古来から囁かれていた、「もう一人の自分」に遭遇してしまう話。この不気味な幻影は、不吉な前触れの知らせであることが多く、小説や戯曲の題材にも取り上げられています。
有名な歴史上の人物でもこのようなエピソードが残されています。
リンカーン大統領
アメリカの16代目の大統領リンカーン(1809〜1865)は、鏡の中の青ざめている自分をよく見ていたとされています。
初めての選挙のある夜のこと、リンカーンはソファで休んでいたのですが、たまたま鏡をのぞくと、そこには自分そっくりの顔がふたつ映っていて、そのもうひとりのリンカーンは青白く幽霊のようで、鏡の中からリンカーンをじっと見ていました。
驚いてソファから起き上がると、その分身は消えたのですが、座るとまた現れます。
まるで死者のような風貌は、生き延びることができないという意味のような気がして、妻のメアリは悪い兆候だと恐れました。
また、リンカーンは、暗殺される数日前に、自分の葬式を見たと妻や部下たちに語っていた話も残されています。夢の中ですすり泣く声に目覚めたリンカーンは部屋に棺が置かれていて人だかりができているのを見ます。リンカーンが不思議に思い、聞いてみると 「大統領が亡くなったのです。」 という答えが。彼は自分自身の葬式に立ち会った夢を見たのでした。
そしてその夢は数日後に現実のものとなるのでした。
一方でドッペルゲンガーを医学的に解明しようという試みもあります。
これは心理学・精神医学では「オートスコピー」(Autoscopy)と呼ばれ、昔から研究の対象になっています。
今までの例から見てもドッペルゲンガーを見た人たちは、大きな悩み、ストレスを抱えていた時期に見ていることが多いです。精神の病としての一つとしての症状ということですね。
また、脳腫瘍が原因とする分析もあります。脳の側頭葉と頭頂葉の境界に脳腫瘍ができた患者が見るケースが多いそうです。この脳の領域は、ボディイメージを司ると考えられており、そこの機能が損なわれると、あたかも肉体とは別の「もう一人の自分」が存在するかのように錯覚することがあると言われています(「wikipedia〜ドッペルゲンガー」より)。
脳腫瘍が原因だとすると、ドッペルゲンガーを見た人はその後死んでしまうというのは分かる気がします。要はドッペルゲンガーを見たから死んでしまうのではなく、死んでしまう危険な病状がドッペルゲンガーを見せてしまうということですね。
これらの「ドッペルゲンガー=病気説」なら、分身を目にした人の死期が近いということを簡単に説明できます。「ドッペルゲンガーを見たらまず脳外科へ行け」ということはお薦めできるかもしれません。
しかし、それが本人の脳が原因とされていても、第三者に目撃されている事例が多いのはどう解明できるのでしょうか。
ドッペルゲンガーは、本人からかなり離れた所(しかし、本人とは縁がある場所)で、第三者に目撃されているケースも非常に多いのです。
有名なフランス人のエミリー・サジェの例を紹介します。
1845年、当時32歳のサジェは、ラトビアのリヴォニアにある名門校に教師として赴任しました。間もなく生徒たちが「サジェ先生が2人いるように見える」と言い出します。
教師たちは生徒の空想として取り合わなかったものの、10人以上の生徒がそう言い出したため、集団幻覚か、それとも本当にサジェが2人いるのかと驚くことになります。
生徒たちの証言によれば、
・サジェが黒板に字を書いていると、分身が現れ、黒板に書く仕草をしていた。
・ある生徒がサジェと並んで鏡の前に立つと、鏡にはサジェが2人映っており、生徒は恐怖のあまり卒倒した。
・食事中のサジェのそばで分身が食事の仕草をしている光景を目の当たりにした。
・生徒たちのいる教室にサジェがおり、すぐ窓の外の花壇にもサジェがいた。
この最後の証言では42人もの生徒が目撃しており、勇気のある生徒が、どちらが本物のサジェかと、室内のサジェに触れたところ、柔らかい布のようでまるで手ごたえがなかったそうです。このとき、花壇にいる本物と思われるサジェはぼんやりとした様子だったとのこと。
やがて室内のサジェが消え、花壇のサジェは普段通り動き始めたため、花壇のほうがサジェ本人だとわかったといます。
このような分身の事件は、1年以上にもわたって続き、生徒たちの噂話に困惑した学校の理事たちは、サジェを問いただしたが、サジェ自身には分身の自覚がなく、学校側同様に本人もこの現象に悩みました。
多くの生徒はこの分身の現象をむしろ面白がっていたものの、彼らの父兄は決してそうではなく、このような奇妙な教師のいない別の学校へ転校させる親が続出することになります。
サジェは教師としては優秀だったのですが、学校側はこの事態を軽視できず、やむなくサジェを解雇することに。
その後もサジェの赴任先では同じことが起き、20回近くも職場を転々とした挙句、とうとう赴任先がなくなったサジェは、義妹のもとへ身を寄せたのですが、そこでも分身は現れ、子供たちが「おばさんが2人いる」と面白がっていたといいます。
(Wikipedia〜Émilie Sagéeより)
分身が現れている間、本人はボーっとしている・・・ここになにか秘密が隠されているのいかもしれません。生霊の物質化現象ともいうのでしょうか。特異体質では済まされない超常現象の一つなのかもしれません。
また、多くの事例では、ドッペルゲンガーが現れた後、本人は間もなく死んでしまうことから、死期が近い人は、肉体から出たり入ったりしているという可能性もあるかもしれませんね。
生霊は幽霊よりもはっきりと見えやすいという話もありますので、それが目撃されているのかもしれません。
いずれにせよ、事例が多いのには驚かされます。
さて、そろそろお盆の時期でもありますので、毎年恒例の怪談・奇譚特集を今年も行います(^^)。色々と仕込みをしております。私の実話体験談も(;^ω^) 。
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脳腫瘍が原因なら他人には見えないですよね。
現代科学では解明できない事がまだまだ有るんですね。
怪談・奇譚特集が楽しみです(^^)
by johncomeback (2017-07-25 16:38)
なんとも不思議な・・・
昔、Carveっていうイギリスのバンドが、「Doppelganger」っていう
アルバム出して売れました。
よく聴いてたもんで、思い出しちゃいました。
すんまそん、あまり関係ない話で・・・。
by caveruna (2017-07-25 16:54)
ドッペルゲンガーとはだいぶ話が違ってしまいますが、7年前にアパートの2Fから1Fに移りましたところ、夜横になって目を閉じますと目の前に知らない人の顔が入れ替わり数人現れるように。目を開けるとしばらくして消えます。毎晩のように別人が現れるのですが、途中3ケ月入院していた時は現れず。
今年2月に(解体するというので)アパートを移りましたところ、新居では、夜目を閉じても全く誰も現れなくなりました。
何かの都合で、前居の1F部屋は霊の集まる場所になっていたのかもと思う次第です。
by 足立sunny (2017-07-25 17:09)
これもドッペル~とは違うんでしょうが、アメリカのモニュメントヴァレー近くのホテルに泊まってるときに金縛り&幽体離脱のような体験して、気がついたらベッドに寝てる自分を天井から見てました~
翌朝地元の人に聞くと、ここはインディアンが白人に大虐殺されてる土地で、東洋人が泊まると時々・・・~
みたいなこと言われました。
by Cedar (2017-07-25 19:47)
世界には自分に似た人が数人いるとか聞きますが
自分そっくりの人に会ったらびっくりですね。
もし未来の自分なら話をしてみたいです。
by いっぷく (2017-07-25 20:53)
私、一応医師ですが、
突然の死に恐怖なし。
真の恐怖、真の地獄は生きている
人間にのみに成せるもの。
by yukio (2017-07-25 21:17)
☆johncomebackさま
おはようございます。今年もお盆あたりに企画しております(^^)
☆caverunaさま
西洋はドッペルゲンガーの話が多いので曲も出ているんでしょうね。探したら映画のタイトルにもありました。
☆足立sunnyさま
こ、これは貴重なお話しをありがとうございます。怪異収集の趣味もありますので、とても嬉しいです(^^)
☆Cedarさま
おぉぉ、(´⊙ω⊙`)、これまた貴重な体験談をありがとうございます。天井から自分を見ているという体験は実は私もあるのです。いずれ(^^)
☆いっぷくさま
ドッペルゲンガーを経験した人の話によると、そっくりさんとか見間違いではないかという疑心暗鬼の心ではなく、妙な確信があるようですね。それがなんとも怖いなと思います。
☆yukioさま
こんにちは、コメントありがとうございます。お医者さんなのですね。突然死は本人は恐怖がないので良いかもしれませんが、もし死後も意識があるならば、価値観が逆転することになり、衝撃や恐怖心は突然死の方が怖いなぁと思ってしまう私がいます(´・ω・`)
安らかに死にたいものです。
by ワンモア (2017-07-26 10:03)