-06-02 05:32) 

tsumi

人形がついているプラモデルもあるんですね!
なんか、人が一緒に飾られているとストーリー性を感じます^^
いろいろな想像をして楽しめそうでいいですね!
by tsumi (2017-06-02 13:31) 

caveruna

日曜日は、めずらしく旦那がいないので、
テレビの前でエアレース♪
by caveruna (2017-06-02 14:24) 

Hide

こんにちは〜先程まで強風でしたが今止んだ様です!
ドボワチン?珍種ですね?良く聞く名前はメッサーシュミット位かな〜
by Hide (2017-06-02 15:11) 

johncomeback

フランスの戦闘機って全くイメージがありませんでした。
枢軸国と連合国両方の戦闘機を撃墜ってビックリです。
by johncomeback (2017-06-02 16:58) 

ワンモア

☆ロートレー さま
 これはこれで、個人的には好きなんですけど、いかんせん国が弱かった><
 フランスが弱くなったには、逆に今まで強過ぎたのを貴族化させて弱めすぎたからという説が面白いです。

☆tsumi さま
 ジオラマにも手を出したいんですが、ここのところ制作が全然できてません><
 
☆caveruna さま
 エアレース、良いですね(^^) 

☆Hide さま
 ドボワチン、個人的にはドボワチーヌ読みの方がフランスぽくっていいなと思います。

☆johncomeback さま
 フランスはあっという間に降伏(一応休戦)されたので、ドイツに従うざる負えなかったこともあって両方の軍用機と戦ったんですね。数奇な運命だったと思います。

 
by ワンモア (2017-06-02 20:05) 

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